*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋10』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第10章です⇒
story.13:『例の資料』
朝の9時頃------------警視庁から、本署へ槐事件の途中経過の報告書を届けに来た高柳と白波。
車を本署前の駐車場へ停めると、高柳は白波に言った。
高柳:「白波さんは車で待っててください。コレ、置いて来るだけですから」
白波:「はい。行ってらっしゃい」
白波に見送られ、車内から出た高柳は駆け足で本署へ入った。
フロアーを抜け、生活安全課、少年課を通り抜け、颯爽と刑事課へ到着した高柳は、辺りを見渡しながら呟く。
高柳:「誰もいない…」
刑事課には、誰もいなかった。
それならそれで…と、高柳はさっさと石塚のデスクへ向かうと突然、足を取られる。
高柳:「おっと!」
バサバサ------------!
石塚のデスクへ辿り着くなり、高柳はデスクの脇に置いてあった紙袋に足を引っ掛け、窓ガラスの方へ吹っ飛んだ。
高柳:「いたた…」
窓ガラスに激突してしまい、額を押さえていると、ハッと振り返って床に散らばった紙袋の中身を見た。
高柳:「ああ!ヤバイ…」
高柳は、持ってきた報告書を石塚のデスクに置いてから、床に散らばった資料を拾い集め、紙袋に戻そうとした。
高柳:「ん?」
ふと高柳は、一冊の資料に目を奪われる。
高柳:「コレ、『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』の…?」
何でこんなところに。
高柳が疑問に思っていると、遠くからこちらに向かって来る足音を耳にした。
高柳は慌てて、他の資料を紙袋に仕舞い、元通りにしてから『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』の資料を後ろ背に隠すように立ち上がる。
舘巻:「お?高柳くん」
高柳:「た、舘巻さん…。
おはようございます」
高柳はそう言いながら、不自然に資料を持ちながら移動する。
舘巻:「水嶋たちは一緒じゃないのか?」
舘巻の質問に、高柳は応える。
高柳:「は、はい!
水嶋先輩は姫井先輩と一緒に、第10の槐かもしれない人物の自宅前を張っているそーです!
詳しくは、石塚警部のデスクに途中経過の報告書を置いたので見てみてくださいっ!」
舘巻:「ほぅ…」
舘巻が納得したような反応を見せた時、高柳はドキドキしながら言った。
高柳:「じ、じゃあ!僕はまた警視庁へ戻りますね!白波さんも車で待たせていますし!」
舘巻:「そうか。気を付けて行ってらっしゃい」
高柳:「はい!行ってきます」
高柳は後ろ向きに進みながら刑事課を出ると、資料を前に持ち変えて駆け足で本署を出ていく。
そんな高柳の後ろ姿を見送った舘巻は呟く。
舘巻:「この調子なら、"あの子"に辿り着くのも近いかな…」
舘巻は、とある人物の姿を脳裏に思い浮かべながら、高柳が隠し持って行った『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』の資料のことは誰にも言わないと決めた。
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本署を飛び出すように出てきた高柳は、白波が待つ車の助手席ドアを勢いよく開いた。
白波:「!お帰りなさい、翔太さん…?」
白波は少しびっくりしたように高柳を受け入れると、高柳はサッと助手席に座って、サッとドアを閉めて、じっと資料を抱き締めながら強張った顔をしている。
しばらく硬直してから、力が抜けたように高柳は前に倒れながら息を吐いた。
高柳:「はぁ〜〜〜…」
白波:「翔太さん??」
高柳の様子に、白波が困惑していると、高柳は体を起こして改めて資料を見る。
高柳:「…………。」
白波:「……それ、」
白波は資料に書かれた『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』の文字を見て、言った。
白波:「どうしたんですか?」
高柳:「石塚警部のデスクの脇に置いてあった紙袋に仕舞ってあったんです…」
高柳の話に、白波は「え!?」と驚いたが、高柳はこう言った。
高柳:「資料室にあるはずの資料が、紙袋の中に隠すように置いてあったんです。
……僕たちはずっとこの資料を見たくても、なかなかチャンスが無くて見られませんでした」
白波:「周りから資料を調べることを反対されてましたからね…」
白波がそう言うと、高柳はこう言った。
高柳:「だから、いけないことだとしても、こうするしか資料を見る方法はないと思いました。」
白波:「翔太さん…」
高柳:「『廃倉庫未成年少女誘拐殺人事件』は、槐事件を解決に導くヒントが隠されているはずなんです!」
高柳は強い決意を示しながら、資料を強く見つめる。
高柳:「水嶋先輩の無実も証明されるはずです…!」
白波:「……そうですね。中身を見てみましょう」
高柳:「白波さん……巻き込んで、すみません」
白波:「いいえ。私もその資料の中身を知りたいですから」
白波はそう言ってから、前を向き直すと言ってきた。
白波:「ここだと、気付かれた時に資料を奪われてしまうかもしれませんので、ここから離れましょう。翔太さん、シートベルトを絞めてください」
高柳:「はい!」
白波の指示に、高柳はすぐにシートベルトを絞めてから、資料を抱き締めるように持った。
白波:「出発します」
高柳:「どうぞ」
高柳がそう言うと、白波の運転で車は発車する。
本署から遠ざかると、高柳は改めて安心しながら息を吐いた。
------------To be Continued...