*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋10』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第10章です⇒
story.14:『覚悟を』
隆志:「ふぅ……」
昼前、十条隆志は宿泊していたビジネスホテルから、鞄とスーツケースを持って実家であるアパートの前にやって来た。
実家のアパートを見上げながら、隆志は昨夜のことを思い出していた。
隆志:(情けない…よな……)
昨日、兎の仮面の女が素顔で隆志が働くホストクラブに現れ、危うくマインドコントロールさせられそうになった。
隆志:(どうにか危機は避けた…けど、)
ここまで来る途中、兎の仮面の女に接触しないかビクビクしながら来た。
だが、ここまで一度も接触してくる様子はない。
隆志:(ということは、近くにいないってことだよな)
けど、まだ油断は出来ない。
隆志:(部屋に入るまでは…)
隆志はそう思いながら、急ぎ足で実家のドアまで行く。
そして、すぐにインターホンを押した。
ピンポーン…
インターホンを鳴らすと、数秒待ってからゆっくりドアが開く。
香苗:「あら、隆志」
隆志:「久しぶり、母さん」
隆志に気付くと、母の香苗はドアを大きく開いて、隆志を部屋の中に入れてくれる。
隆志がスーツケースを玄関口に入れると、香苗が言う。
香苗:「……何泊する気なの?」
隆志:「いや、1日くらいは泊まろうかなぁ…って。何で?」
香苗:「…………。」
香苗は、スーツケースに視線を注ぎ、訴える。
隆志:「……コレは、あんまり気にしないで」
香苗:「分かったわ」
香苗はそう返事をすると、台所の冷蔵庫へ向かう。
香苗:「お茶、飲む?」
隆志:「うん」
隆志は靴を脱ぎ、揃えてから部屋の奥へ向かう途中、襖で仕切っている部屋に視線がゆく。
それは、自分が学生の時に使っていた机やランドセル、中学・高校時代の制服などがズラリと飾られていた。
隆志:「……コレは何の嫌がらせなの、母さん」
香苗:「大体いつも開けてあるわよ、そこの襖は。」
香苗はお盆に、麦茶が注がれたコップと、お菓子を乗せて運んで来ると、テーブルに置いた。
隆志は少し困惑しながらとりあえずテーブルの前に座ると、思い出したようにケータイを上着のポケットから取り出した。
隆志:「あ、忘れないうちに新しいケータイ番号、教えとくよ」
香苗:「そのために来たんだものねぇ」
香苗もケータイを手に持つと、その場で隆志の新しいケータイ番号を教えてもらう。
それが済むと、香苗は改まった態度で聞いてくる。
香苗:「ところで、晩ごはん何がいい?後で一緒に買い物へ行きましょう」
隆志:「分かった。じゃあ、その時に考えるよ」
隆志がそう言うと、香苗は頷いてそのまま黙ってしまう。
隆志:「……………。」
香苗:「……………。」
そのまま隆志も黙ってしまうと、隆志はふと考える。
隆志:(ここに兎の仮面の女とか来てたりしないかな?)
隆志は急に不安になって、香苗に聞いた。
隆志:「ねぇ、母さん。
最近、女の人が訪ねて来なかった?」
香苗:「女の人…?」
香苗は少し考えてから言った。
香苗:「訪ねて来たわよ」
隆志:「え!?」
香苗の言葉に、隆志は驚く。
さらに……
香苗:「昨日の昼間に。男の人と二人で、隆志のことを聞きに来たのよ。」
隆志:「男の人…」
隆志の脳裏には、犬の仮面の男が思い浮かぶ。
すると、香苗はこうも言った。
香苗:「昨日、隆志の家に行ったらしいんだけど…。今朝、電話が掛かってきて……」
隆志:「電話!?」
香苗の衝撃的な言葉に、隆志は驚きが隠せない。
隆志:(しかも自宅に行った!?)
昨日、自分が兎の仮面の女のマインドコントロールを否定したから自宅に帰ったところを狙って?
隆志の頭の中はパニック状態。
しかも香苗の口からこんな言葉が飛び出す。
香苗:「これからその人たちが訪ねて来るわよ。隆志に会いに…」
隆志:「なっ…!!!?」
……終わった。
自分はマインドコントロールされて、その足で父親……もしくは正妻、まだ被害に遭っていない次男を襲いに行くんだ。
隆志は、怯えていた。
香苗:「隆志?どうしたの?」
隆志:「…っ……」
マインドコントロールに懸かったら、香苗にも店にも迷惑を掛けることになる。
ピンポーン…
その時、インターホンが鳴る。
隆志:「!」
香苗:「あら、来たかしら」
香苗は立ち上がり、玄関へ向かった。
隆志は思わず、ベランダの窓ガラスを背もたれに後退る。
隆志:(神様…!)
隆志が願っていると、香苗は玄関のドアを開けてしまう。
香苗:「どうぞ。ちょうど息子も来てますよ」
男性:「はい。お邪魔します」
女性:「お邪魔します、香苗さん」
2人の男女が部屋の中に入って来る時、隆志の緊張は高まる。
隆志:「…っ!」
ガタガタと震えていると、隆志の異常な様子に気付いた香苗が声を掛ける。
香苗:「隆志?あなた、本当にどうしたの?」
香苗がそう言うと、男女は隆志の前に姿を現した。
その時、隆志の緊張は和らぐ。
隆志:「………………。」
女性の方は、昨日自分の前に現れた兎の仮面の女ではなかった。
女性:「お、お邪魔してます」
男性:「大丈夫…ですか?」
隆志の様子に、2人は心配する。
隆志は男女……特に男性の顔を見て、ハッと思い出す。
槐たちが集められた"あの日"。
"ご主人様"が見せた写真に写っていた男性によく似ている。
そう。その男性の名は。
隆志:「水嶋……律…さん」
水嶋:「!」
姫井:「え!?何で……」
隆志が口にした名前に、水嶋律本人と姫井は驚いた。
香苗は一人困惑していると、隆志は体の力が抜けて言った。
隆志:「よ、良かった……」
------------水嶋律。
自分が、兎の仮面の女たちに出会う前に会いたかった人。
隆志:「水嶋さん、俺、ずっと貴方に会いたかったんだ…」
水嶋:「……ということは、君は……」
水嶋がそう言うと、隆志は躊躇うことなく、こう言った。
隆志:「俺が、第10の槐です」
香苗:「…!?」
息子の突然の告白に、香苗は口を両手で抑えながら驚く。
水嶋と姫井も、隆志の告白に驚きながら隆志の真剣な目に、その告白が嘘でないことを察するのであった。
------------To be Continued...