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たまには坂田嫉妬させるようなことしようぜw(SS)

今週の本誌のさっちゃん、めちゃ可愛かった!あの体勢のボディラインが色っぺーなァさっちゃん。坂田に見せたれ。アイツ絶対○○すっぞ。朝っぱらから○○すっぞ。ってか万事屋のさっちゃんの受け入れっぷりに感動したw居ること前提っていうねw
さっちゃんねー、銀さんに跳び蹴りしつつも結局ちゃんと全てを受け入れて戻ってきた辺りに真の愛を感じたよ。一度ショックを受けて出て行くも、色々葛藤して、考えて、それであんな形wで受け入れて戻ってきた。
可愛いじゃないか。
健気で可愛いじゃないか。益々好きになったよさっちゃん。「銀さんが○○だったなんて…ううん、○○だとしても銀さんは銀さんじゃない。私は天パな銀さんだから好きになった訳じゃないわ。銀さんが○○なら私も銀さんと一緒に○○ればいいじゃない!待ってて銀さん!今逢いに行きます!」とかね。色々考えて戻ってきたんだよね、きっとw
いやむしろアレは「私も一緒にやるネタでしょォォォ!一人で先にやっちゃうなんて酷いわ!」の跳び蹴りかw

そこで。

ふと坂田を嫉妬させたくなって、坂田以外のキャラでさっちゃんとカプらせてみた。まぁ私がただ坂田ざまぁしたいだけなんだが(^p^)坂田さっちゃんに愛されて羨ましいんだよ爆発しとけ一回。とりあえず兄さちと高さち。学パロと、同じシチュでのリーマンパロ。さっきEDのアナグラ見たんでw


**********


【兄さちで学パロ】



「なぁ、校門のトコにめっちゃ巨乳の美人が居るぜ」


クラスメートの言葉を聞いた神威は、静かに、それでいて足早に教室を後にした。


「おいおい、どこに行くんだよ」

するとすぐに彼の後を阿伏兎が追ってきた。

「どこって…放課後に教室を出るってことは、帰るからに決まってるだろ?」

振り返った神威の顔には笑顔は貼り付いているものの、その双眸から放たれる眼光は鋭かった。

「いや。俺が言ってんのは、突然クラスメート殴ってどこ行くんだって意味だよ」

すると神威は無邪気な様子で肩をすくめて見せる。

「…さぁ?何となく?」

そして再び踵を返して歩き始めた。

「何となく…って、おいおい勘弁してくれよ。どやされるのは俺なんだぜ?誰もアンタに言えないから」
「はいはい」


阿伏兎の話をテキトーに聞き流しながら神威が向かったのは、例の「巨乳の美人」が目撃された夜兎高校の校門前だった。
するとそこには、確かにスラリとした8等身に豊かな胸、そして菖蒲色の絹糸のような長髪を湛えた美しい女がいた。他校のセーラー服を身に纏い、短いスカートからは白く長い足が惜しげもなく晒されている。やや伏せられた双眸の長い睫毛が頬に影を落とし、ぷっくりと赤い唇からは色香が漂っている。
遠目からでも目立つ女を、阿伏兎は眩しいような眼差しで見詰めた。


「あやめ」

すると彼より少し先を歩いていた神威が、女に向けて鋭く声を発した。


「遅いわ。授業はとうに終わってる筈でしょう?寒空の下、女の子を待たせるなんて」


あやめ、と呼ばれた女は神威の声に気付いて振り返ると頬を膨らませた。先程までは大人びていた彼女の表情が、一瞬にして愛らしい少女のものとなる。
しかし神威はそんなあやめに構わず、やはり鋭い声で続けた。


「待たせる、じゃないだろ?俺との約束、忘れた訳じゃないよね?」
「…………」

バツが悪いのか、あやめは俯いて下唇を噛んだ。


「ここには一人で来るなって言った筈だけど?」
「だって…1週間ぶりなのよ?…早く会いたいじゃない…」


こんな美人が、と端で聞いていた阿伏兎の方がグラリときた言葉にも、神威は表情一つ変えない。


「あの銀髪教師の名前を口にしない。他の男と二人きりにならない。そして一緒に帰るときは迎えに行くから銀魂高校にいること。忘れた訳じゃないよね?」
「それは――」
「言い訳は聞かない」


いつの間にか彼の表情から笑顔が消えていた。一度は反論しようとしたあやめだが、すぐに思い直して静かに目蓋を閉じた。


「……私が悪かったわ」

そして反省しているのか、そのまま素直に小さく謝った。すると神威に普段の表情が戻る。


「うん、分かればいいんだ」

言いながら神威はあやめの腕を引き寄せ、唇に、しかも特別濃厚なキスを施した。これには横で傍観していた阿伏兎も絶句する。
暫く「んっ」だの「ふっ」だの言いながらキスをしていたが、満足したのかようやく唇が離れた。いつの間にか夜兎高の生徒も遠巻きに二人を注視している。


「神威…っ、ここ、外よ!恥ずかしいわ…!」
「いいんだよ、見せ付けてるんだから。あやめは誰の女なのかハッキリさせとかないと…“そういう目”で見ていいのは俺だけなんだ、って。特に、夜兎高に向かう君を心配して追ってきた、あの銀髪教師にね」

ハッとして振り返りそうになったあやめの頬を抑え、再び神威は深く彼女の唇を貪った。その視線はあやめの顔越しの向こう側へと鋭く向けられ、次いで勝ち誇ったように涼しげに細められた。

「銀ぱ――」
「ほら、また約束破ろうとする」
「――んぅ…っ」

唇を解放される頃には、あやめの表情は完全に溶けてしまっていた。濡れた唇と潤んだ瞳が、熱っぽく神威だけをじっと見つめていた。


「ふっ…、可愛いね」

火を噴きそうな程に頬を染めて、あやめは照れ隠しに神威の腕をパシンと叩いた。
そんな彼女を、彼にしては珍しく感情のある笑顔で見詰め、頬を撫でた。


「俺は君が思ってる以上に独占欲が強いんだ」


言いながら神威は、その場にいる全ての者に見せ付けるようにあやめの腰を抱き寄せた。

その様子を阿伏兎だけは冷静に見て、銀髪教師、もとい自分を含め傍観している全ての男達に同情しながら激しくこう思っていた。


――余所でやってくれ、と。



fin.


**********

【高さちでリーマンパロ】


「忘れ物は?」
「ない」
「帰りは何時になりそうかしら」
「…いつも通りだな」
「分かったわ」


朝、玄関先でのやり取りは同棲し始めた時から結婚した現在まで続いていて、今ではすっかり朝の風景になっている。

「出掛ける時は戸締まり忘れるなよ」
「えぇ」
「火ィ点けたまま昼寝するなよ」
「そんな事するわけないじゃないっ」

あやめは少しキツめにネクタイを締めてやった。


「何かあったらすぐ連絡しろ」
「意外と心配性ね」
「うるせぇ。俺が連絡しろと言ったらすりゃいいんだよ」
「もう…」

革製の鞄を手渡し、暫しのお別れ。

「…終わったら電話入れる」
「はい」
「行ってくる」
「いってらっしゃい」


この瞬間が一番寂しい、と思う。夕方になれば帰って来ると分かっていても、一人になると晋助が急に恋しくなってくる。

だからあやめは、いつもパタリと閉まったドアを見つめて暫く動けない。

一つ溜め息。

今日もまた玄関で立ち尽くす。


すると突然、何の前触れもなく目前のドアが開いた。


「っ!?」

驚いて思わず後退さってしまう。しかしそこから現れたのは先程家を出た筈の晋助だった。


「ど、どうしたの?」
「……………」

冷静を取り戻して問い掛けてみる。しかし渋い顔をしたまま晋助は無言であやめを見詰めている。


「あ、忘れ物──」


そう言いかけた時、急に彼女の唇に触れた温もり。背中には大きな手。


「忘れ物、だ」
「しん…す…」
「ンな面ァして旦那見送る嫁がいるかよ」

ぎゅっと抱き締められもう一度、軽く触れるだけのキス。


「…じゃあな」

頭に一度手を乗せると、足早に家を出て行ってしまった。

「あ…」

一瞬の出来事だったが、あやめの心はとても暖かくなっていた。


「ありがとう…晋助」

温もりを感じたら、もう少しだけ寂しさを我慢できる気がした。


FIN.


**********


【兄さちでリーマンパロ】


「忘れ物は無い?」
「うん」
「帰りは何時になりそう?」
「今日も早く帰ってくるよ」
「本当?」
「残業しそうになったら阿伏兎に任せるから」


朝、玄関先でのやり取りは同棲し始めた時から結婚した現在まで続いていて、今ではすっかり朝の風景になっている。


「ちゃんと自分の仕事は自分でしなくちゃダメよ。阿伏兎さんだって自分の仕事あるだろうし」
「阿伏兎はともかく…お腹の中の三人目の家族の為にもね?」
「!」

あやめは照れ隠しにもう一度ネクタイを整えた。

「戸締まりと火元に注意ね」
「分かってるわよ、それくらい」
「知らない奴が来ても出ないこと」
「そうはいかないわ」
「返事は“はい”。素直に言わないとお仕置きしちゃうよ?」
「そっ、そんなことされたって嬉しくなんかないんだからッ!」
「んー、俺はあやめを喜ばせようとして言ってないんだけど」

革製の鞄を手渡し、暫しのお別れ。

「じゃ、行ってくるね」
「いってらっしゃい」

玄関の扉を開き、神威が外へ出た瞬間──

「──っ」
「…明日はあやめからしてね」

振り向き様のキスは予想外に濃厚だった。
そして最後に一度あやめの鼻を摘んで、神威は玄関を抜けた。

「続きは夜までお預け」

ニッと、普段のそれとは違うシニカルな笑顔を残し、静かに閉まったドアの前であやめは頬を真っ赤に染めていた。

「ばか…」


――そんな事されたら、今から恋しくなってしまうではないか。きっとこれも神威の意地悪な作戦だろうけど。

こうなったらとことん作戦に乗ってあげようじゃない。
仮にも私の方が年上なんだから。帰って来たら思い切り抱き付いて、お帰りのキスをしてあげるわ。


FIN.






















なんか書きにくいなぁ。やっぱりさっちゃんの相手は悔しいがあの天パが一番しっくりくるんだよなぁ。なんか坂田嫉妬させるつもりが逆にモヤモヤしちゃったよ。そうか、アレか。やっぱり銀さちが好きなんだ。







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俺の怒りが有頂天になった(SS)

今ならこの迷言を残したブロント師匠の気持ちが分かる気がするw

ってな訳で、私の中で禁則事項が禁則事項に禁則事項しました。もういい。ほんともういい。お前は私を怒らせた。とりあえずおばあちゃんが淫乱なのはよく分かった。アレがアレしてアレ?何だっけ?――このように私が若年性の何かなのもよく分かった。よって頭のネジを締め直す何かをアレする為に産婦人科に行くしかないのも分かった。でもその前にブーメランしないと気が済まない。その禁則事項を撃ち込んできた波動砲に、熨斗つけてバットで打ち返してやんよ。ヘルズファキナウェイか〜ら〜のバッドコミュニケーションしてやんよ。そんな感じでお妙さん→銀さちSSはいどーぞ!


…………………


ピンポーン、と。
何とも間延びした音が響くが、暫くしても誰も玄関に顔を出さない。痺れを切らしてもう一度インターホンを鳴らすが、やはり人が出て来る気配すらない。

――居ない筈はないのだ。朝、新ちゃんが「万事屋に行く」と家を出て行くのを見送った。しかもその出掛けに「まぁ今日も依頼はないですけど」などと愚痴を零していたのも聞いた。
居留守か。と苛々し始め、乗り込んでやろうと玄関扉に手をかけようとした時だった。不意に奥からドカドカと不作法な足音が聞こえ、ガラッと荒々しく目の前の扉が開いた。


「――…何だ、オメェか」

中から出てきた男――坂田銀時は、天然パーマを更に寝癖でボサボサにしたまま、まさに「今起きました」と言った様子で姿を表した。しかもあろうことか、格好は普段の黒いズボンに上半身裸である。
訪問者――お妙は思わず視線を逸らし、手短に用件を告げた。

「し、新ちゃん居ます?」
「あー…?新八ィ?…買い物じゃね?」
「居ないんですか?」
「…多分」

何ともハッキリしない返答である。そうなれば自分で確認するのが手っ取り早い。お妙はアテにならない男を押しのけ、万事屋の玄関に入ろうとした。
すると途端に銀時は動揺して、中に進もうとする女を制した。

「ちょ、ちょっと待て!」
「え?何でです?」
「あ…いや…部屋めっちゃ汚れてるし…」
「いつものことじゃないですか」
「いや、そうだけども!つーかわざわざ入らなくてもいいだろ!」

あまりに銀時が慌てるので、それが逆に怪しくなってお妙は詰め寄った。

「何かやましい事でもあるんですか…?」
「いや…やましいことはねぇけど…」

それなら構いませんよね。とお妙は制止する銀時を振り切って居間へと乗り込んだ。
しかし室内は閑散としていて、確かにそこに新八の姿はなかった。更に、普段は定春の背にしがみついている神楽も定春ごといない。

「だから言っただろ。買い物だって。ちなみに神楽は昨日から寺子屋の泊まり行事に参加中だ」
「あぁ、そうだったんですか」

言いながらお妙はソファーに腰を下ろした。

「え、何お前、まだ居るつもりなの?」
「別にいいじゃないですか。どうせ暇なんでしょう?」
「いや銀さんだって暇じゃないよ!それなりに忙しいよ!」


お妙は少しムッとした。この男は女心というのがちっとも分かっていない。
しかしすぐに気持ちを入れ替え、パンと手を叩いてソファーから立ち上がった。

「そうだ、お昼ご飯作ってあげますね。もう“笑ってよきかな”の時間ですし」
「いいってマジで!二重の意味でいいから!」
「そんな遠慮しないでください。台所借りますね」

そうしてバタバタと言い争っていると、二人の背後にある襖が何の前触れもなく開いた。


「…………」
「ちょっ、バカお前っ今出てくんなよ!」

寝室へと繋がる襖を開けたのは、薄紫の髪に眼鏡をかけた女――猿飛あやめであった。銀時は突然姿を出したあやめに、しまったという表情で後頭部をガリガリ掻いた。

「さ、猿飛…さん」

お妙が動揺するのも無理はない。あやめの今の姿は、決して人前に出られるようなものではなかった。
惜しげもなく白く長い四肢を晒し、女性でも羨ましいばかりの豊満な胸と円やかな臀部を、申し訳程度に銀時の着流しで隠している。
そんな彼女は、朝にしては何とも艶っぽい表情をしていた。体からも匂い立つような色香が溢れ出している。

「銀さん」

漸くあやめの潤んだ唇が静かに男の名を紡いだ。しかしその視線は、まるで銀時を咎めるかのように鋭い。ひしひしと嫉妬の色が見て取れる。

「あや――さっちゃん…、とりあえず服着てこい」

するとあやめは一度小さく頬を膨らませ、細指で銀時のズボンの右ポケットを指差した。彼がポケットの中を探ると、そこからあやめの白いショーツが引っ張り出された。
これには銀時の顔もカッと熱くなって、思わず「やっちまった」といった様子で左手で顔を隠した。
その光景をぼんやり眺めていたお妙は、ハッと意識を戻すと瞬時に踵を返した。

「わ、私帰りますね!」
「新八はいいのか?」
「そんなに急用じゃないんで、それじゃあ!」

パタパタと玄関を出て行ってしまったお妙の背中を見送り、銀時は小さく溜め息を零した。


「銀さん…ごめんなさい…」

声に振り返ると、あやめはしゅんと下を向いて目を伏せていた。どうやら先程自分がした、まるでお妙への当て付けのような行為を恥じ、反省しているようである。

「何?妬いちゃった?」

銀時はそんなあやめのいじらしい態度に微笑を浮かべると、細い体を抱き寄せて額に唇を押し付けた。

「丁度いいから、このまま昼飯にしようぜ。さっきの続きは…また夜な」

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タイトル未定(銀さち)@

期末テストが返却された日の放課後。教室で一つの机を挟み銀時とあやめは向き合っていた。
机の上に銀時が並べたテストに踊るのは、お世辞にも良いとは言えない点数ばかり。これにはさすがのあやめも言葉を無くした。

「銀さん…これ…」
「たまたまこん時は本気モードになってなかっただけだから。やっとエンジン温まってきた所でテスト終わっちゃったからね。まいったね、まったくタイミング悪くてテストが」

夏休み前に行われた期末テスト。赤点者は1週間後に再テストを受け、それでも合格点に満たなかった場合は夏休み中に補習授業が待っている。

「数学、48点…英語、25点…世界史、31点…」
「読み上げなくていいから!大好きな銀さんの傷えぐるだけだよ!?」

やべーよ、夏休み消えるよ、と銀時は頭を抱える。その様子を見ていたあやめは顎に手を当てて思案すると、一度小さく頷いた。

「銀さん、勉強しましょう」
「あ?」
「国語は84点だし、生物はギリギリ60点だから…数学・英語・世界史だけならなんとかなるわ」

あやめの言葉に、机に伏せっていた銀時は顔を上げる。

「何とかなるって…何ともならねぇよこんなん。だって見ろよコレ、25点ってお前、半額の半額じゃねーか。どんな閉店セールだコノヤロー。俺の人生も閉店するわ」
「私が銀さんのお手伝いをするわ。だから一緒に頑張りましょう!」
「でもよぅ…」

未だ乗り気ではない様子の銀時に、あやめは言葉に含みを持たせて呟いた。

「この間新しい浴衣とビキニを買ったの…銀さんの為に」
「で?まず俺は何をすりゃいいんだ」


そんなこんなであやめは彼女の権限を活用し、1週間銀時の家に泊まり込みで勉強を教えることにした。その日は一旦家に帰って泊まりに必要な最低限の物だけを準備し、夜再び銀時と合流することになった。
下着や寝間着などをバックに詰め、制服姿のまま右手に通学鞄、そしてバックを斜め掛けして自宅の玄関を出ると、ベスパに跨がった銀時が待っていた。

「え、銀さん、迎えに来てくれたの?」
「んー…、ん」

ポンッとヘルメットを投げて寄越される。態度は素っ気ないものの、あやめは嬉しくなってすぐにそれを被って銀時の後ろに跨がった。

「下もろパンツ?」
「え、うん」

すると銀時はシートの下から自分のジャージを引っ張り出してあやめに渡した。

「穿いて」
「大丈夫よ、暗いし。見えないわ」
「俺が嫌なの」

そう言われては仕方ない。あやめは一旦バイクから降りるとジャージを穿き、再び銀時の背にギュッと抱きついた。

「うし、出すぞ。足気ィつけとけよ」

ゆっくり動き出したバイクに揺られて十数分。住宅街の一角にある小さなアパートが銀時の家だ。彼はここで一人暮らしをしている。
家に入り、まずは軽く夕食を済ませてから早速二人は向かい合って教科書を開いた。最初に開いたのは三科目の中で一番点数が良かった数学。

あやめの勉強プランはこうだ。取りあえず今日は数学をやって肩慣らしをする。明日からは一番点数の低かった英語をメインに勉強し、数学は合間に上手く組み込む。世界史はあやめ手製の暗記カードを活用する。そして毎日小テストを行い、知識の定着を図る――というものだ。

「小テストって…さっちゃんは結構スパルタだなァおい」
「だって、こうでもしないと間に合わないわ」

やるからにはしっかりやる。責任感の強いあやめは銀時より気合いが入っている様子だ。
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坂田家の日常 #3


夕方から降り始めた雨は今や豪雨となり、頭上で稲光をあげる。

「ぎゃぁぁぁぁっ!おとぉたぁぁぁんやぁよぉぉぉう!」

仕事から帰って家の扉を開けたとたん、そんな雷鳴にも負けない喚き声が居間から響いてきた。

「あらあら…銀さん、チビタはどうしたの?」

見るとソファーにでーんと構える夫の足に、小さな体がギュッとしがみついている。
しかし母が帰って来たのが分かってか、息子は顔を涙と鼻水でグチャグチャにしながら私の元に一目散にやってきた。

「おかぁたぁぁぁん!ごろごろやぁよぉぉぉ!めってしてぇぇぇ!ないないしてぇぇぇ!」
「はいはい。よいしょ…よしよし、怖かったわね、じきにないないするからねー」

すぐに小さな体を抱き上げ、背中をトントンしながらティッシュで涙と鼻水を拭ってやる。
すると不意に視線を感じ、振り向けば銀さんがジィッと私たちを見つめていた。というか、正確には私の胸に顔を押し付けてすんすん泣いているおチビを、だ。


「銀さん?」
「その泣き虫ビビりっ子は誰に似たんだ…?」

神妙な顔つきで口を開いた銀さんに少し呆ける。

「…チビの?」
「そう」

更に、俺は雷とかオバケの類はぜんっぜん怖かねーしィ、と若干引きつったような笑顔で続けた。


「さっちゃんは肝っ玉の座った女だしなァ…」

言いながらチビのほっぺをツンツンする。
私は思わず笑みを零してしまった。

「いいじゃない、泣き虫でも」
「そうかァ?」
「泣かない事が強いわけじゃないわ」


腕の中で未だに震えている我が子をそっと揺らす。自分の気持ちとしては、泣き虫だろうが弱虫だろうが元気に育ってくれればそれで十分。
多分それは銀さんも同じ気持ちなのだろうけど、特に侍気質の強い彼からしたら、つい口を挟みたくなってしまう事項なのだろう。
再び真剣な表情をつくり、彼は息子に諭すように口を開いた。


「いいか?男はチンコという一本筋の通った心意気を持つ勇者なんだよ。生やした瞬間から、簡単に涙を見せちゃならねぇ。その腕はお母さんにしがみ付く為にあるんじゃなくて、お母さんや、大切なもん守る為にあるんだ」

言葉の選択はいかんとも、これが彼の言う“一本筋の通った心意気”であり、己の分身である息子にもまた引き継ぎたい想いなのだろう。

少しだけ泣き止んで父親の方を振り向くチビを、私は優しく銀さんの腕の中に預けた。
大切そうに受け取った彼はやっぱり父親の顔をしていて、口では何だかんだ言ってても結局息子が可愛くて仕方ないのだと思う。

「よしよし。そこんとこ父ちゃんはキビシくいくからな。ほら、もう父ちゃんも母ちゃんも居るんだから心配ねぇぞ」

キビシくいく、とか言いつつ息子をしっかり抱き締めて涙の跡を拭ってやっている。
そんな二人の姿が大切で愛しくて、何だか無性に幸せな気持ちになった。




紛うことなくあなた似です



(臆病者こそ大将器って、昔話にもあるわ)
(そうそう)
(この子も銀さんと同じで、いざという時きらめくタイプなのよ)
(だよねー…あっ別に俺はビビりじゃねぇぞ!オバケとかスタンドとかそれ近辺のやつ別に怖かねぇからマジで)
(ふふっ、はいはい)


end.

坂田家の日常 #2

銀さち&息子(2歳)
**********



「ねぇねぇおとーたん、あのね」
「あー?どーした?」
「あかちゃんはどうやってあかちゃんになゆの?」
「………………」


近所の公園で泥だらけになるまで遊び回った土曜の夕方。もう母ちゃん仕事終わる頃だからって、家に帰って息子と風呂に入っていた時だった。湯船の中で膝に乗せていた息子から、不意に予想もしなかった疑問を投げかけられた。

「…赤ちゃんが?」
「う。あかちゃんどこからくゆの?」

念の為もう一度聞き返すと、やはり同じ質問が返ってきた。

(そりゃ父ちゃんのいなづまのけんで母ちゃんのロンダルキアの洞窟を下からぶち抜いたからですよー…――なんて言えるわけねぇし)

目の前で瞳をキラキラさせて父親の返答を待つ息子に、間違っても下世話な回答はできない。何より教育上よろしくない。

「そうだなァ…」

こめかみを押さえながら、どう説明したもんかと頭を悩ませる。
“大人になれば分かるよ”とか“魔法をかけた”とか、そういう事は言いたくなかった。昔自分も周囲の大人に同じ質問をして、こういった類の回答をされて納得できなかった経験があるからだ。
でもまぁそれが皮肉にも息子によって、その時大人達がどんだけ気まずかったのかを思い知る事になったのだが。

そうやって上手い言葉が出ずに頭を捻っていると、不意に玄関の方から物音が聞こえてきた。どうやらさっちゃんが帰ってきたようだ。


「ただいまー…あら?銀さーん、おチビー。どこ行っちゃったのかしら」

ガサガサと恐らく買い物袋を置きながら、さっちゃんの声があちこちを探し回っている。

「おーい、さっちゃーん、ここだーここ」

風呂場から声を張ると、すぐに足音が近付き風呂の扉が静かに開いた。

「お風呂に入ってたのね。あっ、じゃあ着替えを持ってくるわね」
「おう。あっ、ちょっと待て!」

穏やかに笑って踵を返そうとしたさっちゃんを、俺は咄嗟に呼び止めた。

「うん?」
「なぁ、さっちゃん。ちょっと聞きてぇんだけど…」

そして息子を促し、先程の疑問を母親に問わせてみた。俺じゃ子供に上手く説明ができない。だからいざという時しっかり者のさっちゃんに託してみる事にした。
するとさっちゃんは口元に手を当てて小さく笑い(ちょっと可愛いかった)、母親の持つ温かな表情で優しく言葉を紡いだ。


「お父さんがお母さんの事を大好きで、お母さんもお父さんの事が大好きで、二人の気持ちが一緒に大好き!ってなると、赤ちゃんがお母さんのお腹にやって来るのよ」
「ふうん…おかーたんのぽんぽんに?」
「ふふっ、そうよ」
「じゃああかちゃんはどうやってぽんぽんからでゆの?」
「お母さんの体にはね、赤ちゃんの通り道があるの。そこを通って生まれて来るのよ。お腹から生まれた赤ちゃんと会えたとき、お母さんもお父さんも、とてもとても嬉しかったのよ」

そう言って俺の腕の中の息子の頭をそっと撫でた。その表情が本当に優しくて。本当に綺麗で。


「さっちゃん…やっぱオメェすげーわ」
「え?」
「いや、何でもない」

変な銀さん、と笑って風呂の温度が逃げないように扉を閉め、さっちゃんは外から「いちご牛乳冷やしてあるから」と付け足した。


「おとーたん」

声に視線を落とすと、胸元からジッとまん丸の瞳で見上げられていた。

「なんだー?」
「おかーたんはおとーたんがだいしゅき?」
「はは、大好きだろうよ」
「おとーたんはおかーたんのこと、だいしゅき?」

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