劇場版攻殻機動隊


此方での上映期間がギリギリぽかったんで行ってきた。

平日の日中にも関わらず思ったより人が居て、しかも年齢層も幅広く下は自分と同年代の若者から上は還暦くらいのおじさんまで様々だ。
今年で25周年目になるので、その当時の若者が観に来ているといった感じだろうか。


偖、今回は映画の特典が一番の目的だったのだが、上映期間ギリギリだったから特典の残りも少ないようで、危うく貰えないところだった。
因みに今回の特典は『GHOST IN THE SHELL』『イノセンス』『攻殻機動隊 2nd GIG』の作画のレプリカで、一週間毎に違うものが貰える。
今回貰えたのは『攻殻機動隊 2nd GIG』のレプリカだった。

ARISEの時は冊子だったが、個人的にはレプリカの方が有り難いので大事に飾る事にしようと思う。








夢日誌:小さな白い骨


友人と二人で歩いていた。
交わす言葉は他愛も無い日常の出来事や、お互いの好きなものの事。

ビルの合間から見える空は灰色の雲が一面に広がっていて、綿のような雪がちらついている。

チラチラと降る雪の中を歩いていると、いつの間にか街の端に来ていたようで極端に背の高い建物が無くなり空が遠くまで見えた。
背の低い建物や色の褪せたフェンス、経年劣化で所々朽ちた歩道に葉を落とした街路樹は見ていてどこか寂しげだ。
寒さは然程感じられないが、吐く息は白く空を漂っていた。


…ああ、冬だな。


そんな事を思いつつも友人と途切れる事の無い会話を楽しんでいた。


その刹那、会話を遮るように車のエンジン音が背後に迫ってきたかと思うと、私達の脇を掠めるようにして歩道ギリギリを猛スピードの車が走り抜けていった。


危ないな!


フラフラと蛇行しながらもスピードを落とす事無く走る車の後ろ姿を見送って、そう云おうとした瞬間だった。

ハンドル操作を誤ったのか車は一際大きく蛇行すると、一瞬空を舞い近くの建物へと突っ込んでいった。

あっ、と思う間も無く凄まじい衝突音が耳を劈く。
余程衝撃が強かったのか、砕けた建物の外壁の一部や車の部品と思われる金属片が辺りに飛び散り、それと一緒に女性が一人、私達の足元に飛んできた。
この女性が車で建物に突っ込んだ張本人であるというのは、何故か見た瞬間に分かった。

取り敢えず、足元でぐったりとしている彼女を助け起こすと一応、意識はあるらしく、大きな怪我をしていたが命に別状は無いようだ。

一体、どうしてこんな事になったのかと訊ねたが、ショックが大きいらしくガクガクと震えながら『赤ちゃん…赤ちゃんが…』と、要領を得ない。

だが、爆発音と共に建物から火の手が上がった瞬間、彼女は目をカッと見開くと『赤ちゃんがまだ中に居るんです!』と、悲鳴のような声を上げた。

黒煙を上げる建物を見ると崩れた外壁から炎に包まれた車と、それを少し離れた場所から呆然と見守る人達の姿が見えた。

『いやあ!燃えちゃう!赤ちゃん燃えちゃう!!うあああああああああっ!!!!!!』

女性は獣のように叫び、立ち上がろうとしていたが脚の骨が折れているらしく、立ち上がろうとすると変な方向に脚が曲がり、その度にくぐもった呻き声を上げていた。
折れた骨が皮膚を貫き、穴を開ける所為で脚はボロボロになっている。
そんな女性を宥める友人に『ちょっと行ってくる』と云うと、彼女の制止を聞かずに煙を吹き上げる建物へと向かった。

建物に近付いてみると案外炎は小さく見えた。だが、車体は黒く焦げている。
何かが焦げた異臭と熱気をなるべく吸い込まないように口を塞ぎ車へ近付くと、後部座席の扉を思い切り蹴り飛ばした。

底の厚く頑丈なブーツで蹴ったからか、燃え尽きて脆くなった扉は大きくへこむと蝶番の部分から折れて外れ、大きな音を立てた。

中を覗き込むと骨組みが見え隠れしているシートに、焦げた籠のようなものが置かれていた。
恐らく、これにあの女性の子供が居るのだろう。

車の状態を見れば中身がどうなっているのかぐらい容易に分かる。
それでも、立ち込める熱気で身体中がチリチリと痛むが、首に巻いていたマフラーで両手をそれぞれ包んで籠を持ち上げ、中を覗き込んだ。


黒く焦げて炭化した籠、その中で灰と化した何かに包まれた小さな白い骨が横たわっていた。








酷い虚無感を感じつつ目が覚めた。
女性の泣き声混じりの悲鳴が耳にこびりついて離れない。




最近、夢の中での感覚がやたらリアルな事がある。
臭いや熱、音や衝撃や程度の軽い痛み、指で触れた質感…どれも生々し過ぎて夢なのに現実と勘違いしそうになる時がある。

個人的に感覚がリアルな夢を見ている時は異世界に魂だけが行き、そして体験している事を夢として見ているんじゃないかと思う。

だとしたら、もし夢の中での感覚が更にリアルになり、痛みもより一層強く感じる事になった時、酷い苦痛を伴い死ぬ夢を見たら現実の自分も死んでしまうのだろうか。
そう思うと、時々眠るのが怖い。





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