近頃のことを書きます。なんだかんだで本のことなど多いと思います。
・私の本棚のこと・
本棚の本をすこし処分したのですが、わけへだてをしながら気づいたことが。
星の本。精神についての本。食べ物の本。本についての本。罪を犯す本(ミステリですね)。
が、本棚を多く占めている分野でした。ゆっくり時間を使いながら、自分の嗜好は棚を蝕んでいったのだと思った。
・失恋のこと・
「ふだんは気にせず過ごしているのに、ふとしたときにもういないのだと思ってしまいます」という話を人からされて、どうしたらいいですか?と言われた。お葬式をしたらいいのでは?と答えた。いや、死んではいないんだけど、もうしばらくは会えないっていう自分なりの切ない儀式をどこかで行ったらどうなのかなって。私に相談したらだめですねえ。
・本を読むということ・
「読んでる感じがまるでしない」という、本へのほめ言葉を聞いた。すっと入ってくる言葉は素晴らしく、苦しまずに読むことができるのも素晴らしい。でも、
他人のことばを読むよろこび、いまことばを読んでいる、という感覚を味わうよろこびも私にとっては必要で、心のコンディション、肉体のコンディションにあわせて「そう簡単には読めない」という事実があることが私と本をつなぎとめているのかもしれないと思う。
北村薫の小説の主人公のように「水を飲むように本を読む」ことは私にはできない。ときには覚悟をもって、胃液をすり減らして、なおかつ享受しながら。
・詩のはなし・
「疲れているときにはエッセイを読むんです」と言われる。わかるわかる。私も読む。詩も読む。ただ、詩は一気に読めない。大きなチョコレートボンボン、あるいはフォンダンショコラ。一気に読むとけっこうしんどい。
・題名のはなし・
伊坂幸太郎が好きな人と伊坂幸太郎の新刊のはなしをしていて(※ただし私は伊坂幸太郎の作品をまだ読んだことがない)
「今回の新刊のタイトル、森博嗣っぽくないですか?」
と言いたくて言えなかった。
伊坂幸太郎『フーガはユーガ』
ちなみに森博嗣作品のタイトル(※タイトルだけ)では『詩的私的ジャック』が好きです。
・詩のはなしセカンド
(あるいは耽美のはなし)・
人から急に、吉野弘の「I was born」の話をされて雷が心に落ちる。
私、それ大好きだった。でも今のいままで忘れていた!思い出させてくれてありがとうございます、とふかぶか頭をさげた。
ヘッセとか『姑獲鳥の夏』と雰囲気が似ている。(なんて書いたら色々なところから怒られそう)
〈──ほっそりした母の/胸の方まで/息苦しくふさいでいた白い僕の肉体──〉
という部分を、さも「母」めいた華奢なひとが暗唱してくれた。豪華。
・耽美のはなしセカンド・
お耽美な文体が好きですと言うと、あなたあれでしょう。『姑獲鳥の夏』とか好きでしょう。と言われる。ばれている。
・ナラタージュのこと・
Aimerの『ナラタージュ』を手に入れた。
〈あなたをちゃんと思い出にできたよ〉と歌っているけど、できていないの……映画は観ていないのであまり言えないですが。原作を読む限り思い出にはできていないし、あなたのことは永く思い出にできないのが島本作品の本質のような気もしたり。
・失恋のはなしセカンド・
失恋の話をしてくれた人がいる。
親しくもなくただそこにいる存在だからといって私に告げてくれたらしい。ただ流木のような存在に思われていることはなんとなくこそばゆいが、嬉しかった。
・再読したもの・
金原ひとみ『蛇にピアス』をなにとなしに読む。
よかったです(なにがどうかは秘密)
意外と作中であらわれる問題はなにひとつ解決してないんだなと思った。昔は思わなかったんだけど。
・別れを告げた自転車のはなし・
学生時代に愛していた自転車とばったり再会する。あれ、こんなところにいたの?
少し色あせて、でもしっかり乗ることができる。ともに街を走る。
今朝そんな夢を見た。思い返しながらすこしさみしかった。あの自転車どうしたんだっけ。人にあげてしまった。私のものだったかわいいピンク。
たとえ夢の中でも私に会ってくれてありがとう。また乗れるうちに乗りに行くね。