土曜日、ある人を道端で偶然に見かけた。
そのときは見なければ良かったとタイミングの良さを呪ってけっこう落ち込んだ。

三日後の今日、あるきっかけで冬に書いた小説を読み返した。私が書いた言葉のなかにその人が出てきていた。
正確には、私の心のなかにいる人々を織り混ぜて綴った、そのなかの一人として物語にあらわれていた。

自分が生きて体感してきたものがひとつの話になって、それはもしかしたら、私を知らない誰かにも見られるときがあるかもしれない。
今日、書いたものを読み返していて、恥ずかしくてもんどりうちそうにもなったけどあのときの自分として、この文が書けて良かったなーと思った。し、この前あの人を見かけたのもなにかのなにかだと(なんだよ)と思った。
どんな瞬間でも事象でも、自分の中には結末への道筋が一本、ある意味お守りのように心に置かれていて、その危機感がこういう日記や書く文章に影響を与えて、私そのものを形成する鍵になっているみたい。

とにかくなんとなく私の言葉で、私を少し延命させられたような気がした。むなしいかな?
でも嬉しくなってアイスを食べたよ。夕方から雨が降ると言っていたのに降らなかった。

そういえば今日は出水に採水に出かけた。そのあとはりきって仕事に戻ったのに、自分の書いたものをついつい読み返すことになってしまいやばい吐きそうだーと思ってまるで仕事が手につかなくなってしまった。

宇多田ヒカル『初恋』

『Fantome』がけっこう好きだったので今度はどんなんかなあと半信半疑で買ったら……
こ、こ、これはーーーー
才能パーペキ大復活だーーーー

ただひとつ言えるのは、『ペンギン・ハイウェイ』を劇場で観てこのなかの「Good Night」が流れてきたら私はきっと涙どばどばになると思う。それくらい「Good Night」の出来は素晴らしい。
前作は生と死のはざまに立つようなアルバムだったけれど(そこが良かった)、今作はあくまで立ち位置は生の中にあるままで、さまざまな愛を歌っているような感じがします。(そこがよい)
パクチーの歌ってなんだ……と思っていたらとんだ名作だよ……なんだこれ……

〈これは今回のアルバムの全ての曲に通じるんですが、「長い冬が終わる瞬間」というのは、それが良かろうが悪かろうが、"全てはいずれ終わる"という考えに繋がっていて。〉

(ブックレット『うたマガVol.7』「宇多田ヒカルスペシャルインタビュー」より)



今日買ったCD