今ならこの迷言を残したブロント師匠の気持ちが分かる気がするw
ってな訳で、私の中で禁則事項が禁則事項に禁則事項しました。もういい。ほんともういい。
お前は私を怒らせた。とりあえずおばあちゃんが淫乱なのはよく分かった。アレがアレしてアレ?何だっけ?――このように私が若年性の何かなのもよく分かった。よって頭のネジを締め直す何かをアレする為に産婦人科に行くしかないのも分かった。でもその前にブーメランしないと気が済まない。その禁則事項を撃ち込んできた波動砲に、熨斗つけてバットで打ち返してやんよ。ヘルズファキナウェイか〜ら〜のバッドコミュニケーションしてやんよ。そんな感じでお妙さん→銀さちSSはいどーぞ!
…………………
ピンポーン、と。
何とも間延びした音が響くが、暫くしても誰も玄関に顔を出さない。痺れを切らしてもう一度インターホンを鳴らすが、やはり人が出て来る気配すらない。
――居ない筈はないのだ。朝、新ちゃんが「万事屋に行く」と家を出て行くのを見送った。しかもその出掛けに「まぁ今日も依頼はないですけど」などと愚痴を零していたのも聞いた。
居留守か。と苛々し始め、乗り込んでやろうと玄関扉に手をかけようとした時だった。不意に奥からドカドカと不作法な足音が聞こえ、ガラッと荒々しく目の前の扉が開いた。
「――…何だ、オメェか」
中から出てきた男――坂田銀時は、天然パーマを更に寝癖でボサボサにしたまま、まさに「今起きました」と言った様子で姿を表した。しかもあろうことか、格好は普段の黒いズボンに上半身裸である。
訪問者――お妙は思わず視線を逸らし、手短に用件を告げた。
「し、新ちゃん居ます?」
「あー…?新八ィ?…買い物じゃね?」
「居ないんですか?」
「…多分」
何ともハッキリしない返答である。そうなれば自分で確認するのが手っ取り早い。お妙はアテにならない男を押しのけ、万事屋の玄関に入ろうとした。
すると途端に銀時は動揺して、中に進もうとする女を制した。
「ちょ、ちょっと待て!」
「え?何でです?」
「あ…いや…部屋めっちゃ汚れてるし…」
「いつものことじゃないですか」
「いや、そうだけども!つーかわざわざ入らなくてもいいだろ!」
あまりに銀時が慌てるので、それが逆に怪しくなってお妙は詰め寄った。
「何かやましい事でもあるんですか…?」
「いや…やましいことはねぇけど…」
それなら構いませんよね。とお妙は制止する銀時を振り切って居間へと乗り込んだ。
しかし室内は閑散としていて、確かにそこに新八の姿はなかった。更に、普段は定春の背にしがみついている神楽も定春ごといない。
「だから言っただろ。買い物だって。ちなみに神楽は昨日から寺子屋の泊まり行事に参加中だ」
「あぁ、そうだったんですか」
言いながらお妙はソファーに腰を下ろした。
「え、何お前、まだ居るつもりなの?」
「別にいいじゃないですか。どうせ暇なんでしょう?」
「いや銀さんだって暇じゃないよ!それなりに忙しいよ!」
お妙は少しムッとした。この男は女心というのがちっとも分かっていない。
しかしすぐに気持ちを入れ替え、パンと手を叩いてソファーから立ち上がった。
「そうだ、お昼ご飯作ってあげますね。もう“笑ってよきかな”の時間ですし」
「いいってマジで!二重の意味でいいから!」
「そんな遠慮しないでください。台所借りますね」
そうしてバタバタと言い争っていると、二人の背後にある襖が何の前触れもなく開いた。
「…………」
「ちょっ、バカお前っ今出てくんなよ!」
寝室へと繋がる襖を開けたのは、薄紫の髪に眼鏡をかけた女――猿飛あやめであった。銀時は突然姿を出したあやめに、しまったという表情で後頭部をガリガリ掻いた。
「さ、猿飛…さん」
お妙が動揺するのも無理はない。あやめの今の姿は、決して人前に出られるようなものではなかった。
惜しげもなく白く長い四肢を晒し、女性でも羨ましいばかりの豊満な胸と円やかな臀部を、申し訳程度に銀時の着流しで隠している。
そんな彼女は、朝にしては何とも艶っぽい表情をしていた。体からも匂い立つような色香が溢れ出している。
「銀さん」
漸くあやめの潤んだ唇が静かに男の名を紡いだ。しかしその視線は、まるで銀時を咎めるかのように鋭い。ひしひしと嫉妬の色が見て取れる。
「あや――さっちゃん…、とりあえず服着てこい」
するとあやめは一度小さく頬を膨らませ、細指で銀時のズボンの右ポケットを指差した。彼がポケットの中を探ると、そこからあやめの白いショーツが引っ張り出された。
これには銀時の顔もカッと熱くなって、思わず「やっちまった」といった様子で左手で顔を隠した。
その光景をぼんやり眺めていたお妙は、ハッと意識を戻すと瞬時に踵を返した。
「わ、私帰りますね!」
「新八はいいのか?」
「そんなに急用じゃないんで、それじゃあ!」
パタパタと玄関を出て行ってしまったお妙の背中を見送り、銀時は小さく溜め息を零した。
「銀さん…ごめんなさい…」
声に振り返ると、あやめはしゅんと下を向いて目を伏せていた。どうやら先程自分がした、まるでお妙への当て付けのような行為を恥じ、反省しているようである。
「何?妬いちゃった?」
銀時はそんなあやめのいじらしい態度に微笑を浮かべると、細い体を抱き寄せて額に唇を押し付けた。
「丁度いいから、このまま昼飯にしようぜ。さっきの続きは…また夜な」