一国傾城編終了のお知らせ

今回の長編は銀さんの株をただ下げるだけの話だったな…、というのが率直なところ。
以前の銀さんだったらこんな話にはならなかったと思う。

そして傾城編は作画に救われて中身がいまいちな長編だった。
いち花魁といち家老の恋愛が国を動かす大事になるとか、元設定自体がどんどん飛躍していくのにまず着いて行けなかった。攘夷を鈴蘭でサンドしてみました、みたいな。話が行ったり来たりして結局何がしたかったのかが分からなかった
話の根幹は月詠が万事屋に持ち込んだ厄介な依頼なんだから、まずメインで先頭きって働かなくちゃならないのは月詠の筈。
なのに戦闘と後日の後始末は万事屋・見廻組・真選組にお任せ状態。吉原の自警団・百華の面々はメインの戦闘時に全然働きが見えなかった。
月詠は月詠で雑兵と戦闘力0の定定相手にしてるだけ。更に話の後半は「銀時ィ銀時ィ」が耳について仕方なかった。
心配するのは結構だが、少しボリュームを下げるかエリザベるかにして欲しかった。

それによって月詠は本編で「好きな男を追いかけるのに必死で、一番重要な爺やの身柄は新八神楽に押し付けた」という無責任な印象しか残らなかった。それはすごく彼女にとっても残念なことだと思う。
あそこは月詠が背負って吉原に連れてく所だろう。月詠がその為に万事屋巻き込んだんじゃないの?しっかりしなよ。

結果、心中立てしたかったのか爺やを助けたかったのかが全く分からないことに。
少なくとも月詠が爺やを背負っていれば、朧登場以降をまるっと削除できて変な方向にいかないし、そのままラストに持ち込めば雰囲気台無しの缶けりもなくすごくキレイに纏まっていたと思う。

それに、最近キレまくりの銀さんも余計にキレることもなかった。銀さんには「いざという時頼りになる」という印象があったけど、最近どうもキャラがおかしい。
城は警察に任せて「じゃ、俺らの用は済んだから」って面倒事は回避して、のらりくらりとんずらして。それで影から万事屋で爺やと月詠の帰還をサポートしてフェードアウトする。そんな感じにできたのでは。それでラストの桜だったら感動的だったかもしれない。
実際は寄り道し過ぎて全体的に話がぼやけてしまい、う〜んという感じだった。

少なくとも以前の銀さんだったら脇に回っていた。今のように「また銀さんキレたの?」とか「はいはい銀さん銀さん」とか思わなかった。
そんな頻繁にマジ切れする人だったっけ?
今回の長編は、万事屋の位置は真選組くらい、せめて見廻組くらいの影の濃さでよかったんじゃないか、と。もういい加減銀さんが暴れて終了という流れに飽きた。

銀さんというキャラの出す味はキレ無双になることじゃないと思う。
いざ戦闘になると「面倒くせぇ、後はよろしく」というのが通用する主人公だった。でもやるときはちゃんとやる。もし月詠が爺や背負って吉原に戻ってたら、万事屋は全力でそれを護衛したと思うし、銀さんの戦闘シーンもその程度で十分だった。
余計なブチ切れシーンや白夜叉カットもいらない。
毎度毎度やられると、今こそ!って時にありがたみに欠けるしw

今回の長編は月詠にとっても株を落とす話だったんじゃないかな。
逆境に晒されながらも強く生きるクールな女、という所が彼女本来の魅力だと思っていた。その静かな強さが銀魂女性キャラとして新鮮で、面白いキャラがきたなと思っていたのに…。
今や好きな男追いかけるただの世間知らずのお嬢さん状態。

「普段はクールだけど女の子らしい一面もある」
これをギャップとしたなら、それは彼女の場合大きな間違い
そもそも月詠は「女を捨て」そして「他の女の“女”を奪った」という設定のキャラ。そんな彼女が「女の子らしい一面」を持つということは、自分の存在はおろか百華そのものを否定することになる。ギャップどころか月詠最大の短所になっている

月詠が銀さんに惚れても「この傷が無かったら」とか言わなかったら。彼女の印象もだいぶ変わっていた。

たとえば月詠が『女を捨てたつもりが捨て切れていなかった。本当は自分が許せないが、今命を絶ったり吉原から去るわけにはいかない。何より日輪や百華の者達を裏切る事は絶対にできない。だからわっちはこの“心”を殺す。そしてこれからも日輪やわっちを信じてくれた者達の為に、この吉原で“死神”として生き続ける。だから、吉原の者としては銀時に感謝の思いはあるが、次に会った時には貴様を殺すだろう』と本編からフェードアウトしてたら、私的にさっちゃんの次くらいに格好いいキャラだったなぁと思った。もしかしたらさっちゃんの次に好きな女キャラになったかもしれない。
少なくとも「わっちの心をかき乱すなよりはマシになってたと思うよ

まぁ今更何やっても矛盾しまくりだし、もう手遅れだな。


以上、傾城編(と月詠)の感想でした。