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好きと嫌いの境界線上の存在

虫が嫌いです。

目や類や門の違いも関係なく、節足動物だろうと環形動物だろうと貝殻の退化した陸生の巻き貝だろうと、苦手です。

それでも例外というものはあって、こういう感じの爽やか系のルックスの蝶は好きな方です。なんて名前のやつかはわかりませんが、綺麗目路線なのは間違いない。

真夏になると服に寄ってくるアゲハ蝶とか、綺麗ですよね。幼虫も苦手ですがまだマイルドなビジュアルな方だと思います。

まあいくら綺麗と言ってはみても、もちろん触ることはできないのですが。あれ、それって好きって言えるのかな?

結局生物として好きって言うより、デザインモチーフとして好きっていうのが本当の所です。


蝶のモチーフと言えば、私が十代の頃に蝶のモチーフがかなり流行ってたように思うのですけど、あれらを好んで手にしていた女の子達のいったい何割がリアルな蝶を平気で触れたというのだろう……うん、そんなもんだ。

ところで蝶の属するチョウ目には、日本人の鬼門・蛾がいるわけですよ。蝶と蛾って実際ほとんど変わらないらしいですが、何故か日本では蛾は嫌なイメージがついて回りますよね。かくいう私も苦手です。サイズが大きくなればなるほど、毛がフサフサになればなるほど苦手です。

一度図鑑に載ってるようなめちゃくちゃ大きくて青白くてフッサフサの蛾に外で出くわしてしまった時は、リアルな悲鳴が出ました。ひいい。

これはある時期、ある場所での夜の話なんですけど、その時私、地元を離れてちょっとの所にある、とある田舎へ遊びに出てたんですよ。たっぷり遊んだその帰り道、夜の田舎道を自転車でね、すいすいと進んでゆくんだ。

あれは五月頃だったか、それとも小春日和の頃か、詳しいことはもう忘れてしまったんですが、とにかく木々の間をさぁーー、と抜けていく風が気持ちよくてね。

そこへ、数メートル前方の地面に、なんだか白いものが落ちてるのがぼんやりと見えたんですよ。

私、目が悪いものですからそれがなんだかわからずに

『ゴミかな?いや、それにしちゃ〜でかいなー。まさか仔猫の死体ってことはないよな?いやいやいや……』

なんて思いながら、ペダルをひときわ強くグワッと漕いだんです。

というのも、田舎道はなだらかな上り坂に差し掛かったんですねえ。

グワッ、ギッギッギッ、グワッ、ギッギッギッ。

なにぶん古い自転車ですから、ひと漕ぎごとにペダルがうるさく軋みます。

嫌だな〜嫌だな〜、怖いな〜、本当に仔猫の死体だったらどうしよう……

どうしようも何も、坂の中腹なんかで止まれやしない。いいや止まれるけれども、そしたら今度はその白いものの所まで歩いて行かなくちゃあならない。それは嫌だ。もしあれが何かおかしなものだったとしたら……

そうこうしている間にも、白いものもの距離はジワジワと縮まってくる。

そら、そら来た、もうすぐ擦れ違うぞ。ウワァ、嫌だな。よし、一気に漕いで通り過ぎちまおう。

グワッ、ギッギッギッ、グワッ、ギッギッギッ

その時ですよ。その白いものが、急に

パタッ

と、動き出した。

『うわっ!』

突然のことなもんで、ガバッと、思わず足を止めて、身体を自転車ごと仰け反らせた。

『なんだよ、なんなんだよこれ、気持ち悪いなあ、参ったなあ〜』

そう、その白いモノっていうのは、掌を二つ広げたなんかよりもよっぽど大きくて、毛がフサフサで、青白ーい色をした、生まれてこの方見たこともない大きさの蛾だったんですね。

それが私が通り掛かった途端、重そうな身体をズルズル引き摺るように、ブワッ、バサバサ、パタッ。ブワッ、バサバサ、パタッ。カクカクカクッ、と、激しく動き出したからたまらない。

『うわあー、うわあー、助けてくれえー!』

あとはもう無我夢中で、その場を逃げ出した。息を切らして鼻水を垂らして、上り坂をとんでもない速さで登り抜けたのを覚えてますよ。

幽霊や怪異現象よりも、虫の予測不能な動きの方が怖い。そんな――お話でした。



露骨にどこかのデザイナー兼タレントを意識しすぎてイラッときましたか?ただ下手な怪談話よりも恐怖体験だったのは確かです。


嫌い嫌いと言ってばかりもどうかと思うので、最後に好きな虫の話。

てんとう虫は手放しで好きです。特にナナホシテントウ。あのアイドル感はすごい。

幼虫は厳つい顔してるけど、成虫は嫌悪感なく触れる唯一の虫と言ってもいい。もう名前からして愛され感ものすごい。

てんとう虫はお天道様の虫、ってどこかのコロネみたいな前髪したギャングスタも言ってたしね!日向者感半端ない。

てんとう虫、レディバグ、レディバード。ネーミングがめちゃくちゃ優雅。可憐。めんこい。幸運のシンボルとか言われちゃって、かわいらしいチャームになっちゃうくらいの愛され者。

はーあああー、てんとうむしかわいいよー、星の量は七つくらいまでが一番かわいいよー、そのライン越えてくると若干魅力に翳りが出るよー、二つくらいのやつはもの足りない感が逆にかわいいよー、物事には適量というものがあるよね。

ただし幼虫様は全ての星の数においてもノーサンキューだ。

(エゴだー、結局ものすんごいエゴだー)
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