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ドッキドキ奈良旅行 その壱





「…何だよ、店員の許可もなく、店の中庭を撮ったのか?」
「だって、神田が自分の家みたいなモノがあるっていうから…」
「だからって、撮る必要はねェだろ」
「……いつか行ってみたいな、神田の実家」
「…まぁ、そのうちな」
「約束ですからねっ」




「あれ?僕、こんなの撮った覚えは…」
「うわっ」
「神田?」
「な、何で自分の見覚えのねェ写真、貼ってんだよっ」
「だって、ちょうど目に留まったから…。これ、リナリーが着たら似合いそうですよね?」
お前の方が断然、似合う…
「神田?何か言いました?」
「何でもねェ、次いけ、次っ」



「奈良町って、本当、素敵な町並みでしたね」
「そうだな」
「格子窓からは通りがよく見えて…。昔の方は、此処から町の様子を窺ってたのでしょうか?」
「恐らく、そうだったんだろうな。けど…」
「けど?」
「何て言うか、格子窓は違うモノを連想させられねェか?」
「連想?例えば…何ですか?」
「遊郭の窓…とか」
「遊郭の窓?」
「…だから、外から娼婦を選べる窓…みてェな…」
「……神田の変態っ」
「へ、変態って、なんだよ。俺はただお前が聞いてきたから、答えただけだろうがっ」
「そういう発想が、変態だと言ってるんですっ」
「男だったら、普通、考えるだろ」
「考えません、万年発情期のキミだけですっ」



「僕、初めて鹿を見ましたよ。尻尾が短くて、眼はつぶらで可愛かったですね」
「…っていう割に、結構怯えてたじゃねェか、お前」
「だって、鹿がこんなに餌に群がってくるとは思わなかったから」
「鹿に追い掛けられるお前の姿、かなり笑えたゼ」
「うぅ、酷い人だ」



「五重塔か…。お前、鹿に追い掛けられつつも、ちゃんと、写真、撮ってたんだな」
「当たり前です。でも、足元見ずに上ばっかり見てたから、ブーツの裏が鹿のフンだらけで…。後で泣けてきましたよ」


◇◇◇

何処まで続けようf^_^;
あと1ページやったら、止めます。

今更ながら、神アレも良いけど、光俄でやっても良かったな、なんて思いました。

鹿に追い掛けられる俄雨――きっと可愛かろうに。

キミと振り返る、ドッキドキ奈良旅行 神アレの場合 −プロローグ−



談話室の横を通り掛かると、見慣れた姿が目に留まった。

「……モヤシ?」
「あ、神田…」

声を掛けられ肩越しに神田を確認したアレンは、ふと手を止める。

「お前、こんなトコで何やってるんだよ?」
「あ、ちょっと、写真の整理を…」
「整理?」

言葉に促されるようにテーブルの上に視線を滑らせれると、数え切れぬ写真の束と、分厚いアルバム。
束から一枚手に取れば、見覚えのある風景が写っている。

「これは…」
「この前二人で行った、奈良旅行の写真ですよ」

そんな風に答えると、再び手を動かし始めた。
アルバムの透明フィルムを静かに剥がし、写真の山から一枚選び出して、台紙に綺麗に並べ、台紙にしっかりと貼り付けていく。

「よしっ、完成」

何ページか同じ動作を繰り返したアレンは、最後のページに写真を貼り終わると、神田の前に出来上がったばかりのアルバムを差し出した。

「…はい、神田」
「何だよ、これ…」
「うん?僕たちの想い出がいっぱい詰まった、愛のアルバムです」
「で?」
「で、って?」
「何故これを俺に渡す?」
「うん、折角だから、君と一緒に見たいなと思いまして…」

ポンポンポン。
アレンは満面の笑みを神田に向けながら、自分が座っているソファーを軽く叩く。
どうやら側に来て、隣に座りなさいと言いたいらしい。

「何で、俺が…」
「こういうものは二人で見た方が楽しいじゃないですか。それとも君は、僕と二人で見るのは嫌、ですか?」
「別に嫌とは…」
「じゃあ、一緒に」

可愛く言われて微笑み掛けられれば、神田のハートは容易に揺らぐ。

「………」

ぐうと唸って、暫く考え込む。
この後、一人森に篭り、鍛練に励むつもりだったのだが…。
アレンのこと、無下に断れば、それ相応の罰が与えられるに決まっている。
この前は機嫌を損ねて、二週間にも及ぶお触り厳禁の刑に処せられた。
かと言って、鍛練もしなければならない訳で…。

あぁ、どうしたものか――。

色んな考えが脳裏を交錯していく。
散々迷った神田が出した答えは…。

「…ったく、しょうがねェな。ホンの少しだけ、お前に付き合ってやるよ」
「やったぁ。大好きです、神田」

結局神田は、アレンの天使のような可憐な微笑みには敵わなかったのであった――。



…続く。



◇◇◇


何故に続くのか…f^_^;
何故に神アレなのか…。
(書き始めたら、こうなりました)
次から、写真載っけてきます。

宜しければ、今暫く、お付き合い下さい。

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