薄灰色の空、雲の隙間から入り込む太陽の光、隣の部屋のドアが閉まる音。

真っ白な薬をゴクリと流し込み、するりとベッドの中へと入り、意識も身体もとろんとし始めることが堪らなく幸せで、うっとりとしてしまう。

鈍く痛むお腹も、重たい足も、切り傷やささくれが増えた手も、いつの間にか増えている身体の痣も、生きていることを文字通り“痛いほど”教えてくれます。それはそれで忘れっぽいわたしには、生きていることを忘れさせないでくれるので悪くはないと思っています。


季節の変わり目と言うのは、体調が不安定になるので用心していたのだけれど、急激な寒暖の波に飲み込まれてしまいました。

毎度のことのようにカーテンは日差しが入ることのないよう丁寧に閉め切り、くすみがかかった青のチェック柄のバルーンスカートを履き、ふらふらした足取りで買いに行った焼き立てのパンをかじりました。

全ての予定をキャンセルする作業は億劫で爽快であることを、強く感じました。今日のような日に行えば、その感じはひとしおです。



昨日はシュッと水を出した霧吹きの下を潜るような雨が降りました。迚冷たい秋の雨に濡れる金木犀の香り。


バンド

バンドのミーティングをしていたのだけれど、ライブで演奏する曲を決め、担当を決め、今後の予定をざっくりとだけ決めました。

経験者と初心者が半々、全員がO型、そもそも違うジャンルのサークルで集い、違うサークルへも所属を決めたような、自由で可笑しな集まりなのである。そんなわたし達は無名で何もなくて、これからの未来しかない、そんな胸がワクワクする場所に立っている。これから歩むこのバンドの仲間達と仲良く手を繋ぐよりも、荒々しく肩を抱き合ったり、小突き合ったりしながら歩んでいきたいとわたしは密かに思っている。ひっそりと。