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滑り台から転がした遊び心

橙色のランプの灯りが、その空間に存在する物体の輪郭をぼんやりとさせる、そんな時間が癒しの時間なのです。

好きな物に囲まれている、包まれている、そう実感して過ごせる空間は、真っ白な砂糖をたっぷりと溶かしたココアが、喉を温めて通ると同じぐらい、好きな瞬間です。そう思うあまりに切り取ってしまいたいと思っています。


ベッドに首まですっぽりと入り、うとうとしながら瞬きをするわたしの手を包み込む温かい手、まだ夢うつつなわたしの前髪をさらりと流して、こめかみを撫でる指、頭に触れる顎や額に触れる胸。人のぬくもりを感じながら、呼吸をすることは心地好いですね。最近、初めて知ったことです。


公園

ある風の強い晴れた日、ふわふわと心許ない足取りで出掛けていたら、ふと、近くに公園があると聞いたことを思い出し、公園を探し歩きました。

大きなマンションが側に建ち並ぶ小さな公園。少し寂れたカラフルな遊具、数本の木、人懐っこく気紛れな鳩、古くなった木のベンチ。

髪の毛を悪戯な風に乱されながら、木のベンチで日向ぼっこをしていたのですけれど、気が付けばふっくらとした鳩が集まっていました。残念ながら、食べ物を持ち合わせなかったので、今度はクッキーかビスケットを持って行くことにしましょう。


それでは。

日溜まりのホットケーキと

まだ微睡むような新しい街、ふて腐れたように白む空、見向きもせずに照らす街灯。そんな景色に、そっとよろしく、と呟きました。それがこの街での始まり。


一人暮らし

三月十一日から、一人暮らしが始まりました。思っていたよりも、夜空の星は心許なくも、ちらちらと瞬いているし、目映い朝日はほんの少し憂鬱を連れてきたけれど、窓の側に出来る日溜まりに、コロンと丸まって瞼を閉じれば、そんな憂鬱も愛しく思えてくるのです。


そうそう、初めての一人暮らしの食事は、蜂蜜をたっぷりとかけた、シンプルなホットケーキでした。実にわたしらしい!けれど、まずはパスタやオムライスのレパートリーを増やしてゆきたいですね。


よく部屋の前に、真っ黒で艶々とした羽のカラスや灰色の帽子に白のワンピースを纏ったような模様のハトが遊びに来ます。可愛らしいので、よく見つめています。


引っ越してからと言うもの、毎日出掛けては、とりあえず、洋服を買っています。

金色のパンプス、キャラメル色の短いブーツ、生成り色のストライプシャツ、手触りの良くて軽いパンツ、ブラックチョコレートのような色をした、ボタンが付いているカーディガン、アシンメトリーなミリタリーコート…etc.

次の土日には、スーツを買いに行く予定です。きっと恐ろしく似合わないことでしょう。


ちっとも美味しくない門出とやらに、真っ赤な舌を見せ、クルリと背を向け、振り返らずに颯爽と歩き出しましょう。

女の子の墓標を立てて行く

卒業

頗る憂鬱な三月三日は卒業式でした。“卒業”が嫌なのではなく、“卒業式”が嫌なのです。静かな気持ちでこの街から立ち去りました。

哀しいことばかりが蘇ります。終えた気がしないのは、達成出来なかったことばかりだからかもしれませんね。卒業式はまるでお役御免のように、何処かの世界に投げ出されるような気分でした。


先生や後輩からの寄せ書き、小じんまりとした花束、写真写りの酷い卒業アルバム、薄っぺらい卒業証書、笑顔の引き攣った卒業写真。


見慣れた背中を見続けていたいけれど、見慣れた背中が一つもない街で、日々をこれから生きてゆくのです。

全ての方々に、心からの感謝と、平穏と幸福が共にあることを祈ります。


さようなら。
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