嵐「今回の日記は管理人がずらかった為、俺らにお鉢が回ってきた」
明良(以降、明)「なんで」
嵐「さあ。ただまあ、日記らしからぬものしか書けないから座談会に逃げたのかもな」
明「ま、いいけど。おれら二人だけ?」
嵐「いや、あと一人……」
慎「はいどうも。お久しぶりです」
明「うわっ、びっくりしたー……もっと普通に現れろよ」
慎「うーん。普通の人間じゃないからねえ」
嵐「まあ、そのあたりは突き詰めるとめんどくさいから後回し後回し。しかし妙なメンバーだな。この三人になるのはしばらくぶりか」
明「あの後、慎はいなくなっちまったもんなあ。元気?」
慎「見ての通り。でなかったら、こんな所まで来ないよ」
嵐「どこで何してたんだ?」
慎「全国津々浦々、気の向くまま歩き回ってる。今は暑いから東北に逃げようかなって」
明「うわー優雅。おれもそんなんやりてえ」
慎「でも結構厳しいよ。野宿は怖いし」
嵐「ああ、熊?」
慎「熊ぐらいだったら、こっちが先手を打てばいいけどね。寝たフリって意外と通用しないらしいよ」
明「目を見たまま後退すりゃいいんだろ。って何、会ったの?」
慎「いや。農家のおじさんと仲良くなって、それで教えてもらったんだ。怖いのは猿なんだよね。咬んだりするから」
嵐「まあ人間を見るって言うしな。猿の北限が段々北上してるらしいから、畑共々、人間も気を付けにゃならんようになるわけだ」
明「そのうち人間が檻に入って暮らすようになったりして」
慎「結構笑えない冗談だよね、それって。どちらが自分の分を知るかってところじゃないかな。分相応、不相応。謙虚な気持ちは何に対しても必要だよ」
嵐「良いこと言うなあ。心が痛まないか、明良」
明「いーや全然。むしろ、より謙虚になって危ない橋は渡らないようにしようと思ったね。ホラ、自分の分ってものをわきまえてるから、おれ」
嵐「わきまえてる奴の口から出た言葉とは思えねえな」
慎「でなかったら今頃、罪悪感に苛まれてるよ。時々羨ましい」
嵐「……明良が?」
慎「この神経の図太さは天性の才能だろう。真似しようと思ったって真似出来ない」
嵐「ああ確かに。正論」
明「心なしか見えない悪意を感じるのは気のせいか?」
嵐「俺は悪意をたっぷり込めとるが」
慎「別に悪意を込めたつもりはないけどなあ。でもそう思うってことは少なからず心当たりがあるんだ」
嵐「大有りだろ」
明「お前、親友相手に庇ってみせるとかしろよ」
嵐「その親友を体よく使ってんのはどこのどいつだ。やっぱり金取るしかねえな」
明「わっ、横暴!資本主義の亡者!」
嵐「民主主義につけこんどいて何を言う。ちょっと料金表作ろう」
慎「今までボランティアだったんだ?」
嵐「必要経費以外は請求したことないな」
明「親友だからさ」
嵐「とりあえず必要経費にどう上乗せしていくか……」
慎「本気だねえ」
明「民主主義の最後の抵抗!」
慎「あ、逃げた」
嵐「なにが抵抗だ。じゃあいいや、二人で飲みに行くか」
明「あ、ひでぇ。二人だけでずるい!」(遠くから)
慎「料金制が怖いんだね。わかりやすいなあ」
嵐「どつきに行ってやるから待ってろ馬鹿」
慎「とするとここらでお開きかな。全く実りのない会話ですみませんでした。またどこかでお会いしましょう」
明「さよーならー!」