Messiah Program※アホリズム妄想です




世界は導く者を必要とする。キリストであれ、釈迦であれ、人類が困窮する度に、それを見計らったかのように『救世主』は現れた。人間の中から。

「……今回は随分探すのに手間取ったよ」

表面的な笑顔の男が、一人の学生の前に立つ。学生は焦ることもなく、悠々と口許を孤に曲げていた。

「君が今回の『救世主』だったのかい。――六道黄葉くん」

瞬間、六道と呼ばれた学生の姿が"変"わった。

「毎回、文字や容姿を変えて学生の中に巧く紛れ込んでいるが……今回は特に判り難かった。何せ、普段表に出ないんだからね」
「それはそれは。どうせならその儘気付かなければ良かったのに。オレのこと」
「それでも君は、基本的にこの学園で生き残ってしまうから。それが『救世主』の宿命だよ」

男は笑った。

『救世主』は――本来、人類の危機にしか現れない。しかしその因子を持つ、つまり『救世主』に成り得る者はどの時代にもいる。その眠れる『救世主』を叩き起こし利用する目的で造られたのが、楢鹿という学園である。

世を救う為に、遥か昔に生み出された彼は、器としての宿主を守らなくてはならない。宿主がいなければ彼も現世で動けないからだ。故に、宿主が危険に晒されれば、助けざるを得ない。

「言っとくけど、今回、オレは怒ってるんだ」
「どうしてだい?」
「巻き込んだ生徒の数が、例年の比じゃない。それに、わざわざ生徒を操ってオレの宿主……黄葉くんを追い込んだ」
「追い込まねば、君は現れない。それに、ただの器じゃあないか」
「……話が通じないな」

六道が左手を揺らす。何かを投げるように。一瞬遅れて、胡散臭い笑顔の男の真後ろにあるオブジェが破裂した。

「良いよ。もう、こんな馬鹿げたことは終わり。人間の遊びに付き合ってやってたけど、止めた。オレがぶっ壊してやる」
「壊せるかな? 神に背くことになるよ?」
「壊すさ」

六道は薄笑いを浮かべてネクタイを緩めた。

「それじゃ、――始めようか。本当の救世を教えてやるよ」




アホリズム読んでたら妄想がひろがりんぐ。
理事長?学園長?と黒六道が戦えば面白いと思ってやった。あくまで妄想です。