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夏の端を隠れて切り取った

夏の思い出


三浦半島、城ヶ島、油壺、初めて訪れたその場所は名前を聞くからに、真面目な日本の海や真っ白いカモメ、塩の香りを思い起こさせた。

その日、そよそよと朝の風が心地良くて、今日は過ごしやすい日だと思ったわたしは柔らかく使い勝手の良いデニムのパーカーを羽織り、塗り絵をしたくなるような薄いスカートを穿き、スニーカーにリュックと、動き回るのに最高の格好で出掛けたのだけれど、予想以上に暑い日でした。


水族館も訪れたのだけれど、アシカは気だるそうに目もくれず、カワウソは何もかもそっちのけですやすやと眠っているし、なんともものぐさなことこの上ありません。それでも十分に可愛いのだけれど。

そうそう、可笑しなペンギンがいたのです。そのペンギンは人に一番近付ける場所まで近付き羽を広げ、口をぽっかりと開けていたのです。それも長時間もです。サービス精神が旺盛なのか、エサを待っているのか、夢中でパシャパシャと写真を撮っていたので、気付けばフォルダは可笑しなペンギンだらけでした。


それからイルカにも会いに行きました。いつだったか誰かが言っていたこと「イルカは幸せな人にしか近付かないんだって」誰が言ったかも分からないそんな言葉を思い出しながら、会いに行きました。

小さな黒い瞳はとても優しい眼差しで、すいすいと流れるように泳ぐイルカにうっとりし、一緒に泳げたらと感嘆の溜め息ばかりをついていました。胸がドキドキしました。


水族館を出てからは、頃合いも良く夕日を見に城ヶ島へと向かいました。遠い海原を掻き分けて吹く潮風は強く、わたしの緩いウェーブヘアーは鳥の巣のようになりました。カモメもトンビも気持ち良さそうに飛んでいました。

あまりの美しさにはっと息を飲むわたしの隣で「また来るから大丈夫よ」と、誰彼ともなくポツリと呟いた言葉に、キラリとした生きる希望の輝きを見ました。


切り取って、お気に入りの入れ物にしまって眺めていたい、そんな時間を過ごしました。夏の思い出の一つ。


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