「青空日和」
絵の半分ほどもある青空を見ていると、ここはきっと高原なんだろうな、穏やかで涼しい風が吹いているんだろうな、と色んな想像が巡ります。天高く、突き抜けて青い空。その下で笑いかけてくる女の子の笑顔も青空日和なんですね。背景にある風車や舞い散る花びらが綺麗。

「むかしのはなし」
無彩色の中にいる男の子と女の子。そして女の子が背負う歪なもの。見えないけど男の子の方にもあるんだろうかと。その二人が覗きこむのは窓なのか、はたまた映像なのか、どちらにせよ二人には遠い世界のものなのでしょうか。むかしむかし、と語りながら眺めるにしては眩しすぎる青空だなあ。

「煌めく展望」
この空から地面にかけての色のくすみ方が好きです。これぞ空気の層の色。明るく柔らかな色と絵の中で、顔を向こう側にむける彼女の希望と不安たるやどんなものか。どんな表情でどんな気持ちで飛行機を見ているのかなあ、でも大丈夫そうかな。光が空から彼女に向かって降ってくる。それなら、と安心して見送れる気持ちです。

「暗雲」
この綺麗なお姉さんのどこに!?と思ったら遥かに見える雷の筋。下方はピクセルが崩壊していくような。よく見れば王冠にも不穏な形と色。これ雷様よりも怖いやつなのでは…笑顔で怖いやつなのでは…とガクブルしながら見ていましたがやっぱりお姉さん綺麗です。あとお名前のサインが耳飾りに見えてかっこいい!と思いました。

「SKY COLOR」
中空から舞い降りるように「夜」から「夜明け」、そして「昼」から「夕暮れ」の空がやってくる。それぞれの色をまとったそれぞれの彼女たちに、それぞれの時間の物語がありそうな予感。あちらこちらを向く顔や表情も合わさって、その「空」のような性格でいそう。個人的には元気そうな「昼」の彼女のお話を見てみたいです。

「情空 旅模様」
私の知っている切り絵は新春のあれで(いやあれも凄いんですが)、それとはもう別世界のものが広がったー!な驚きでした。つまんでいる手は狐なんだろうか…滴る水のような雨降りの光景のような、いやしかし背景は青空…これは狐の嫁入り?と妄想が尽きることはありませんでした。人間すごいというかからつきさんがすごい。

「流れ星はどこだ」
こういう配色センスは自分にないなと眩しいものを見る思いです羨ましい。流れ星を探しながらも、いや待て、背景の月や星はがっつり縫い止められているじゃないの、と、そうするともうこの絵の枠を飛び越えた所に世界観が広がるのかなあと。あるかないかもわからない流れ星を探す旅路を、自分なりに楽しんでいそうな雰囲気。

「雲掴みの民の天空信仰」
これセンターに題名入ってここから物語始まるんですよね!!!と新連載の期待感200パーセント。六人がそれぞれの背景を背負い、その核心となる部分でもって六人は重なっていくのかなあとか。猛禽類を思わせる翼や手足が大変に好みでした……難しいんだよ……

「透過、響くは星茫(きみ)の音」
天を仰ぐような表情は穏やかで笑顔にすら見えるのに、何かをなくしているような喪失感。手に持つのは残ったものなのか、それともやっと手に入れたものなのか。脱げた靴、敗れた羽、その下に見える足は片割れのもの?と思いましたが、実はこの子自身のものだったり、とも考えました。

「空色キャンバス」
さて次はどんな空を、どんな色で、どんな風に描こう、と楽しそうな雰囲気でもありますが、どことなく絵を描いている女の子には寂しさも感じつつ。描いているこの子自身が、描いた空の所へ行きたいんだろうか。描いた空の数だけ希望がどんどん膨らんでいくような瑞々しさです。

「天空(そらから)の使者」
タイトルの読みにぐっと惹かれました。それを最初に言いたかった。鳳凰を思わせる大きな鳥、そのモフモフ感…神々しさと羽毛の気持ちよさと…しかし手前に見えるのは瓦礫でしょうか。そして鳥が一本足のように見えるのですが、瑞兆のようにも凶兆のようにも見えてしまう。絵の中の子は何を思ってこの鳥を迎えているんでしょうねえ。

「空想少女」
きりっとした眉に大きな目、きゅっとしぼった口に黒い髪。空想少女、というかわいらしい語感の中に収まりきらない女の子のインパクトの強さ。横顔がかっこいいです。あ、空想とはそのままではなく「空」を「想」うということでしょうか。耳に揺れる飛行機のピアスが決意表明のように見える。

「 「僕へ」 」
あ、これ社会人や大人にささる絵だと思いました。私はぐっさりきた。スーツに仕事鞄に…その向こうに広がるオーバーザレインボー…うっ心が痛い。ひとしきりささった後はデトックスのように清らかな気持ちになれる絵でした。あの紙飛行機には何か書いてあったのかなあ。辺りに舞うのは何回もトライした紙飛行機の後なのか。染みる。