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【世界で一番大嫌い】本庄兄×扇子 お題SS

徹はポーカーフェイスを基本崩す人ではない。
でも杉本さんや万葉、新といると素でいるのは判る。


でも、さ
私といる時ってどうなの?
自分ではよく判らない。

側にいるからこそ、判ってないのは
―悔しい。

一人でモヤモヤするのも嫌だから。
だから、一番の理解者に聞いてみる事にした。





「は?」
「だから、徹って私といる時どんな顔してるの?」

気持ちのいい月曜。オープンテラスの雰囲気のいい喫茶店から声が聞こえてくる。

「…どんな顔って、突然どうしたんだよ扇子?」

いきなり言葉が出たと思いきや、予想外の質問に戸惑う万葉。
「ん―…何か気になっちゃって。だってあの人、ポーカーフェイス保てる人じゃない、私と一緒にいて楽しいのかな―って」

…彼女と一緒にいて楽しくない筈ないじゃん…というか、

扇子、気付いてないのか…本庄さん結構笑ってるぞ。
と言ったらどうなるのか不安なので心に留めて考える万葉を見て、扇子は不安に陥る。

「私が一方的で徹、つまんなくないかな…」
ボソリ と扇子らしからぬ言葉を耳にする万葉。


「扇子、顔が崩れるのが本性とは限らないぞ?」
「それは、そうだって判ってるけど―…何かモヤモヤするんだもの。」

「じゃあ、扇子は本庄さんに愛の言葉でも言って欲しいのか?」


― 一瞬考えた。
徹が真剣な目で私を見つめて

好きだ―って。

考えただけで頭の中爆発しそうな衝動とドキドキで収まらなかった。

「…そうなのか?」
考えて固まる扇子を見て何となく察しがつくから聞く。



嘘でも愛の言葉が欲しいのかな、と自分に問いかけてみる。
普段はあまり言わない人なのは承知だし
そんな徹も好きだけど、

―多分、今、「言葉の愛」に飢えてんだわ、私。


「ごめん、万葉。判ったわ」

吹っ切れたのか諦めたのか先程の悩みまくってたのは何処へやら。

「判ったって…扇子、無理に納得させてないか?」

「無理に納得してたら怒ってるわよ、私。」

いつもの調子で笑いながらテーブルから席を離れる扇子。

「嘘は言ってないわよ。」
と一言付け足すが
どうしたものか、とそんな扇子を見て悩ませる親友は
ある決断をした。



扇子と別れた後、足はある所に向かっていた。
が、ふと見慣れた後ろ姿―

「本庄さん?!」
「あ、おぅ、秋吉か」

会いに行こうと思っていた相手に早いとこ会えて良かったと内心思いながら

「買い物に行ってたんですか?」
普通に会話を始めようとする
―が。

「扇子と会ってたのか?」
顔に出てたのかいきなりストレートに意中の名前が出てきて顔が引きつるのを自分でも感じた。

ま、ま、ま、まずーい!非常にまずい!私挙動不審だよ、バレちゃうよ!
と冷や汗タラタラの万葉。


―ところが。

ピピピ と携帯が鳴る―

「あ、メールか」
携帯をポケットから取り出し、画面を見る―

その様子をヒヤヒヤしながら見てる万葉。

―目を疑う光景だった。


メールを確認したのか、誰かに電話を掛け始めた。

「あ、扇子か? 今、家に向かってるから来い。」
「あぁ、判った、後でな」

と言い、電話を切る。

呆然とその様子を見る万葉。
視線に気付いた時
「秋吉、急いでっから、またな」
「あ、はい!」

買い物袋を下げ、珍しく走って去っていった。




…これは扇子に伝えておいた方がいいのだろうか、と万葉は考える。
いや、バレてないからこのままでいいのかな、と思い留まる。

…本庄さんてあんな優しい顔もするんだなぁ。

「しかも走る本庄さんも珍しい」予想以上の愛情を扇子に注いでると判った万葉は何だか
羨ましくなって、嬉しくなってしまった。




―あのね、扇子、本庄さんは扇子からのメールでさえも 口元を緩める位なんだよ。

嘘なんてない。嫌いなの判りきってるから、だからいつか扇子に伝わると思って。





【バレない嘘は好き 嘘つきは嫌い】

2011.3.23
お題サイト様『sweetie』
雑多に5題『バレない嘘は好き 嘘つきは嫌い』
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