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【ONE PIECE】ルナミ/お題/捏造有/甘

吸い込まれる瞳は 地平線を辿って



「此処にいたのか」



振り返って姿を確認すると、
胸の傷を見る度、強くなったんだなぁ…と思う。


二年の間何をしていたとか、レイリーさんの話とか。

聞きたくない訳じゃなかった、ただ、



壮絶な心境からの二年。
聞いていいものか、判らなかった。





「今日も慌ただしかったなァ…」
にしししっ、といつもの笑顔で沈む夕日を見て笑う。


「流石新世界、ね」

「おう、こうでなきゃな!」


ぼうっと夕日を見ていたら
「ナミ」

「え、きゃあ!」


「…ナミ、お前もう少し食べろ」



何故此処で
「ルフィ…下ろして。」

お姫様抱っこ…なの。


「いいじゃねェか、俺はやりたい事は直ぐやるポリスーだ!」
ルフィの顔が夕日に照らされて大人びた顔つきに影を作り

「ポリシーよ!ふふっ…」



見下ろす顔に

そして、

また



恋心を膨らませた。




「ルフィ…?」

「…」



屈む顔は目の前で

「ナミ、好きだ」


「! んっ…」






胸に秘めた夢を一緒に解き放ちに行こう。








【そして、また】
2011.9.28

【ONE PIECE】お題/ゾロ/甘?

人前でのキスや抱き締める行為は
避けれるなら全力で避けた。



軽々しく出来る事じゃないし、大事な人とのスキンシップなら
出来れば二人の

二人だけの時に。






「んー…頭、痛い」


朝日が昇る時間帯の筈なのに、身体が重く、いつも通りに起きられなくて。

女部屋を寝着のまま出ると


「…雨の匂い」


憂鬱にさせる雨。
「あー…今日はゾロに稽古付けて貰おうと思ってたのに」


でも何故か身体は嫌と反応しなくて
「…雨の中でもあり、か…」

着替えようと女部屋に戻った。




**********



「なぁ…」

「私に聞いても解らないわよ」


全てが雨に濡れる中
素振りを止めない私。


いつもと違う様子にルフィはナミに尋ねた。



「いつもなら…避けるのに、どうしたのかしら」

「あ、ロビン…そうなのよね。困ったもんだわ」


「なぁ、ゾロは?」
「…頼んでおいたわ」

「流石ロビン、ゾロならきっと止めてくれるわね」





「…で、ずっとあれか…」
「そうなの、風邪でもひかれたら大変だし、様子も変なのよ」

トレーニングを済ませたゾロが視界に入ってきた。


「…解った。」
「頼んだわ」






雨の音と足音を察知する。

ゾロの歩き方。
直ぐに解るから


思わず身構えた



降り続く雨は頭に被せたタオルを濡らす


「…お前…なんつう顔してんだ」


立ち止まった足とゾロの表情は
驚きと見た事のない喜びの顔




思わず みとれた。




雨は止まない


「…お前、そんな顔、俺の前だけにしろ」



「えっ、私どんな顔した?!変な顔だった?!」



タオルから覗く少女の顔は凜として 誰にも見せたくない、らしくない思考がよぎる。


「誰も見てねェのにな。俺だけだぜ?」


早く腕におさめたくて、距離を縮めると

「…っ、だから恥ずかしいの!ゾロだから!」


濡れた頬が潤んで 息を呑むしか出来ないから



「…だったら、もっとその顔見せてみろよ」






細い腕を掴んで引き寄せた。











【誰も見てはいないのにね】
2011.9.26

【ONE PIECE】お題/ゾロ/切甘?

いつもなら、この時間帯は お前は寝ている

筈 だった。




「っ…いったぁ…」



消え入りそうな でもしっかりと俺の耳に入る声。


胸騒ぎはしなかったが
何をしているのか気になった。



小さな島に滞在して二日目の夜。
俺達は此処に来る前に割りと名の知れた海賊の敵襲に遭った。
怪我人は一人。

…あいつだ。


あいつは激しく自分を攻めていた。
ただ、今回は珍しいケースで
この島に着く直前に戦闘してしまった。
だからこそ

臨機応変の利くお前が
あんな珍しい…




**********



「なぁ、どうしたんだ?」

「俺に聞くな」



事が片付いた後、もう一度船を島に寄せて、晩飯を済ませた俺達は


あいつのらしくない結果に頭を捻るばかり。


「私達は船に乗り込んできた奴らでいっぱいだったからあの子の状況、判らないのよね…」

確かにらしくない、と紅茶を飲むナミ。



「不覚だわ」

ロビンも助ける事が出来なくて真剣な顔付きのままだ。

「あ?あいつ、あの時海に片足入ってただろ?」



「は?!」


知らない真実がフランキーの口から出てきた。



「それ、本当なの?」
ロビンが変わらない顔付きで尋ねる


「あ、あぁ…俺が多分あいつに一番近くにいて奴等の相手してたから…」



「そりゃ…予想外だぜ」

食器を拭きながら神妙な顔付きでコックは呟いた。



「あの子、陸上で生活してたから…」


仕方ない、という言葉は続けないナミに

俺は怒りを収めた。



仕方ない、


それはただの逃げ道に過ぎない事を知っているから。




「…で、あいつは今」

「チョッパーに診てもらってる筈よ」




「…見張り、今晩俺がやる」


「そうだな、あの子留まっていられる性格じゃないもんな」





**********




「なぁ」


やっぱりか、と思いながらも海辺で一人構えるお前を
不覚にも愛しい目で見てる自分に苦笑した。



「…ゾロ」

「あんまり傷増やすなよ」


あまりにも揺れる瞳で俺を見るから
逸らして しまった。


「…だから、今やるの。」

再び一人の世界に入るお前に
制止する気はなかったが


俺の知らなかった事実を投げかけておきたかった。



「お前、あン時片足浸かってただろうが」



ピクッと身体が言葉に反応した
「だから!!」


急に言葉の力を感じた。

俺を強く見つめる


「…だから、そんな事で皆の足を、自分の弱さを認めたままに出来る訳ないから」


顔を海へと逸らせても、言葉は
「今の自分を、超えるの」


月の光で判った伝う涙は
お前 だから





超えて いけると思った







【片足は浸かっていた】
2011.9.16

【ONE PIECE】お題/切/ゾロ

はらはらと舞い散る紅葉。
目を細めて横たわる姿を遠くから見る。



ゆっくり 気配を消して近付く


足を止めたお前の目の前

コチコチと聞き慣れない機械音。


お前を見ても何の音か判らない。
静かに眠るお前。
紅葉がひらひら と舞い散る



「おい」
体勢を変えてお前に被さる。


コチコチと鳴るお前から



「んー?」
意識を戻したお前は


何故だか切なそうで


非日常的な画だからか?

俺は 腕の中におさめたい衝動に駆られ



「ゾロ…?っわっ!」
「…この音、何だ」



コチ、コチ…


お前から聞こえるこの音は、何だ?



状況が読めないのか引き寄せた細い腰はただされるがまま。

だが
「…懐中時計、の事?」



俺の肩にいつもの潔い手が触れた。






【懐中時計】2011.9.7
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