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【ONE PIECE】お題/ゾロ/切

欠けた月は―――
いつか、巡り逢えるのだろうか




「ゾロは見えなくなっても野生の勘で大丈夫そうだもんね」

テーブルに並んだビール瓶の数を見て仕方なく声を出す。

「もう止めとけ」

「んーそんなに飲んだ?」

無意識だったのかよ…とうんざり気味の俺を見て
「ナミとまではいかないけれど、冷静を装える位に強くなりたいよ」と


お前は言うけれど―――

そのままで居て欲しい、とは口に出せず



酔っていたお前を抱き締めずにはいられなかった。



いつかは
片方、とは言わず 全てを写せなくなるのか

目の前のお前を見つめていられなくなるのか―――



「変な事考えてるでしょ」



目を覚ましたお前は状況を確認して頬を染める

その 仕草すら―――いつか、は



「ゾロも不安になることがあるのね」

シーツにくるんだ身体が月の光に照らされて

眼差しまで光を持っているかのように


「もう片方だけなんだから、大丈夫」


そこまで持って行かれたんだから、次は私の持って行けばいいのよ

そんな、そんな
強い言葉を本心で言うお前だから―――




「あァ…」
笑えるのかもしれない。












【失った片方へ手を伸ばす】
2012*3*28

【ONE PIECE】お題/フランキー誕文/船大工×考古学者

あの時から お前と共に この海を航る事を密かに楽しみにしていた。

この感情に名前は付けずに。

解りきっているから。

だから敢えて何もせずに この感情をあいつに伝えず


―――共に「今」を歩めるのなら。



久しぶりに眩しい太陽の下にサニー号はいた。

「皆、判ってるわね!今回は治安良さそうだから、船を隠して一泊ね!」
「了解!」

クルーは主役の誕生日プレゼント探しに街へ繰り出す。

主役――フランキーは迷っていた。
折角の久しぶりの陸地。
想い人を誘って出掛けて行きたいのだが、何せ今回の目的は自分へ向けられているのは十分承知だ。

少なからず あいつも―――俺の為に悩んでくれているのかと思うと。

ふ、と修理していた手を止めて、綺麗に育てられている花壇に目をやる―――


と、「!」
そこに姿があった。


「あら、フランキーどうしたの?」
予想外だ。

「あ、いや…」
動揺を隠せず鳴り響く心臓。

花に囲まれ笑うロビンに 迷うのをやめた。


「なぁ」
「なぁに?」


俺に向けられる笑顔に―――


手放せなくて、言ってみる。


―――「なぁ」
「探さなくていいのか?って?」

数分後俺とロビンは船を降りて久しぶりの陸地に足を付けていた。

「別にそういう訳じゃねぇけど」


本当は真逆だって事も解っているんだろう。



「実は」帽子のつばから整った顔が見える。

「もう用意してあるの」
その言葉とフフ、と俺に魅せる笑顔が

―――また手放せなくさせる。


賑やかな街並みに沢山の声が飛び交う中で
「俺は幸せ者だな」

「えっ」


敢えて聞こえるのかわからない位のトーンに下げて呟く。





この年にもなってこんなに嬉しい気持ちになるのは間違いなく
俺の横に凛と立っているこの人物のお陰なんだろう。

口元が緩んでしまう。




―――そんな彼の表情を密かに知りながら
本心は「今の状況が幸せ」で。


プレゼントは一ヶ月近く前に用意していて。

この「デート」の為に余裕を見せて。
「なぁ」

「えぇ」

ふ、と彼の匂いと共に私の手に大きな手が包む。


「何処か行きたい所はねぇか?」

「それは私が貴方に言う事じゃないかしら?」

「いいんだよ」


街並みを見渡す大きい彼の姿が



好きだ、と思う。



「花でも見に行くか?」

少し強めた彼の手が
また優しくて―――

「えぇ、見たい花があるの」









手放せなくさせる。












【そのくせ、手放せなくて】
2012.3.9 船大工に沢山の愛を!!
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