スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

【ONE PIECE】ゾロ/お題/ヒロイン過去話

「お姉…さん?」







荒々しかった海から 穏やかな海へ変化する。

こんなちぐはぐな日は姉の事を思い出す。


キッチンに飲み物を、とサンジの元に向かうと
先客がいた。

「ナミ」
「あら、貴女も?」

にこっと笑って
「サンジ君、ミルクティ−作ってあげて」
「了解しましたv」

私が言わなくてもナミは理解している。


一瞬 お姉ちゃん、と言い出してしまいそうな程。




もう10年前の事になる。
私の姉は―

剣で斬られた。




「ミルクティ−出来たよ」
サンジの声で立ちつくしていた現実に引き戻されて、ナミの横にある椅子に座った。


「どうしたの?真剣な顔して」
ナミがいつものように優しく聞いてくる。


―ゾロに唯一話した姉の事。
クルーにも話しといて問題はない、か。



穏やかになった海を思い出して


「あのね…」



**********


ミルクティ−の心地いい冷たさも借りて
言える事を言ってみた。
涙はもう出なかった。



初めて全てを話した時。
ゾロの胸で一晩中泣き明かしたから。

ゾロはずっと私の頭を撫でて、涙を拭ってくれていた。


この空洞は、ゾロが埋めてくれた。



今まで姉の話をして
救われた事はなかった。後悔と現実を突きつけられた残りの肉親
―私しかいない世界。



それでもゾロは
『俺は今ある現実を受け止めておきてェんだ、そうじゃなけりゃあお前も守れねェ。』


ゾロに打ち明けたの半年前。
天気も今日みたいなちぐはぐさが鮮明に覚えている。



「ゾロには…」
「うん、もう半年前に話してあるの」

ナミとサンジは思ってもみなかった私の姉の存在に驚くばかり。
サンジは夕食の仕込みを済ませ、煙草を吹かしながら私の話を耳を傾けていた。



「ごめんなさい、隠してた訳じゃないの」
頭を下げた私に

「ううん、謝る事はないわ、よく話してくれたわ」
「そうだぜ、こんな辛い話…涙無しによく話してくれたな」

二人ともゾロと同じ反応で嬉しかった。




―泣かずにいられたのはやっぱり―



「夢を繋ぐのはゾロの存在が強いのね」

「ロビン」

「ごめんなさい。立ち聞きするつもりじゃなかったんだけど」
「ううん、いいの」


もうクルーには全てを話すつもりでいた。
ゾロも
「あいつらにも覚悟が出来たら話しておけ」と意外に許可が降りていたから。


ゾロには判っていたのかな。
もう私の空洞は自分で埋めたんだ、と。




「強いものね」

ロビンが私の横に座る。

「そうかなぁ…」
「普通に考えたら、斬られた刀を自分の武器にしようとは思わないわ」


そう。姉を斬った刀は今私の手元
二本の短刀の内の一本でも ある。


「その精神力は流石ね」

ナミは感心しながらいつものように私の頭を優しく撫でる。


海賊になるつもりはなかったけど、このクルー達に出逢えて。


「コック、酒」
「…ない」
「んだと…!」


私はこの剣を持つ決意をした。


「はぁ、折角この子の素敵な話聞いてたのに…うるさいわよ二人共!」

「あはは」
いつもの光景に笑ってしまう。


その笑顔を見てもう大丈夫、な気がした。

お前の空洞は俺が埋めてやる。




もう大丈夫、祈るなんて事はしない。

守られてばかりの自分はもういないから。


今までの姉の為に流した涙はこの空へ還す。




『生きて』

最期の言葉を私に取り込むから
歩いていく。一緒に高みに行こう。



笑顔のお前をずっと見つめていられるように。



2011.4.26
お題【私の空洞を埋められるのはキミだけ】

【ONE PIECE】SS/ほのぼの?/ゾロ

本当に言葉が出ないって言う表現に当てはまる。
言葉を出すのに時間が掛かった。




「風邪だな。喉は少し腫れてるだけだし、悪性のではないから、悪化はしないと思うぞ」

チョッパーからの言葉に
未だ『ゾロは風邪をひいている』現実を受け止めきれずにいる。

何時でも何処でも鍛えてるゾロ。

風邪とは無縁だと思ってた。


「最近戦いの連続で無理したんだろうな」

ボソッと悲しそうに呟くチョッパーを見て
はっ、と我に返った。


ゾロは確かに鍛えている けど
鍛えていれば風邪をひかないとは限らない。


だから 私がゾロの看病をするんだ、と答えを見つけて決めた。


「チョッパー、後は任せて!私頑張るから、休んできて」

チョッパーの不安を少しでも拭い去りたくて笑顔を向けた。


「…何かあったら、直ぐ呼んでくれよ」
私の気持ちを察したのか少し悲しさが消えたチョッパーの顔。
お昼を食べに医療室からキッチンへ歩いていった。




**********



少し口を開け 苦しそうな顔―

大量の汗。

用意した氷水が入ったボウルにタオルを浸す。
きつく絞ってゾロの額にそっと乗せる。
そうして何度か繰り返すうち


「…お前」

ゾロが目を開けた。


「あ、大丈夫?」
心配そうに俺を覗き込む瞳。

少し悪くねェと思ってしまった。



右手を布団から出して左頬に触れる
「あ、思ってたより熱くない。大分熱下がったかな?」


ほっ、とした顔をするから何だか申し訳ない気持ちに駆られる。



「今日はもう大丈夫だと思うからゆっくり休んで」

言葉が引っ掛かる。

「何か…あったのか?」
右手を腰に回そうとしたら


「こら、ゾロ」
困ったような声。
左手で捕らえられてしまった。


「さっき、海賊が」

「!」

「でも、弱くて。皆であっという間に「早く」


俺の言葉で遮らせる

「早く、治さねェとな」

掠れた声、でも強気な顔で。


「…そうだね」

俺の気持ちを理解して汲んでくれるお前を 守る為にも。


窓から見える穏やかな海。
熱を出さなきゃ こんな気持ちにもなれなかったかも しれない。



「何か食べれそう?」
「あァ、腹減ったな…」

「じゃあ、お粥温めてくるよ」

椅子から立ち、氷が溶けたボウルを持ち、キッチンへ向かうお前。
何だか顔が緩んでしまう。
右手を顔にかざして

「参ったな…」
確実に癒されてる今に許せてしまう自分が くすぐったかった。





「食べれそうなのかい?」
「うん、お腹空いたって言ってるから」

たまたま出会したのだろう。コックが俺のお昼を持ってこっちまで来ていたようだ。

かすれかすれだが会話が聞こえてくる。


「それにしてもあいつが熱…明日は雪か?」
「サンジ、言い過ぎだよ」



あいつ…言いたい事言いやがって…でも、
あいつが冗談ぽく言い返していない声で不思議と怒りが大きくならない。


身体を起こして額に置いてあったタオルを取り、話し声を聞いてみる。



すると

「サンジ、いい加減にしないと斬るよ?」
「す、すみませーん!」

走る音がする…コックか?

何があったのか判らずあいつを待ってると



カチャ…

あいつがお粥を持って入ってきた。


「おい」
「んー?」

あいつの顔を見たら、
目尻に涙。


「!」
「あ、これは…ちょっと…」

左手で目尻を拭って笑う。
「…何かされたのか」
自然と声のトーンが下がる。


「ううん、ムカついただけ」

持っていたおぼんをベッド横にあるテーブルに置く。


「ムカついた?」
「うん」

椅子に座り直したお前の左手を握った。



顔が真剣になるから ドキ、とした。



「サンジがゾロの悪口ばかり言うからムカついて…斬るよって言っちゃった。」


―あいつの事だ。らしくない熱を出した俺をからかってお前に言ったんだろうな。
でも


「サンジ、酷い。ゾロに謝るまで口聞かない事にしようかな」

ぷぅ、と膨れるお前。

俺の為に怒ってくれていると思うと


―幸せで仕方ねェ。


左手が動いてお粥を食べさせようと器とスプーンを持つ。
一口分掬って俺に渡そうとする手が 止まる。


「ゾロはもろいんじゃなくて、デリケートなんだよ。きっと」

そう言うお前は

うん、そうだよ。やっぱりサンジ酷い!と一人百面相するから

笑みを零さずにはいられなかった。


俺はお前が怒ってくれるなら別にいいんだけどな。


早く治して、コックを締め出しに行かねェとな、と言葉にしたら


「そうだね」


俺の好きな笑顔で言った。






【もろいんじゃなくて、デリケートなの】

2011.4.24

【ONE PIECE】お題SS/甘/ゾロ(ルナミ要素有り)

舞い散る 淡い 花弁は
この想いと一緒に溶けて 彼方へ旅立つ。


貴方に出会った為に―




**********


穏やかなグランドライン。
しかしながら 海の上―

一隻の船には異様な空気を漂わせている。

誰も近寄ろうとせず 見つめている剣士が一人。



「368、369…「…」
クルー達はその空気に耐えきれず、快晴にも関わらず甲板に出てこようとしない。

「…あの子いつまで続けるつもりかしら」
キッキンから甲板を覗きため息をつくナミ。

「随分真剣に振り回してるけど、大丈夫かしら」
汗の量を窺い心配そうに見守るロビン。

食器を拭いてるサンジが
「マリモが傍にいるっつー事は」


「「「無茶を仕出かす」」」

三人は頭上に言葉を浮かべた。
察したチョッパーが
「医者ぁー!!!!!」
と慌てふためき

「お前だろ」
とウソップがツッコむ。



「オレ、もう外に出たいのにぃ〜…」
ルフィが我慢の限界らしく身体がウズウズしている。

「でも、ゾロにすんごーい睨まれたんだろ?我慢するしかないよ」
「うぅ…ゾロ、すっげぇ怖かったぞ!でも一体あいつら何やってんだ?」





「385.386…」
「!」


視界が歪んだ。
―でもまだ、立ってはいられる。
ゾロは一瞬 私の元に駆けつけようとしたけど、


―駄目だよ。 零れおちる 現実を全身で知ったんだから。

だから 終わるまでは


私が 自分から 旅立つまでは
そこにいて。



片手が床に付く。
額の汗は感じたくない位滴る。
一つにまとめ上げた髪が風に揺れる。


目を閉じて 思い出す。



初めて短刀を握った あの感触を―

落ちた刀を拾い 再び構える。




真っ直ぐ見つめる先にゾロが立って腕組みをしている。



視線がぶつかった時


「ちょッ、―あいつ!」
「はぁぁぁぁぁ」

全力でゾロに向かって走る
ゾロが構えた


ロビンが思わず構える。
「ロビン、ちょっと待って!」

ナミが制止する。

「あの子、笑ってる―」


右手の短刀を柱目掛けて投げた瞬間
跳んだ。


左手の短刀がゾロの刀に
「やるじゃねェか…」
力強く 食らいつく。



強気で挑んだけど
やっぱり貴方は強いから。


―無我夢中で駆け抜けていくよ。






**********


柱に突き刺さった短刀を抜き「まだ駄目だねー」
と本音を零した。


「あァ?あんだけの事してまだっつーのか」

刀を鞘に収めて 納得いかない顔を向けるゾロ。

「まだ左腕を庇ってる気がする」

乱れた髪を直しながら 空を見上げたお前は
海賊らしからぬ光景だ。


「ふーあっつい。サンジに飲み物貰ってこようかな」


滴る汗をタオルで拭い、左手を握って開いてみる。



パシッ

その手首を掴まれた。


「ゾロ?」
「もう完治したんだろ?」


ぐい、と引かれゾロとの距離が近くなる。

「ちょっ、と…汗かいてるから嫌なんだけど」


上を見上げて睨んでみたけど



「逆効果だぞ、その顔」
「んっ」

左手が腰に回った。



サンジから野次が飛んだ。
ウソップはチョッパーの目を隠し、ルフィは
「ナミ!俺らもちゅーしよう!」とナミに迫る。

赤面して
「ルフィ、人前であれほどいちゃつくの禁止!って決めたでしょ?!」

ロビンは微笑んでいる。


キッキンの騒ぎを耳にして、ブルックとフランキーもキッキンへやって来た。



騒ぐクルーそっちの気で
憂いを帯びたお前を捕まえるのも

零れおちる ものを 必死に拾い上げ 俺と共に歩こうともがくお前を見守るのも。

―悪くねェ。



左手が私の頭の後ろを触る。
両手で抵抗しようにも無駄に終わってしまう。


唇が漸く離れた時
「あ、髪…」


束ねた髪がふわふわと風になびく。


目線をゾロに戻した時

「もう今日はいいだろ?」


優しく聞き出すから 左目の傷に背伸びして
キスをした。



「明日も付き合ってね」




強気なお前に見とれるのも

―惹かれた弱みだ。





お題【It spills(零れおちる)】
2011.4.19

【ONE PIECE】お題SS/甘 ゾロ

左腕の怪我から二週間。
あの暗い雰囲気は何処に行ったのやら。



**********


賑やかすぎるサウザンドメリー号。
そんな中、ナミは私の心配のし過ぎでこっちが心配になってくる位で。

毎回医療室に私の様子を窺いにこれば

「ゾロの馬鹿」
と私に愚痴を零す。
でも笑顔はお互いに絶えず―


大分身体の調子も取り戻しつつあり、朝食を済ませた後、甲板に出た。

一応帽子は被ったものの

蒼穹すぎる真上を見上げて、右手を広げ

「吸い込まれそう…」

「おいおい」

一人の空気に酔いしれていたのに
空気が引き戻される。


視線を 探したくなくても、
頭を戻したら 目の前。

「…何で嫌な顔してんだよ」

「…蒼穹に酔いしれてたかったのに―」

口を尖らせて反抗してみる



「じゃあ、寝転がれ」

その場に腰を下ろし、胡座をかいた

帽子を被っていて良かったと内心思ってみる。


絶対、今。
私 顔赤いよ―



ゾロに触れるのは久しくはないけど
自分から触れるのは久しぶりで。

気持ちが戸惑う。

うるさい心臓に ニヤっと笑うゾロの笑顔。

蒼穹―


―あぁ、また、ひとつだけ もらってしまったね。



ゆっくりゾロの横に身体を下ろし、帽子を取る。



一瞬 きょとん、として笑った。
「珍しいな、赤面なんて」

「…私からは久しぶりなんだもん、照れるよ」

目線を泳がせるしか出来なくて。


「なら」




ゾロの空気が した。

ちゅ、とリップノイズ。




その音がまた 私の細胞にサイレンを鳴らす。

どんどん大きくなる
―ゴン。


唇が離れた瞬間
鈍い音がして、おずおず目を開いたら


「いっ…てェ…」
頭を両手で押さえるゾロ。

その後ろには



「ナミ…!」
「あんたねぇ…!まだこの子は病人なのよ!」


怒りで顔をまともに見れないナミが仁王立ちで拳を震い立たせて立っている。



ナミの声に反応して
ルフィ、ウソップ、フランキーが甲板に出てくる。

「おぉ?またナミがゾロに怒ってんのか―」
「あれは仕方ねぇだろうよ。ゾロが何かしたんだろ」

ルフィとウソップは釣り竿を持っていて、会話しながら釣りを始める。

フランキーは私を見るなり
「おゥ、帽子被っとけよー!後、コレな」
とまだ頭を抱えて唸ってるゾロを見事に無視し、私にアイスティーを差し出す。

「あ、ありがとう」


ドキドキが何処か行ってしまった。


「いいってことよ!ロビンが日焼け止め塗っとけって」
「うん、フランキーありがと。」

ニコ、と笑うお前。
「さり気なく見てんじゃないわよ!」

拳が軽くゾロの頭を叩く。

「てめッ…!」

睨むナミ。


俺の横にしゃがんで
「もう迷う事なんて、らしくない事するんじゃないわよ」

ボソッと言い放ち、その場を離れるナミ。



はぁ、とため息をついてお前を見たら

「なッ…!」

帽子を被り直したお前が笑っている。

「ナミ、私の事心配し過ぎて、怒りがゾロに向いちゃったんだね」
「いや、あいつなりの俺への叱咤だろう。」


皆、声にしなくても判る。
俺への配慮が、全ては

「そっか」

お前の為。


「ほら、温くなるぞ」
帽子を被り直す為に置いたアイスティーのコップの結露が
太陽に反応して光る。




―また、此処から。



「あ」

左腕が動いて 左手で受け取ったお前が。




―好きだと再確認した。







お題【また、ひとつだけもらってしまったね】
2011.4.15

【ONE PIECE】お題SS ゾロ 下 【Mit allem Dank und.<すべての感謝を、そして。>】

感情がままならない まま、
医療室から出ると


左目がいつもより睨みを効かせたコックが 仁王立ちで 立っていた。

「てめェ、そんな死んだ顔して世界一穫ろうなんて、ふざけるなよ」

持った皿とコップを渡そうとしたが、やめた。

コックの横を通り過ぎたかった。
だが
「あの子をお前以外の奴に渡すなんて事が「言うなッ!」
「なっ」
「言うんじゃねェ!!」


答えは初めから出ている。
あいつを誰かに奪われるなんて事は あっては ならねェんだ。

驚いたサンジがゾロから皿とコップを取って
「だったら、ちゃんと守れ。あの子はお前の全てなんだろ?」

らしくない でも 痛い優しさが 滲む。



あいつは俺を 守った
―俺を 守った?



一つの疑問を自分に投げかけ、解かれた時
「あの子は此処に乗った時から命を賭けているんだ。」

左目が俺に向く。


「お前に」



はっ、とした時にはコックはキッチンへ歩いていた。


『私はゾロが希望なの』

あいつの言葉に
今、やっと身に沁みた―




**********


医療室に戻ると
お前は寝ていた ように見えた。
ベッドに静かに近付くと
「お前…」
目は開いていた。
天井を見上げ 何処か 強気で

「座って。」


促され、椅子に座った。
左腕は動かない
―「!!」


でも左手を握って開いて俺に
"動くから大丈夫"と教える。

「無理はね、して同然なんだよ。」
「んな 無茶苦茶な」
思わず答えてしまう。

「だって

天井を見ていたお前の顔が 俺を見つめる。

私は二刀剣士だもん。」

「だからといってお前が死ぬような事があったら「あって当然じゃない」

―貫いて。


「それで、ゾロを守れて、私の夢も叶えてくれたら 本望」

一生懸命な瞳
俺は今までお前の何を見てきたのだろう。


「…っ、なら俺は全力でお前を守って、傍に置いて世界一を穫る。」

鋭い いつもの眼差しが 笑みを零す。

「ゾロはそうでなきゃ!」
一段声のトーンが 上がった。


見失ってた。こいつを失う怖さが執着して、
自分の野望をお前に押し付けてた。

―違う。


「剣士ならさ、剣のように真っ直ぐ貫かなきゃ、ね」

身体を起こそうと 右手をベッドに置き、体重を掛けようとするから直ぐ支えてやる。

「貴方でないと駄目。」

勇ましさ 揺るぎない 動きもしない心。

「ッたく…」
「ゾロがそうさせたんだよ」

でも絶対に後悔なんかしてない 意味と聞こえた。



コンコン、とドアのノック音が聞こえ、
「大丈夫か?」
チョッパーがカルテを持って現れた。

「うん、大丈夫だよー」
左手を握って開いてチョッパーに見せる。

チョッパーは俺を見て安堵の顔になった。
その様子を見て
「チョッパーも私と同じ事、考えてたんだね。」
「え?」

チョッパーは何の事かさっぱり判らず お前を見つめる。

「私、自分の腕より、ゾロとサンジが喧嘩するんじゃないかって心配で…「はぁッ?!」

おいおい、素っ頓狂な声 出しちまったじゃねェか。

「お前…自分の事心配しろよ!」
血相変えて俺はお前にどれだけ心配したか…と きょとんとするお前に話始める。

チョッパーの事なんてアウトオブ眼中。

チョッパーは諦めたのか外に出ていってしまった。

そんな姿を"ごめんね、チョッパー"と内心思いながら
私に説教するゾロを見て
笑ってしまった。







貴方が私の 希望で 夢なの。

どんなに"それ"が重くのし掛かっても

譲れない 私の野望



―全て俺への希望

傷付いても 貫く


お前の意志は、俺と共に 有る。

お前の笑顔が。
お前が居てくれる事に、

奇跡の道が開ける。




2011.4.12
前の記事へ 次の記事へ