欠けた月は―――
いつか、巡り逢えるのだろうか




「ゾロは見えなくなっても野生の勘で大丈夫そうだもんね」

テーブルに並んだビール瓶の数を見て仕方なく声を出す。

「もう止めとけ」

「んーそんなに飲んだ?」

無意識だったのかよ…とうんざり気味の俺を見て
「ナミとまではいかないけれど、冷静を装える位に強くなりたいよ」と


お前は言うけれど―――

そのままで居て欲しい、とは口に出せず



酔っていたお前を抱き締めずにはいられなかった。



いつかは
片方、とは言わず 全てを写せなくなるのか

目の前のお前を見つめていられなくなるのか―――



「変な事考えてるでしょ」



目を覚ましたお前は状況を確認して頬を染める

その 仕草すら―――いつか、は



「ゾロも不安になることがあるのね」

シーツにくるんだ身体が月の光に照らされて

眼差しまで光を持っているかのように


「もう片方だけなんだから、大丈夫」


そこまで持って行かれたんだから、次は私の持って行けばいいのよ

そんな、そんな
強い言葉を本心で言うお前だから―――




「あァ…」
笑えるのかもしれない。












【失った片方へ手を伸ばす】
2012*3*28