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じゃあ、旅は八月の下旬頃ね








今日は岡山の一番街(デパ地下)に友人Aと彼女と鴨川の組み合わせで誕生日(14日が誕生日だった友達の為に)プレゼントを買いに出掛けた。

彼女は約一時間半遅刻した挙げ句に不機嫌だった。何故。

時は過ぎ目的のプレゼントも買い終わってある程度の暇を持て余していた頃、

「そう言やピアス、いつ開ける?」

「や、ピアス開けるとかそんなんより先ず受験だよね。今は目の前の事で精一杯で余裕ないよ」

軽く衝撃発言。

「…え、いやいや、何急に真面目になってんの。前なんて受験とかどうにかなるわ〜みたいな事言ってたじゃん」

「今回、テストマジでヤバかったからさ。それに受かるか分かんないし。だからピアスとかそんな事、眼中にもなかったわ」

「そんな事ってお前…嫌、なんかお前嫌、キライ。マジで嫌」

「は?ちょ、意味分かんない」

「もういいよ。お前キライ」

その後はひたすら避けた。避けて避けて避けた。そして帰宅。と、共に彼女からメール。

『今どこ?少し会いたい』

うるせぇ。

『いや。用があるならメールで伝えて』

『無理。渡したいものがある』

一旦帰宅したのにも関わらず彼女の為に車で約十五分掛かる駅に行った鴨川は乙女ですかいいえ一時間近く待っていた彼女の方が乙女でした。

「で、なに」

「あの、コレ」

彼女が渡して来たのは小さな花束とネックレスだった。キュン。

「明日、誕生日でしょ。誕生日プレゼント」

そう。明日は鴨川の誕生日。十七日でめでたく十八歳になる事を自分自身(ほぼ)忘れかけていた。色々と振り回してくれる彼女の所為で。

「本当は白い花を十八本用意するつもりだったけど事情が変わったから、」

こんなものでほだされるわけが、

「この花束。と、ネックレス。ピアスの事も余裕がないって言ったのも、感情のコントロールが出来なくて。ごめん」

わけが、

「少し早めの誕生日プレゼントだけど。今渡しとかないと駄目だから。あ、ネックレスはうちがつける。つけたい」

…だめだ。おちた。

「……余裕がないならいいよ。今は自分の事で精一杯、そう思えるのはいい事だし。自分に精一杯な奴が他人の面倒までみれる訳ない。それにあたし、お前が思ってる以上に面倒臭いよ。だから、時間あげるからゆっくり考え直しな。ちゃんと」

彼女がネックレスをとめる。あたしがネックレスをつける。

「いや。考え直さない。今度はちゃんと感情のコントロールするから。それにピアスは受験が終わってから開けよう?髪も切るしさ」

即答で答えた彼女にそんな自信過剰な返事でいいのかと本当に大丈夫なのかと思うだけで実際言えたのはただ一言、
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まあまだ先の事だけど



本屋に並ぶ観光案内雑誌を適当に選んで手に取りページをめくる。内容をよく見ず(後からじっくり熟読したい派)雰囲気で選ぶ故にこの作業を何度かした上でやっと、

「よし、コレ買う」

決まるのだ。




「ハネムーン?」

「そ。ハネムーン」

「え、でもハネムーンってのは結婚してから約一ヶ月後に行うものであって…」

「おい待てこのロマン無し。言葉の綾だって。なに、お前旅行とか興味ナシか」

「や、いや、ある。あるよ」

「…へぇ。まあ、何か、千と千尋の神隠し観てから島に行きたくなったわけなんだけ」

「え、なんで」

「…はあ、千が電車から風景観るとこがあるんだけどな、一瞬だけ、海に囲まれてる一軒家があるのよ。周りは海だから嫌な事あっても逃げられないし逆にいい事あっても誰にも言えない様な、世間から孤立されてる様な、要するに追い詰められてみたいわけなんだけど、わかる?」

「ふーん?」

うん。わからんだろうな。

「取り敢えず今日の放課後デートしよ。島の観光雑誌、買いに行くから」

「うん」

そして放課後になり冒頭に戻るのだ。

「あ、これとか如何?へぇ、豊島か。いいね、アートだよアート」

「へぇ、きれい」

「だろ?国際芸術ナンチャラに入ってんだって」

「すごっ」

「此処にしよ。夏休みに行こうね。お前八月の初旬から受験あるだろ?だから下旬頃に行こう」

「うん」

あまりにもシンプル過ぎる事にはもう文句は言わない言えない。

と、言うことで鴨川と彼女は夏休みの下旬頃、島に旅立ちます。

放課後デートは六時間も続いた



「別れるのが一番ツラい」

そう言いながらパンを食べる彼女にあたしは唖然状態だ。

「えっ、でもお前友達になろうって言った時アッサリうんって…」

「ああ、あれはね、頭がついていかなかったの。理解が出来てなかったし」

「お、おま…」

ティッシュで口元を拭う彼女を見据えると何故か誇らし気に笑った。

「はあ…そうなの、そうなのね…」

「なに、何でそんなに項垂れてるの」

「いや、なんか色々…はあ」

「脳みそが小さくて悪かったな」

「生まれつきだから仕方ない事だよ」

「テメェ…」

此れが試験三日目の出来事。
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そうして今日も呼吸をする





「メール?届いてないけど」

午前七時五十分頃、屋上に繋がる階段を見詰めながら彼女は言った。

嘘つき。

「…へぇ、そっか。じゃあ届いてなかったんだ」

「うん、なんか、充電してたし、帰って電源切ってた、し」

あたしはあのメールを放課後、直ぐに送った。そして彼女の家は学校から一時間半も掛かる筈だ。それを十分足らずで帰れた彼女はすごい。此の時点で非常に苛立っていた。

「なら、直接言うね」

「うん」

双眸を伏せて大きく吐息を吐き出すと窓から日射しが照り始め、太陽が分厚い雲から顔を覗かせた。その時に限って、彼女の眼差しがあまりにも真っ直ぐだったから訳の分からない罪悪感に駆られたのは今も謎。

「友達になりましょ」

「……うん、分かった」

意外にもアッサリした返事にあたしは少なからず苛立ちを覚える。それは自分自身がその程度の存在だった事と、何よりこう言う時にまで彼女が自分の意見を言わない事だ。

「じゃあ…帰る?」

「お前はいいのか。…あたしは此れ以上期待しても、見返りを求めても、今のお前には無理で、荷が重くなるだけだと判断したからこう言ったんだ、けど…お前自身の意見は、まだ聞いてない」

「…っ、言ったら、泣くし…」

「言えよ、ちゃんと」

「…うちは、まだ、鴨川が、好きだし…別れたく、ない、けど…鴨川の負担に、なるなら…」

「あのなあ…、話し蒸し返すけどあたしは疲れたとか面倒くさいとか、そう言う言葉嫌いなわけ。…それに、お前だけが努力してると思うなよ。あたしはお前に話し掛ける度に心臓バックバクで心拍数やばくて寿命縮まってるわけ。分かるか?今も超バックバク」

「うそだ」

「いや、マジ」

「…うそだ」

「マジ、そんだけ勇気いるしあたしなりに努力してるつもり。…なあ、お前、努力出来るか?期待に応えられる?」

「うん。でも…最初からハードルが高過ぎたら、躓く、かも」

「頑張れ。じゃ、あたしからはもう何もしないよ。手繋ぐのもチューも遊びに誘うのも」

「頑張る」

「…ンー。よし、ならもっかい謝れ」

最終的には彼女の意見が聞けた。今回はこれでよしとしてやろう。結局、なんだかんだで、あたし達の関係は戻ってしまった。が、決して無駄な経験じゃなかった。はず。




「ちょ、土下座はしなくていいからっ!」


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