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月曜日にはちゃんと普通に歩くから




お前があたしに何をしてくれた事があるの?遊びに誘うのも話し掛けるのも指輪買いに行ったのも記念日に出掛けようって誘ったのも全部あたしじゃないか。あたしが何かしようとしなかったらお前から言ってたの?誘ってたの?違うでしょう。何もしなかったでしょう。なのに何の努力に疲れたの?意味分からん。この一週間、喧嘩したって一回だけじゃん謝ってきたの。しかも何に対して怒ってるか分からないって何なの。じゃあ何で謝ってきたんだよわからんよ。お前は例え相手が理不尽な事で怒ってても取り敢えず謝っとけ精神の持ち主だもんねわかるよ。でもそれは恋人に対してもそうなの?いや寧ろ恋人として、なんて思ってもなかった?結局重かったのはあたしでお前がそれに耐えれなくなっただけで済む話なんだけどね。見返してみれば只相手が何もしてくれなくて駄々こねてるだけだし!もう鴨川ったら大人になれないんだからっ!


と、言う事で彼女とは友達になりました。ちゃんちゃん。
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神様ロマンを下さい





「お前、約束したじゃん。積極的になるって」

駅のホームにあるベンチに座ると隣にいる彼女に問い掛けた。彼女はあまりにも消極的過ぎたのだ。

「全然進歩ないし、アレはあの時だけの言葉だったの?」

きっかけは昨日の出来事について話し合っていた時だった。

「ううん」
「じゃ、なんで」

話は徐々に脱線し始め、気付いた時には既に手遅れ。

「だって、疲れたもん。最初の内は頑張ってたけど。どんどん、ね」

な ん だ と ?
疲れた?疲れただと?お前…この野郎。あたしがどれだけお前に時間や勇気を掛けて接しているかお前はお分かり頂けるだろうか。いくらお金や時間を掛けたっていくら振り回されようとあたしは苦に思った事なんてましてや疲れただなんて思った事ないからね?だって好きだから!愛してはないけど好きだから!この段階にくるのは相当なんだよ?わかるか?はあ?かと言って見返りが欲しい訳ではないのだけどね!でも少しは解ってほしいの!分かるかなあ?なああああ?お前が自分で勝手にしてるだけだろって言われたらそこで終わっちゃうんだけどねっ!でもなあ恋愛って二人の努力があってこそ成り立つものじゃないのかなあ?違うの?定理はどうあれ根本的なのは気持ちだろ?違うの?なんなの。恋ってなんぞや。

「…へぇ、お前がいいならそれでいいよ」

うん、と頷いた彼女は疾風の如く電車に乗り込んだ。

あたしは決めた。
もうアイツなんて知らない。

ここにて暗転








ぽたぽたと降り出した雨はやむ気配もなく、特急電車と共に揺れていた今日の午前九時。

事の始まりは四日前。

「コレ」
「…?」

バイト先で手に入れたハガキを差し出すと首を傾げる彼女。そりゃそうか。

「なに、コレ」
「バイト先で貰った。可愛いだろ。なんか期間限定で開いてる雑貨屋さん」
「へぇ、可愛い」
「だろ?それにホラ、ここ、お前のところ(地元)だし、付き合ってよ」
「えっ、うち?いいけど…いつ行くの?」
「あー…期間限定だから…げっ、二十四日までじゃん」
「うん」
「えーと、じゃあ今日学校終わって、あ、ダメだ。明日も…あー…明後日はバイトだし…明明後日は色彩検定だよな、あー…」
「じゃあ、明明後日の午前中に行こうよ」

彼女はこういう子だった。
アッという間に時間は過ぎて二十四日の今日。寝起き早々支度をし、特急電車に飛び乗った。そして彼女が待っている駅に無事到着。因みにこの日は午後から色彩検定(二級)だったが最早勉強など構うまい。何故なら、

「よっ。おめでとう、昨日で五ヶ月だった。覚えてる?まあ来月で半年記念日なんだけど。実感ねぇな、ははっ」

記念日だったからだ。昨日が。

「おはよ。ああ、昨日で五ヶ月か。うん、実感ないね」

記念日とかそう言う類に鈍感な彼女とそう言うのはちゃんと祝いたいあたし。噛み合わねぇ。

「じゃ、行くか」

それはさて置き、ハガキを頼りに二人で相合い傘をしながら雑貨屋さんへ。そしてすぐさま二階の手作りベーグルを食べるべく階段を駆け上がる私達。これが若さか。いいえ食欲ですスマン。

「でねー、アイツんところはもう三年と九ヶ月なんだって。凄いよな」

キャラメルとブルーベリーのベーグルを貪りながら他人の恋愛事情を語るのはなんとも美味。我ながら悪趣味自覚済み。

「三年か、凄いね」
「ねー。でも二回も浮気しちゃったんだって、彼氏サンが」
「えー」
「で、今回がその二回目ですげぇ悄げてた。最低だよな、あんな可愛い子が居るのに」
「本当にね」
「まあお前は一度くらい浮気して欲しいところだけど」
「する相手居ないし。お前こそそろそろ浮気はやめろよ」

なんだと。聞き捨てならん。
葡萄酢を啜る彼女を見つめると睨まれた。なんで。

「やめろよ、その顔」
「みんなに一途一途言ってる」
「みんな本気じゃないからだって。マジで捉えるのはお前くらいだよ…てか何この無限ループ。」

ベーグルを食べ終えて重い腰を上げれば部屋の片隅にあった二つの缶バッチを発見。しかもお手頃価格。

「お、可愛い」
「本当だ」
「どっち買うの?」
「ンー、じゃあコッチ」
「じゃ、あたしコッチ」

その缶バッチは即購入して筆箱に付けるくらい気には入ってる。それは彼女と過ごした時間を証明するもので。そして何より、彼女と居る時が一番楽しかった。久々だったからかそれともはたまた別の感情か。兎にも角にも我ながら吃驚。

「今のお前なら一生一緒にいれるよ」
「今の?」
「うん、まあ、みんな変わっていくからね。お前も例外なく。だから今のお前」
「そうだね…ふーん、今の、ね」
「はは、…ね、もし今別れてって言ったらどうする?」
「別れない」
「なんで」
「理由がないから」
「ロマンがないね」

この後は言うまでもなく色彩検定と言う名のボクサーにコテンパンにされました。
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命短し恋せよ乙女






「確信的な何かがあればなー」

「確信的?」

「そ。確信的な、ね。例えば迎えに来るから待ってて、いや、待っててだけでいいや。そう言ってもらえたらあたしは何年でも待てるのになあ…。…やだ、あたし一途!きゃっ」

「ふーん」

「なんてな。あたし、重いわ」

「いや、うちの方が重い」

「はは、意味わかんね」

「……」

「…ね、そう言うお前は何かくれないの?」

「何かって?」

「確信的な、なにか」


そう言った後、彼女は契約書をくれました。

結果、彼女にロマンはなかった。

無神経は御愛嬌




放課後、大雨が降ると聞いて機嫌がよかった中、不意に彼女が呟いた。

「昨日、さ。いや、一昨日か」
「なに?」
「その…爆弾発言したじゃん」
「は?」
「や、もういいよ」
「なに、気になる。言ってよ」

後ろから抱き締められている状態では何かと不便な訳で。かと言って顔を見上げると全力で背けられた。何故。

「アレだよ、あのー」
「だからなに、シャキッと言え。シャキッと」
「ほら…性癖の、ね」

そう言えば一昨日そんな話をした事もない気もしない気もする。

「あー…うん、それが?」
「いや、だから、お前、経験とか、あるのか、とか…」

どうやら彼女は床経験が有るか無いかが知りたいらしい。なんたるまどろっこしい聞き方なんだ。こっちが照れる。

そう言う風な話し、したろ…そう小さくぼやいた彼女の心拍数は早かった。

「あるよ。伊達に何年も女の子と付き合ってないからね」
「…なんか、へ、へぇ」
「なに」
「衝撃的、だったから」
「へぇ…なに、興味あるの?」
「いや、別に…」
「まあ、そうだろうね。ストレートだし、お前」
「え」
「だから、ノンケが興味ある筈ないって事」
「そんな事ない」
「はははは」
「お前……睡眠薬でも入れて眠ってる間にヤるぞ」
「笑わせんな、犯罪者」
「…うん、ウソ」
「知ってる。ま、それに鴨川は攻め専門です」
「なんで」
「だってネコチャンになる気なんてさらさらないし、立場的にお前がネコチャンだろ」
「うちはやだ」
「は?」
「やだ」
「いや、やだって、だって、じゃあ、どうすんの」
「…リバーシブル?」


ねぇよ。
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