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specialement



「ピアス、シノさんに開けてもらいたいな、って」

自然と口から零れ出た言葉と、自分の頭がついていかなかった。

日曜、シノさんに夜ご飯を振る舞った。
テスト期間中と新しく始めた蕎麦屋のバイトが忙しくなった私を見て、なかなか丸一日逢える事が出来ないと分かったシノさんが最終手段に出たのだ。

「夕方だけでも逢えない?」

なるほど。
夜ご飯を一緒にすると言う事か。

「全然いいよ、寧ろいいの?」
「うん、鴨川とまた二週間逢えないのツラいし。それに、…逢いたいの、私が」

こんな事を言われて断る女は居ない。
英語のテストがレポートだと言う事もあり、シノさんに英語を教えてもらう代わりに手料理を作った。その名も青椒肉絲。

「ごちそうさま!すっごく美味しかった!」
「よかった」
「さて、やろうか」
「よろしくお願いします」

悶々となりながら一時間と少しかけてやっと終わったレポート。

「あああああもう本当にありがとうございますううう!!!」
「礼は身体で払いな」
「はは!ウケるー!」
「…チューしたい」

冗 談 じ ゃ な か っ た 。
短いキスをして、忘れない内に交換日記をシノさんへ手渡した。

「あ、もう時間」
「ああ、そろそろだね」
「送るよ」
「駄目。鴨川は勉強があるでしょ」
「でも女の子一人じゃ夜道が危ないよ」
「送ったあと鴨川一人になるじゃん」
「…う」
「今日は本当、大丈夫だから。それに私ボクシングやってるし」
「本当に大丈夫?」
「うん」

頬に添える手に擦り寄ると喜ぶ彼女。
そんな彼女を見ていたらつい、何故か、出た言葉。

「ピアス、開けてほしい」

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Her found himself in a dark forest.





今日から約二週間前までプラトニック・ラブな関係だった私達は、四日前に幕を下ろした。

「大丈夫?」

そう言いながら背中を擦る彼女が聖母マリア様に見えたのはつい最近の事だ。

「…うえ、」

土曜日に開催されたクラブの帰り、べろんべろんに酔った私は何度も彼女の前でもどした。家に着くまでずっと介護をしてくれたシノさんにこれほど出来た人間はいるだろうかと、大袈裟ながらも恋人としてより人として尊敬心を持ったのは今回で二度目だ。

「んん、大丈夫。…大丈夫だから、ありがとう」
「…あと少しだから、頑張って」

家に着き、ぐったりとする私を心配そうに見詰めるシノさん。
タバコとお酒の臭いを身に纏っているのが嫌で彼女が使った後に身体に鞭を打ちシャワーを浴びた。ら、酔いが残っており、死ぬかと思った。

ふらふらしながら布団に入れば幾分かは楽になる身体。我ながら素直な肉体だと自負している。

「今日は大変だったね。もう大丈夫?」
「本当にごめんね、もうマジ…死にたい」
「はは、なんでよー!いいじゃん、後から笑い話にできるじゃん」
「…当分は無理そうです」

言葉を交わしながら縮まる距離。
胸を触る手、するりと下着に潜り込む指先。

「ねえ、触っていい?」
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