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夜道はお気をつけて




PM,14:40

再び一週間振りのシノさん。
23日、この日は少し早めのクリスマスパーティだった。

「あー幸せ。こうしてお買い物して鍋作ってケーキ食べてまったりしてさあ」

太股の上に転がるシノさんがぽつりぽつりと呟く。
可愛いと思う反面、おなご三日目の私は内心ひやひや。

「…うん、そうだね」

血の匂いがするとか言われたらしのう。

「ねえ、鴨川」
「うん?」
「好きだよ」
「…うん、私も」

髪を指先に絡ませて遊んでると不意に起き上がる彼女。
離れていく髪。近づく唇。ああ、折角ふわふわで気持ちよかったのに。

「キス、していい?軽いの」
「うん」

ちゅうっとキスする彼女の顔が見たくてうっすらと目を開くと、

「ふ、ふはは」

焦点が合わなくて思わず笑ってしまった。

「ん、鴨川大好き」

二回目のキスで学んだのは私が笑わなければ終わらないと言うこと。
唇を離してぎゅうっと抱き締めてくる彼女。首に擦り寄ってくる…と言うより舐めてる感触を感じるのは気のせいではないはず。

「なんかさあ、シノさんってワンちゃんみたい」
「犬?ふふ、大型犬だよー」
「擦り寄ってくる感じがね」

終始触れ合いながら舌を入れる彼女。
最初は違和感が多かったそれも段々気持ちいいと感じるようになってきた。これは、やばい。

「あっ、そうだ!!」
「うん?」

見つめられるのに居たたまれなくなった私はガバッと立ち上がって押し入れからプレゼントを取りだした。この日の為に店内をうろうろと不審者のごとく迷い回り、やっと思い付いたプレゼント。その名は…、

「交換日記。しょうもないプレゼントだけど」
「えっ、うわ、可愛い!すごい!嬉しい…」

今はお互いのことをもっと知っていきたいと思い考え付いたプレゼント。無地の表紙に嫌みのない落書きを添えた交換日記。(と小さいエッフェル塔が入っているクッキーの詰め合わせ)

「はい」
「え?」

感動しながら彼女が渡してくれたのは同じプレゼント。
しかもでかい。

「わあ!フォトアルバム!」

それはかつて"鴨川欲しいものリスト5"に入るものだった。

「鴨川、写真撮るの好きって言ってたでしょ?…でも本当はお揃いの指輪とか買おうとしてたんだけど、何て言うのかな、時期が分からなくて。まだ早いんじゃないかな、とか、色々、さ」

どうした肉食系女子シノさん。

「そっか。色々悩んでくれたんだね。私凄く嬉しいよ。でもお揃いとかはほしいと思った時に買うのが一番だと思」

「じゃあ今度一緒に買いにいこ?」

まだ喋ってたのに。
そこからまたべたべたタイム。

気付けば22時過ぎだった。

「あ、もうこんな時間。シノさん電車大丈夫?」
「もう帰るの面倒くさいなあ」
「次はパンツ持ってきてください」
「はーい」

夜道を歩いて改札駅までお見送りするのはこれで二度目。

「大好きだよ」

この耳打ちを食らうもの二度目である。

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夜空を見上げる星





その日は天気があまりよくなかった。

『ごめん、皿洗いしてたから遅れる』

片手に傘を握り締めバスに大急ぎで乗り込みながらラインを送る。ポンッとメッセージが表示され無事相手に送られた。その際の時間は二秒足らず。世の中便利になったもんだ。

『大丈夫、本読んでるからゆっくり来てね』

シノさんの優しさが見に染みる。バスから電車へと揺られながら十分程遅れてホームに到着。

「あー人が多いなあ、えーと、シノさん…シノさ…あっ!」

シノさんを発見。相変わらずスタイル抜群でお洒落だった。
この日は英語が超苦手な私に対し英語が超得意なシノさんがご指導してくれる約束だ。

「ごめん、お待たせ。本当にごめんね」
「全然大丈夫!一週間ぶりだね」
「よかった。そうだね、一週間ぶり」

軽くハグを交わし、来た道へと戻る。
勿論、シノさんを連れて。

「っだーー!終わった!ありがとう!」

家へ辿り着き約一時間。
シノさんのご指導のお陰で英語の課題が終わった。

「お疲れ様」
「シノさん本当にありがとう」
「ううん、私の方こそ家に呼んでくれてありがとう」

その後は家の近くのケーキ屋さんでケーキを購入し食し、チェキカメラで遊び、駄弁った。夕方になり近くのお洒落なインド料理に行こうとなった時、

「あ、そう言えばシノさんに見せたいものがあるの」
「うん?なに?」

今年の夏に買ったプラネタリウムをつけた。

「わああ!すごい!綺麗!すごい!」
「11月の天の川だよ」
「…すごい、感動しちゃった…」
「それならよかった」

不意に横目で見ると天井を見上げながら感動する彼女の目は光っていた。

「っ、あ…じゃあそろそろ」

ヤバイと思ったが、

「キスしたい」

手遅れだった。

「え」
「…していい?」
「あ…」

拒む事は出来ずそのままチュー…

「ん?!」

とはいかず舌を入れてくるシノさん。想像してたチューと違う!

「はあ、…」

ただやられっぱなしは性に合わず取り敢えずがっついた。がっつきにがっついた。結果、口周りがベタベタになった所で終了。
そして何事もなかったかのようにインド料理へ。

「…あのさ、求めてきれくれて嬉しかったよ」
「あ、がっつきすぎた?」
「ううん、あのままだとヤバかった」

何が?なんて野暮なことは聞かない。だって女の子だもん。

インド料理を食べて駅まで送った時、最後に耳元で、

「大好きだよ」

そう呟く彼女はとても幸せそうな顔をしていた。

曇りのち時々星




週末の夕方、シノさんとご飯。
寒い冬空のなか、張り切り過ぎた私は20分前に待ち合わせ場所に到着。

いや、張り切り過ぎだろ。

「お待たせ!」

待つこと20分後。
彼女は階段から現れた。少し薄着で寒そうだったのでマフラーを貸そうと首元に目をやるも、

「一週間ぶりだね」

鎖骨がえろかったのでやめた。

そこから当たり前のように恋人繋ぎをするシノさん。この前繋いだ時は私の手が汗ばむほど温かったので事前にトイレで手を洗ってた鴨川。完璧だ。と思ったが、

「うん、寒いねえ」

駄目だ、冷え過ぎて全然温もらない。汗ばみカムバック。

「それじゃあ行こっか」

the冷え性の彼女と冷し過ぎて全然温もりのない鴨川で手を繋ぎながらシノさんおすすめのお好み焼き屋さんへ。

「一週間、ずっとそわそわしてたよ」
「私も」
「鴨川からラインが来るたびニヤけてた」
「周りの人から変な目線浴びてたんじゃ?」
「まっさかー!あ、でもニヤけてた時、おばあさんと目があって恥ずかしかったなあ」
「おばあさんの反応は?」
「微笑んでた」

もんじゃとキムチ味のお好み焼きを半分こしながら食す女子二人。
会話は途切れることなく続いた。いい雰囲気だ。

「あ、そう言えばシノさん」
「うん?」
「私、シノさんが好きな村上春樹さんの本、読んだよ。二冊」
「えっ」
「…ストーカーみたいで恥ずかしいけど、ねむりって言うのと使いみちのない風景」
「嘘!何それやばい!しかもねむりってなかなかマニアックなもの!」
「えっ」
「わあ、わあ…やばい、嬉しい、すごく嬉しい!」
「マニアック…」

会話は深い部分から軽い話まで膨らんだ。
最後に彼女の写真を(オカズにする訳じゃなく)撮ると、

「あ!近くにプリクラ撮れるところがあるんだけど」
「え、本当?」
「うん、行く?」
「うん」
「じゃあ行こっか」

プリクラと言うものが話題に出る。私達まだ若い。
そしてプリクラを撮り店を出れば息が白くなるほど寒かったので、

「はい、風邪引かないように」

流石にマフラーを巻いてあげた。

「え…!!え!?……ッ!!」
「何、どうしたの?」
「鴨川紳士!わあ、私こんなに優しくされたことな…あああ嬉しいい!」
「!?」

飛びっきりの笑顔と嬉しそうに悶える彼女を見たらもっと早く渡せばよかったと後悔。ただし、てくてくと進む足は止まらず駅のホームに。

「ね、今鴨川にチューしたい」
「は?ちょ、ここ公衆の場!」

マナーは守るそれが鴨川です。
彼女は私が見えなくなるまで見送ってくれました。とても有意義な時間で、彼女と過ごす空間はやっぱり好きだなあ、と実感。逢えるのはまた一週間後の週末。それまで頑張ろう。

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焦がれる


ひとつ歳上の恋人、シノさん。
お洒落で男前な性格で細くて可愛くて一途な彼女。

逢えるのは週末の土日、ただ今週はお互い予定があって逢えないと思ってた、ら、

『ご飯食べに行かない?』

突然のお誘いに鴨川大喜び。

『是非!是非!』


日曜の夕方、一週間ぶりにシノさんに逢えます。


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おひさしぶりーふ


おはこんにちばんは。
今年も残り僅か、皆様どうお過ごしでしょうか。

卒業を迎え早9ヶ月、無事大学生になることができました鴨川です。大学にも一人暮らしにも慣れ、時間にも余裕ができたので再び言葉を綴ろうと思いまたこの日記を手にとってみました。古い日記を再利用、つまりエコと言うことでこれからまた私の日常や起きた出来事をここへと書き記していこうと思います。

お騒がせしますが、何卒よろしくお願い致します。

鴨川。
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