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夜空を見上げる星





その日は天気があまりよくなかった。

『ごめん、皿洗いしてたから遅れる』

片手に傘を握り締めバスに大急ぎで乗り込みながらラインを送る。ポンッとメッセージが表示され無事相手に送られた。その際の時間は二秒足らず。世の中便利になったもんだ。

『大丈夫、本読んでるからゆっくり来てね』

シノさんの優しさが見に染みる。バスから電車へと揺られながら十分程遅れてホームに到着。

「あー人が多いなあ、えーと、シノさん…シノさ…あっ!」

シノさんを発見。相変わらずスタイル抜群でお洒落だった。
この日は英語が超苦手な私に対し英語が超得意なシノさんがご指導してくれる約束だ。

「ごめん、お待たせ。本当にごめんね」
「全然大丈夫!一週間ぶりだね」
「よかった。そうだね、一週間ぶり」

軽くハグを交わし、来た道へと戻る。
勿論、シノさんを連れて。

「っだーー!終わった!ありがとう!」

家へ辿り着き約一時間。
シノさんのご指導のお陰で英語の課題が終わった。

「お疲れ様」
「シノさん本当にありがとう」
「ううん、私の方こそ家に呼んでくれてありがとう」

その後は家の近くのケーキ屋さんでケーキを購入し食し、チェキカメラで遊び、駄弁った。夕方になり近くのお洒落なインド料理に行こうとなった時、

「あ、そう言えばシノさんに見せたいものがあるの」
「うん?なに?」

今年の夏に買ったプラネタリウムをつけた。

「わああ!すごい!綺麗!すごい!」
「11月の天の川だよ」
「…すごい、感動しちゃった…」
「それならよかった」

不意に横目で見ると天井を見上げながら感動する彼女の目は光っていた。

「っ、あ…じゃあそろそろ」

ヤバイと思ったが、

「キスしたい」

手遅れだった。

「え」
「…していい?」
「あ…」

拒む事は出来ずそのままチュー…

「ん?!」

とはいかず舌を入れてくるシノさん。想像してたチューと違う!

「はあ、…」

ただやられっぱなしは性に合わず取り敢えずがっついた。がっつきにがっついた。結果、口周りがベタベタになった所で終了。
そして何事もなかったかのようにインド料理へ。

「…あのさ、求めてきれくれて嬉しかったよ」
「あ、がっつきすぎた?」
「ううん、あのままだとヤバかった」

何が?なんて野暮なことは聞かない。だって女の子だもん。

インド料理を食べて駅まで送った時、最後に耳元で、

「大好きだよ」

そう呟く彼女はとても幸せそうな顔をしていた。
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