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RKRNの留文とAPHの普独に腐った愛を注いでいます
「今日の会計委員はこれまで!」
「「「「おつかれさまでした〜」」」」
会計委員長の合図と共に本日の会計委員会がお開きとなる。
各々疲れを携えた表情で帰り支度を整え順次会計室より退出する。
会計委員長の潮江文次郎は、全ての下級生が帰るのを見届けてから帰ろうと待っていたところ、1年は組の加藤団蔵がまだ机に向かったままで居ることに気づく。
いつもの元気な顔はそこにはなく、眉をはの字にし困ったような、泣きそうな表情をしている。
「どうしたんだ、団蔵、元気がないな」
「潮江先輩…」
潤んだ瞳をこちらに向け、震えた声で自分の名前を呼ぶ。
こんなに辛そうな顔の団蔵は初めてだ。委員長として、先輩として、とても放っておける状態ではない。
「何か悩みでもあるのか?良かったら相談に乗るぞ?」
「潮江先輩…!」
団蔵の座る机の向かいに座り、目線を合わせて微笑みかけると、団蔵は少し迷ったような顔をしたが、意を決して口を開けた。
「実は…僕、庄左ヱ門のことが嫌いになっちゃったかもしれないんですっ!」
「は?」
それだけ言うと終に団蔵は声を上げて泣き出してしまった。
状況がよくわからない。
庄左ヱ門といえば・・・団蔵と同じ1年は組の学級委員のことだったか。
「ちょちょちょちょ、待て、嫌いになったって、どういうことだ?」
泣き喚く団蔵から状況を聞くために必死であやす。
しばらく泣いた後、少しおちついてきた団蔵は少しずつ状況を話し始める。
「実は・・・」
話を聞くとこうだ。
先日トイレの譲り合いで庄左ヱ門と喧嘩をして以来、掃除当番、図書館、玉子料理の好みのことと、事あるごとに取っ組み合いの喧嘩をしてしまうとのことだ。
「本当は、喧嘩なんてしたくないけど・・・庄左ヱ門と話をしていてちょっとでも話が合わないと頭がカーッとしちゃって、気がついたら取っ組み合いになってるんです。今までそんなことなかったのに・・・やっぱり、僕、庄左ヱ門のこと、嫌いになっちゃったんですかね?」
話しながら、団蔵は再び大粒の涙を流し始める。
団蔵の状況を見ながら、文次郎は、ぽりぽりと頭を掻く。
「団蔵、庄左ヱ門と喧嘩をしたくないなら、そもそも庄左ヱ門と話さなければいいんじゃないか?」
「え?」
「だって、話すから喧嘩になるんだろ?だったら言葉を交わさなければ、喧嘩になりようもないじゃないあ。だから―――」
「いやですっ!」
文次郎の言葉を遮り、団蔵は大声を出す。
「庄左ヱ門と話さなくなるなんて、絶対いやです!」
ボロボロと涙を零し、顔を真っ赤にして主張をする団蔵を見て、ははぁ、なるほど、と、文次郎は合点がいった。
「団蔵、お前は庄左ヱ門のことは嫌いじゃないぞ。庄左ヱ門のことが好きだから、喧嘩になってしまうのだろう」
「え?」
予想外の答えに団蔵は目を丸くする。
「好きだから衝突をするんだ。そいつと同じものを見て同じものを感じていたいと思うが、少しでも相手が他の事を言ったり他のことをみたりすると、一緒じゃないことが嫌になるんだろう。少しでも自分の感じてることを一緒に感じてほしい。でもそのことをうまくまだ言えないんだろうな、お前は」
「・・・」
性 別 | 女性 |
地 域 | 東京都 |
系 統 | 体育会系 |
職 業 | 夢追人 |
血液型 | A型 |