「…お前は誰だ?」





鈍い痛みと屈辱の中、初めて"俺"に投げ掛けられた言葉。
軋む身体を無理矢理引き起こし"俺"はこたえる。

「俺は俺だ。それ以外の何者でもねぇ」

そう言って笑ったら、一切加減の無い力で殴られた。
床に叩き付けられ、痛む身体を引きずり起こされ、また殴られる。

狂った様に叫ぶ『奴』の顔を見ながら"俺"は思考する。

"俺"がこの現実(せかい)に生み出された意味を。
"俺"の全てを懸けて、何から守らなくてはならないのかを。



狂った様に『奴』が叫ぶ。
『欲しいのは"俺"じゃない』と。

だから"俺"は言ってやる。
逸らしたがっている現実を目の前に突き付ける。

「壊したのはテメェだよ」



狂気に彩られた叫びを訊きながら、最後の理性を突き崩す言葉を放つ。



「これが"俺達"の答え…テメェの冒した罪。
…受け入れろよ。

オニイチャン」





正気でなんかいさせない。
テメェも一緒に壊れちまえ。





ギア/海人・咢