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あ〜ぁ

遂に始めちゃったよ………


以下追記。

とりあえず、今までで一番プロットに力いれてみる。

めーりんのかわいそーなはなし2

物心ついた時からずっと、父親と話した記憶が無い。
いつも恐い顔や“けわしい”顔をしていて私が話しかけてもまるっきり反応してくれない、まるで私が居ないかのような感じだ。

周りの大人達の話を聞くと、父はとても有名な武術家らしい。
そして、父は男の子どもが欲しかった、と。

なるほど、私が父の目に入って無いのもわかった。しかしわかったところでやはり私の淋しい気持ちは変わらなかった。
母はいつも優しくしてくれるし、二人で“市”に行っては艶やかな着物や髪飾りを買ったりしていた。
それは楽しかったし女として生まれた者としてこの歳からこのような楽しみを味わえるのは幸せ以上の幸せだ。

だけどやはり私には足りなかった。
父からの愛情が無いことがどうしても引っかかってしまう。

「どうして父上は私を無視するの?」と聞いた時、母はただ一言「ごめんね」と小さくこぼし私をぎゅっと抱きしめてくれた。
癇癪を起こした時も、なんで女の子に生んだんだと責めた時もやはり母は、ごめんね、としか言わず私を強く優しく抱きしめ泣き止むまでずっとそうしてくれた。
泣き喚いてる間も時折、「ごめんね、ごめんね美鈴」と呟いていたのを覚えてる。





満月が少し欠けた十六夜、辺りはそれでもなお明るい。
扉を開け門までの石畳の途中、母が居た。

何かを決意したようなはたまた何かを諦めたような、それは初めてみる表情で、母は月を見ていた。


私は母の横を通り過ぎようとした。
突然、私の腕が掴まれる…事もなく門を出る。





門の中から、「ごめんなさい」と声が聴こえた気がした。

めーりんのかわいそーなはなし

昔、東の大陸に広大な土地を持つ国が有った。その国の人の欲への探究は留まる所を知らない。食事、睡眠、房中術(性交の意)、およそ人が求める全てに一切の妥協を許さなかった。故に他国との差は歴然、その術を学びたくやってくる者は後を知らずその教えが他国に与えた影響は計り知れない。尊敬や憧れの念を注がれるが、それ以上に畏怖されてきた。

戦いの術も又、探究しきる程に磨かれていた。

とある国が東の国を手中に治めようと考え幾万の数の兵を送り込んだ。迎える東の国、万の半分にも及ばない人数で迎え撃つ。幾万の首領は笑いしかし決して油断すること無く万全の体勢で攻め、結果幾万の数の命が亡くなった。東の国の戦い方は明らかに質が違っていた。道具や策略は勿論の事だがあまりに違いすぎたのは。人。個々の戦闘力が大きすぎるのであった。

大軍での戦いであろうと一対一の戦いであろうと、その域は他の欲を遥かに凌ぐ勢いであった。



海王。武術家に与えられる名であり伝説的な強さ(龍や麒麟等の架空の生き物とも互角以上に闘える強さ)を持つ者のみに許された名である。武術家にとって海王と言う名は憧れであり目標であり、信仰でもある。幾万もの武術家がいながらにして海王の名を持つ者は一桁をようやく越えた人数しか居ない。
海王に教えを貰おうと弟子になりたがる闘士は後を絶たず、海王は独自の流派を開き闘士達を招き入れる。
海王の弟子から海王が生まれる事は今までの歴史には無かった。



厳海王がうつ伏せに倒れてるすぐ前に密度の高いことが遠目でも窺える筋肉をつけた長身の男が立っていた。


史上四人目の海王、厳海王を打ちのめした男の名は紅龍小(ホン ロンシャオ)と言い、この三日後、紅海王を襲名することになった。


紅海王の娘、美鈴が生まれる3年前の出来事である。

なんとなく2

霧の多い湖の奥、夕焼けに紅く照らされた紅い舘の中で。

「咲夜さん咲夜さん、こんなもの見つけました」
「名前を呼ぶのは1回、それと持ち場に戻りなさい」
「見てください、かわいい赤ちゃんですよ」
「人の話も聴きなさい。あと持ち場に戻りなさい」
「あら美鈴、かわいい人形を持ってるのね」
「あ、パチュリーさんパチュリーさん、見てください。赤ちゃん拾いました」
「これはパチュリー様、外に出るなんて珍しいですね。この赤さんが人形?美鈴、いい加減持ち場に戻りなさい」
「えぇ、立派な人形よ。それも外の世界の」
「ぇえ!?これ人形なんですか!」
「いいこと、美鈴。門番は門の番をするから門番なの、門の番をしない門番は門番じゃないわ。門番じゃない美鈴は一体誰なのかしら?」
「咲夜、門番は門を離れても門番よ。門番以外何も出来ないもの。ところで何の話?」
「おはようございます、お嬢様。門番が誘拐及び窃盗した人形をどうするか話し合ってました」
「あら、門番ってそんなことも出来るのね。そういうややこしい物はパチュリーにあげるわ。どんな物か解ったら私に頂戴」
「あらレミィ、これは生き物よ」
「えぇ?私が門番で赤ちゃんが生き物?」
「門番、黙ってくれる?」
「美鈴、それは人形で生き物よ」
「そういえば最近ナイフ投げてないわね」

美鈴は腕の中で静かに動かない赤子を咲夜に渡そうとしたが。
赤子は美鈴の服をしっかり握りしがみつく。

「あの…この場合どうすれば」

美鈴の問いに三人は同じ答えを返す。



太陽の光はすでに無く紅い舘の門の側にある小屋の中、緑色のチャイナ服を着たスレンダーな女性が一人と、まるで生きてるかの様に見える赤子が一体。

「どうしよう」

どちらが呟いたかは明白である。

なんとなく

遠い人里離れた竹林で。

「わぁーったよォ、俺ぇが出てきゃいんだろ!?こんな家出てってやるよ!!」
「ふん、アナタが居なくて清々するわ。これでこの家も少しは平和になるわ」
「ッ〜!この穀潰しが!!」

家を出る、戸を閉める。中から何やら怒鳴り声が聴こえるも、男――妹紅には何を言っているのかは聴こえなかった。

「…チッ。あ〜、何処行こうかなァ」

妹紅は宛てもなく竹林の中を歩き始める。

一方家の中から妹紅に届かなかった怒鳴り声を上げた女――輝夜は。

「全く…私が…居なきゃ…ハァ、何もできな…っいくせに……」

息が上がり肩で呼吸をしながら仰向けに倒れ、疲れた、と一言。



二人の関係は夫婦である。寿命が無いのと地球の生まれでは無いことから儀式も行なっていなければ籍も無い。が、二人の付き合いは永い。それゆえ、周りから二人は夫婦の様な関係であると思われている。本人達もそれを認めている。



事の発端は輝夜のいつもの我が侭からであり、いつもなら妹紅が最後に折れる形になるはずだが。

「いつも何かあれば自警団自警団って、そんなに仕事が大事?」「自警団の仕事が忙しいとか言って置いてどうせ裏で牛みたいな乳の女とちちくりあってるんでしょ」「だいたい、その自警団だって大した収入でもないし私に偉そうな口聞かないで」

輝夜の暴言は更に際限が無くなり、妹紅も今回ばかりは堪忍袋の緒が切れ、

「てめェがいつ!私に!役に立ったんだ!ぇえッ!?」「こっちはそれなりにでも金稼いでるのにそっちは寝るか食うだけ、家事は何もしてねぇじゃねぇか!」「これだからお嬢様と一緒にいるのは嫌なんだヨ!」

引き際を忘れた二人の罵りあい。輝夜が家から出ないのを理解している妹紅が外に出る結果となった。



「…何よ。妹紅ったら。確かに家事はできなかったけど、それは二百年前の話じゃない。今はちゃんと掃除も洗濯も料理も覚えて、前にそのこと褒めてくれたのに…穀潰しなんて…」

小さな口から漏れる声に鼻をすする音が混じり始めやがて文句は無くなり代わりに小さな呻き声が途切れ途切れに部屋の響き渡る。



輝夜が濡れた頬を拭って、いきなり戸が開いた。
そこに立って居たのは先ほど家を出てった男。その姿は出てった時と比べ多少汚れていた。長い銀髪は纏まり方を忘れ一本一本が思う方向に向いている。端正な顔立ちには汗が滴っている。前髪だけは汗に濡れて額にひっついている。ところどころ土の着いたワイシャツに赤いカーゴパンツ。
やはり先ほど出てった男である。

しかし、出ていく時と明らかに違う部分が一つ。輝夜は怒ることを忘れその部分を指摘した。

「も、妹紅…なにそれ」
「…あ、赤さん?」

妹紅の腕の中には赤子が収まっていた。

「…どうしよう」

どちらかが呟いた言葉、しかし赤子が泣き出したため、どちらが呟いたかわからなかった。
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