スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

【シャンクス誕生日SS】いちばん

この青空をどこまでも。




歩いていけるなら
貴方に逢えるだろうか?


好きで
好きで
胸に終えなかった。

「シャンクス…」

数日前に耳にした噂。
「白ひげと赤髪が対面した」
その言葉が私を駆け上がる。

それだけでもう

どうにかなりそう。


「新世界へ行く」
「新…世界?」

最後に彼に逢ったのはいつだろう。
聞き慣れない言葉を頭の上から聞いた。

「連れて行けない」

言ってる言葉と気持ちが真逆すぎて
知ってるから判ってた。

「本当は?」
「バカ、言ったら」

言ったら

連れていってしまう。


抱きしめる右腕は 震えている
切ない眼差しは私の耳のピアスを捕らえて。


「…もうすぐシャンクス、誕生日だね。」

予想外、といった顔で私との距離を離す。

「…何で知ってるんだ?」

「ヤソップに聞いたの。」

「…お前は…ったく。」


せめてもの、救い。
何も知らない訳じゃない。

一番の理解者だと言ってくれた。
一番、一番側にいない私を。

どうか、今だけは。


【いちばん】


「用が済んだら、戻る…」

「シャンクスの誕生日には間に合わせて、ね?」

いちばんの願いだから
せめて貴方のなかに刻み込ませて

「…お前のお願いならいくらでも聞いてやる。」

そうやって必ず叶うかわからない願いを
お互いにずっと
叶うと信じて。


真っ青な空。
この願いを貴方に届けたら

貴方に逢えますか?


「シャンクス…」

海の波が応えてくれる。
あの愛しい姿を

潤んだ眸に映した赤髪。

「呼んだか?」

幻じゃない貴方は
私を後ろから抱きしめて。

「…間にあったな。」

「…うん。」


だから、だから
いちばんに言わせて。



「シャンクス、誕生日おめでとう」


広い海がささやかに祝福するように小さな波音を立て。


いちばんの夢を実現する。




2011.3.9
前の記事へ 次の記事へ