「ちょっといいか?」


「えっ!…その声、ゾロ?」



真っ暗な女部屋から聞こえてきた声はゾロだった。




**********



「久しぶりだな」

「うん…」




今 この状況も飲み込めずに
ただ ゾロの足の間に座ってタオルで髪を拭かれている―――



数えても 忘れる程
慌ただしい数日を過ごし、ゾロとこうやって二人で話すのは…


いつ振りだろうか。





「山場の頃のお前、凛々しすぎて見入っちまった」

ぶっきらぼうに言い放った言葉は
反対の意味で
タオルの中で目を見開いた。



「でも、あんま関心ないのな」

「敵に?」

私の言葉で 優しく動いていた手が止まる。


「―――あぁ、違う所を見てる様に斬ってたな」

「まぁ、確かに見てないのは正しいかな」


「お前―――



タオルを外されて漸くゾロの顔が見れた時

申し訳なさそうな顔が見れた。


「悪ィ…こんな話をしに来たんじゃねェ」

こめかみを掻いて詫びるゾロに笑えてしまう。


「別にいいのよ」

「わッ」


真正面からゾロの胸に飛び込んでみた。
ほら、いつだって貴方は

どんな私でも 受け止めるから―――




ゾロの心臓の音を聴きながらゾロの顎を見て、

「で、真意は?」

「流石だな」


くしゃっと乾きかけの髪を触って立ち上がると
部屋の入口横に見慣れない紙袋。




「Are you ready?」

紙袋を私に投げた。


「っと…お酒と、コレ…」
「クソコックから渡されてよ。お前にだと」


顔を逸らせ不機嫌なゾロも久しぶり。
何だか幸せな気持ちになってしまって口元が上がってしまう。


「またいつどうなるか判んねェからよ」

「ゾロ?」


三本の刀をベッドの脇に置き



「さぁ、パーティーを始めるか」

「! うんっ!」










【さぁ、パーティーを始めようか】
2011.10.26