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【ONE PIECE】お題/ゾロ/甘

今日も穏やかな海を渡るサウザンドサニー号。


でもその船の上は決して 穏やかではなかった。




うんざり気味のゾロがダンベルを振りながらも二人の言い争いを見ていた。




「こっちだ!」
「こっちよ!」

サニーの上に胡座をかいて座るルフィ、ルフィを見上げて必死に対抗するお前。

もうどの位経つのだろうか。



事の発端は次に降りれそうな島が二ヶ所見つかった事でナミが迷っていた。
しかも両方とも着くのに時間差はあまりなく、距離も変わらない


―――ただ場所が両極端なのがこの二人の言い争いの原因。



二人が引き下がらないのも無理はないのかもしれないが、クルー達は二人の言い争いを見てうんざり気味だ。


正直 俺も苦笑気味だ。


しかも太陽の熱が強くなってきている


…ルフィは麦わら帽を被っているが、あいつは何も身につけていない。

流石に心配になってダンベルを下ろして、手元に置いといた帽子を持ち、立ち上がる。



「あの子の所へ?」

「あァ、流石に心配になってきてな」

本を持ってロビンが
「私もあの子に日傘を渡そうかと思ってたの」
と付け足して心配そうな声で俺に声を掛けてきた。


「いつまで言い争ってるのかしら…」

困り気味のロビンに助け船を出してもらおうかと提案を思いついた。


「なァ、ルフィが行きたがってる島にあいつの好きそうな物とかイベントとかねェかな」

なるほど、と少し笑顔になったロビンは

「調べてみるわ」

早々に図書館へと急いで姿を消した。

ロビンを見送って目線をあいつに戻すとまだルフィと言い争っていた。




が、

少し顔色がおかしいのに気付き


「ルフィ!ちょっと休戦だ!」

大声を出す。
仕方ねェ、後はロビン次第だ―――



「あ?どうしたんだ?ゾロ」


あいつの様子を見ながら側に近寄ったが
あいつは俺を見て少し不安そうな顔をした。

「調子、悪ィのか?」
帽子を被せて顔の近くに耳を寄せた。

「気持ち悪い…」

細々と言ったお前を見たら泣きそうな顔をしていた。



―――しまった、もっと早く帽子を被せるべきだったか。


「ルフィ、こいつ調子悪ィから復活してからな」


抱き上げて女部屋に連れて行ったら
「ん?何だ、調子悪かったのか?」
「ルフィと言い争ってる間に軽く暑さにやられたんだよ」
「んん、そうか、なら言い合ってる場合じゃなかったな!」


ゾロ、後は頼む
―――少し目つきが変わった目線で解った俺はお前を女部屋へと運んだ。





**********



「…喉、カラカラ」
「だろうな」

女部屋のお前のベッドへ運んだ後、急ぎめにキッチンへ向かうと

「あら、今そっちに向かおうとしてたの」

アイスティーに先程持っていた本とは違う本にチラシのような鮮やかな色の紙が挟んであり


「流石だな」
視線に気付いたロビンは


「貴方もあの子の為だと流石ね」

そう言ってグラスと本ごと俺に渡した。

「ルフィが行きたがってた島に蛍を見るイベントがあるそうよ」

「ほたる?」

「そう、蛍の事はこの本に説明と写真が載ってるから見せてあげて」

ロビンは調べ物があるから、とまた図書館へ戻っていった。



女部屋に戻ると
「うーん」

悩むお前。


「ほら、飲め」



アイスティーを受け取った 刹那

俺の左手をお前の手に添えた


「ゾっ…

確かな 愛の 刹那

離れるのも 惜しい


「ゾ…ロ?」

「悪ィ、心配したのと無理させちまった」

「ううん、あんな事でルフィと言い争ってた私が子供なんだよ」

赤い頬のままアイスティーを飲む。

椅子に座って目線を合わせてみる。

「何か行きたくなるイベントとかあればな〜」

「なら、話は早ェ」

脇に挟んでた本を出す。


「ん、気になってたの。何挟んでるんだろうって」

「ルフィが行きたがってる島にほたるってのを見るイベントがあるらしい」
「蛍?!」


グラスを通しても輝いた瞳にドクン、

と高鳴る。
いつ目にしてもこの笑顔に慣れない。


「知ってンのか?」

「うん、見たことあるよ」


チラシを見て
「わぁ〜見たい」

先程からキラキラの笑顔。




…理性が保てる自信がなくなってきた



「そっかぁ…蛍見れるイベントがあるなら折れようかな」


その前に俺が折れそう。



グラスを置いて


「ゾロと一緒に蛍見たいなぁ」


その一言と 赤い笑顔で
俺の理性が負けた


「…ッ、責任取れよ?」
「ゾ…ロ?」



目つきが変わったのが理解できたお前は


「じゃあ、蛍一緒に見ようね」

首もとに腕を回して言うんじゃねェ。

そんな願いでいいのかよ。


「了解」



頭でロビンに感謝して、お前の熱に溺れる。




対峙の先がいつもこうならいいのにな、と思わずにはいられない。


幸せなおさまり方なら尚更だ。



数日後を楽しみにしながら
汗ばむお前を抱きしめた。








【対峙のゆくさき】
2011.5.31
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