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本当に恋人なのか




「お前にはキープいっぱい居るだろ」

お菓子売場に相応しくない雰囲気を醸し出している彼女とあたし。


なんでこうなった。


「好きな人、知ってる」

彼女が突然口を開いたかと思えばアバウト過ぎる単語達で。一瞬頭が湧いたのかと思って凝視すれば、

「…アイツの」

遅れて出てきた言葉に辻褄が合致した。

あたしの友人(仮に友人A)には好きな人がいる。自分で言うのもアレだけど、その好きな人とはあたし。何故知ってるかとかその他諸々は企業秘密。(ここ笑うとこ)が、あたしは知らない振りをして彼女に問いた。

「へぇ、誰?」
「教えない」
「ふーん、あたしが知ってる人?」
「さあ」
「…てか、何で知ってんの」
「応援してって言われたから」
「ほー、応援するの?」
「……まあ、」
「じゃあ、あたしも手伝うから教えてよ」
「ダメ」

彼女に複雑な表情が表れ始めたのはこの会話が何十回か繰り返された後だった。

「教えてよ」
「…」
「……それにしても友人Aはなんでお前に言ってあたしには言わないんだろうね、一応あたしも友達なのに。信頼感ないのかなー」
「そんな事ない」
「フられちゃった。…って事で、慰めとして教えて」

店内を回りながら茶番な演技を続けるあたしとそれに付き合わされてる彼女。そろそろ回りくどい言い方をするのも止そうかと思うも、

「…お前にはキープいっぱい居るだろ」

爆弾発言。

「…は?や、急になに。しかも居ない、し」
「嘘。たくさん居るじゃん。クラスに(友人)A、B、Cとか」
「いやいや、友達じゃん。あたしには、お前だけだよ」
「嘘」
「本当。何、いきなり。…それになんか怒ってるよ、ね」
「ジェラシーだよ」
「お前、分からないよ。…ちゃんと言葉で言ってくれないと分からない」
「言うか。お前には絶対言わない」
「えー…」

彼女はいつも予想より斜め上をいくので不意打ちを喰らわされたら非常に動揺しがちになってしまう。とは言え伊達に彼女とは付き合ってないから徐々に自分のペースを取り戻すあたし=カッコイイ。

「その首に吊ってるネックレス、引きちぎれよ」

なんてこった。
前言撤回、動揺フル回転。

「…や、おい、待て、これ、お前とのペアリング吊ってんッスけど」
「要らんだろ」


お互い厄介な恋人つくるとロクな事ないなあ、なんて他人事の様に痛感すると同時に彼女とあたしの恋人ごっこ疑惑が深まった。
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