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逃げて逃げて逃げる




付き合っている人がいる。
その人とは一緒に住んでいる、昨夜会社の人と呑みに行くと言い帰って来たのかも分からなが玄関を覗いたら靴があったらか帰って来た事は分かった、分かったんだけど明らかにこの家には無い筈の赤いヒールも無造作に置いてあった。まじかよと彼が眠っているだろうドアを見て、ため息を吐きそのまま洗面所に向かい顔を洗う。眼鏡を外しコンタクトをつけ、ネクタイを結ぶ。そしてリビングに戻り、ソファに散らかった服を洗濯機に投げる、彼のモノじゃない、女の服も一緒に。
コーヒーの豆をひいている間ベランダに出て煙草を取り出す。彼は煙草を嫌がる。だから極力家では吸わないようにしているが、ルールを守らない彼が悪い。これぐらいいいだろう。6月後半の外は朝でも蒸し暑い。7月になるまでネクタイを外せないのが厄介だなぁとぼーっと外を見て短くなった煙草を隠してある灰皿に押し込め、部屋の中に入るとちょうどいいタイミングで豆がひけていた。お湯を入れ、立ったままコーヒーを飲みながら携帯をチェックする、あと少しで上司が迎えに来る時間だ。いったんコップを机に置き、自分の部屋からジャケットと鞄を取り出しすとリビングに戻るとキャミソール姿の女が立っていた。淹れたてのコーヒーを勝手に飲んでいた。
誰ですかとも言わない。ただ女を見て、服着たらどうですか?と言うだけ。余計な事は言いたくない、まず朝から言い合いとか疲れるだけ、ただでさえここ最近残業続きでろくに寝ていない。やっと早めに帰れた昨日、起きたら彼は女を連れ込んでるし、最悪な朝だ。女は笑って「徹君の何なの?」と聞いてきた。

いや、まずお前が誰だよ。と言いかけたけどやめた。
甘ったるい香水の匂いで気持ち悪くなりそう。よかった、朝ごはん食べてなくて。女を見て「ただの同居人です。職場が近いんで一緒に住ませてもらってます」と答えた。確かにこの家は俺の職場から一駅。かなり立地がいい。ただの同居人ではないが。恋人関係の筈なんだけどそれは俺だけだったのかもしれない。それかここ最近彼が起きる前には家出てる帰るのは遅い。
最後に話したのいつだっけ?まともに話してないや。
携帯のメッセージのやり取りもここ最近やってない。
もしかして彼は俺に飽きて女に走っちゃったのかな。でも仕方ない。だって相手しなかった俺が悪い。身体を合わせたのだって覚えていない。女に走っても仕方無い。

仕方ない。
そう思い込むことしかできない。
ガチャリとドアが開き、上半身裸の彼が出てきた。首筋には何か所も赤い印があった。随分楽しく激しい夜だったんでしょうね。彼は俺がいる事に驚いている。口を開こうとしたらタイミングよく携帯が鳴った、上司からだ。
堂々とテーブルの上に置いていた煙草をポケットにしまい、2人の横を通り過ぎる。靴を履き携帯持っていない手で鞄を持ちドアノブを握る。そして横に回し部屋から出る。いつもならエレベーターを使うがじっとしているのが嫌だった。階段を勢いよく駆け下りて、駐車場に停まっている上司の車に乗り込む。
車から流れるラジオは6月30日を知らせていた。


会社につき、上司の車から降りそのままオフィスに向かう。
気持ち悪い、甘い匂いがまだ鼻に残っている。煙草吸いたい。先ほどから胸ポケットにしまってある携帯が震えている。多分及川さんだろう。携帯を取り出し電源を切る。
浮気なんて慣れているのに。
及川さんはモテる。中学の頃からずっと。好きだと言われても、付き合っても彼の隣には女は絶対にいた。俺は何の為にいるのか分からなかった。高校は城西に来ると思っていたんだろう、でも高校が一緒になった所でまた女と一緒にいる姿を見なくてはならないって考えたら中学2年の最初の進路相談で青葉城西には行かないと言っていた。
鴉原バレー部の監督、並川から声をかけてもらった時から心は鴉原にしかなかった。もし鴉原落ちたら白鳥沢。鴉原に行った事で及川さんに怒られた。どうして城西じゃないの?一緒にバレーしたかったし、一緒に過ごしたったって言われたが、俺にはどうでもいいことだったから、なぜ?どうして?そこまで俺にこだわる必要ありますか?と聞いたら不機嫌になってお前の恋人は誰だよって言われた。

まず付き合ってるかどうかも怪しいのにいまだに恋人とか言うんだ、この人。関係ないと思っていたから自分の事を報告なんてしなかったし、連絡のやり取りなんてほとんどしなかった。たまたま部員と買い出ししていたら楽しそう女と腕を組んでいる及川さんの姿を見て、やっぱり俺達は恋人ではないと思った。だから普通に俺は彼女を作った。彼女の存在がばれた時は犯されたけど。
懲りずに彼女を作った。
何故か及川さんに俺の彼女の存在がばれる?内通者でもいるのか?鴉原に?って思ったけど鴉原が城西とそこまで関わりが無い事を知ってるから、デートしている時にでも城西の誰かに見られたんだろう。
及川さんは高校卒業したら東京に行くと言っていた、来年待ってると言われたけど、なぜ待たれるのか?まだこの恋人ごっこは続いてるのか?だからもう終わりにしませんか?って言ったらまた犯された。意味が分からない。

大学は京都に行った。
行きたい学業が京都にあったから。
京都には牛島さんもいた。これは驚いた、しかも同じ大学。大学でもバレーは続けた。大学を進学すると同時に携帯変えた、勿論番号も。これで俺と及川さんは関わる事はない。バレーを続けていてもリーグが違うから試合では合わない。
全日本強化合宿の話が来たが、俺は大学でバレーを辞めるから断ったら牛島さんに怒られた。誘いが来たんだから行けと。だって強化合宿なんて絶対及川さんいるじゃん。最後の最後まで行かないって拒否をしてたんだけど勝手に監督が名前登録して、折角だから行って来いと言われた。本当に恨む。案の定いましたよ。
牛島さんの他にも木兎さん、西谷、鴉原の篠久保もいた。よかった。やはり高校時代にセッターとして3本指に入った俺をコーチたちは見る、そんなに見られても困る。だから牛島さんの後ろによく隠れた。人付き合いが苦手だから、コーチにじろじろ見られたらやりづらい。一緒の大学だから必然と牛島さんとのセットが多かった。合宿は楽しかった。でも最終日に及川さんに呼び止められた。ふざけんなって。

正直言って避けまくっていた。
及川さんは牛島さんが苦手だってことは分かってる。だからあえて牛島さんの隣にいた。ずるいって分かってる。でも話したくないんだ、何となくだけど。部屋だって篠久保と一緒。及川さんと話す余裕なんて俺には無かった。
でも捕まった。説教付きで。
いきなり携帯は繋がらない、どこの大学に行ったかも分からない。やっと居場所が分かったと思ったら京都だし、しかも牛島と一緒とか最悪なんだけど。どうして東京来なかったの?

「思ったんですけど、及川さんってどうして俺に構うんですか?」
「はぁ?好きだから決まってるでしょう」
「でも好きとか言いながらよく女と遊んでましたよね。だからてっきり俺遊ばれてるのかなって思いました、いや、違う、今でも思ってます」

天才と呼ばれ続けた男を抱いてすっきりしましたか?
好きって言えば俺も及川さんを好きになると思ってましたか?
俺正直今、あんたを好きか嫌いかって聞かれたら嫌いです。

「嫌いならどうして俺の告白断らなかったんだよ」
「断る前に抱かれてましたから。断る余裕も無かった。この人は自分の手で天才をどん底に落としたいんだろうなぁって」

携帯が鳴る。
ディスプレイには牛島さんと表記されていた。電話だと画面をスライドしようとしたら腕を掴まれた。

「彰弥は俺の事を見てくれない」
「そういう及川さんも俺の事見てないでしょう。いい加減俺じゃなくてもいいんじゃないですか?」
「違う、見てる。見てるよ。でも彰弥は俺なんて見てない。中学の頃からななやん、ななやんと思ったら次は鴉原。俺の事なんてちっとも見てくれなかった」
「そりゃ蒼空は幼馴染だし、鴉原はチームだったから」
「北一でもチームだったでしょう」

中学と高校の頃では彰弥は別人のようだった。
嫉妬に狂いそうだった。でも彰弥は俺のモノだとどこかで思っていた。見てない、見てほしい、もし女と一緒にいれば嫉妬してくれるかもしれない。でも彰弥は嫉妬なんてしない、てか彼女普通に作るし、意味が分からない。

「及川さんはよく分からない人ですね」
「それは彰弥も一緒でしょう」

強く握られた腕から手が離れる。痕がくっきり残っていた。
及川さんはそのまま俺の肩に顔を埋め小さな声でもう一度チャンスを下さいと言ってた。そのあとに連絡先も交換した。我ながら甘いなぁって思った。
時間が合えば一緒にいる事が増えた。毎日電話もした、今までとは思えないぐらいに優しかった。久しぶりに抱かれた時は気持ちよかった。この時は愛されてるなぁって思った。だから就職先も東京にした。京都に本社を持つ大きな会社、先輩には城西の花巻さん、後輩には国見がいた。城西サンドだ。姉妹会社には岩泉さんと黒尾さんもいた。及川さんは実業団に入り、今では日本代表のセッターとして活躍している。
東京に上京して一緒に住むことになって、でも忙し会社に勤めてるから時間が合わない。そして今日とうとう女を連れ込んでいた。

まぁ、何度も言うけど仕方ない事なんだろうなぁって思う。
エレベーターから降り、そのまま自分のデスクに座ろうとしたらいつの間にかオフィスには上司と見知らぬ男性が隣に立っていた。呼ばれ応接間に行き開口一番に「京都の本社に来ないか」とのお誘いだった。

「今すぐってわけでもないんだ。君のような優秀な人材をぜひ本社で活かしたいと思ってね。返事は3、4日で聞かせてくれ」

今日いきなり上司が迎えに来た理由はこれか。
どうしようか。迷ってたら今朝の出来事を思い出して、あの家に戻りたくないなぁって思った。戻りたくないならこのまま京都に逃げてしまうか。そっちの方が楽かもしれない。

「京都に行きたいです」
誰にも相談せずに勝手に決めるのはお前の悪い癖だ。と牛島さんに言われたような気がする。でもね、牛島さん、俺は逃げたいんだ。東京から、及川さんから。弱いから、強がっているけど本当は嫌だった。潰れそうな感情を必死に繋ぎ止める事で精一杯だ。顔に出さないようにしていたけど本当は泣きたかった。やめた筈の煙草に手を出して、このイラつきを煙と一緒に吐き出せたらどんなに良かったか。嫌な事だけが自分の中に溜まっていく。
辛い、逃げたい。誰もいない所に。

「本当かい?うれしいよ」
「でも、私が京都に行く事は誰にも言わないで下さい。あ、周囲から何か言われるのが嫌とかでは無く静かに去りたいと思いまして」
「ハハハ、君らしいね、分かったよ、黙っておく。じゃあ来月の7日に京都に来てもらうよ。明日から引っ越しの準備とか必要だろうし、午前勤務でいいよ」
「いや、大丈夫です、引っ越し準備とかはいらないです。全部あっちで揃えるので、今まで通りの勤務時間で大丈夫です。」

4,5は休日で仕事も休みだ、それまでにネットなどで不動産を探し、家具も今のうち注文しとけば間に合うだろう。どうしても帰りたくなかった。元からあの家には自分の私物が少ないから好都合だ。

「今日中に本社の住所をメールで送るからその付近で住まいを探しなさい。資料関係は用意しとくから」
「ありがとうございます」


また俺は及川さんから逃げる。
今度は全員から逃げる。
残された時間は会社の仮眠室で過ごそう、ベットもあるしシャワーもある。スーツは新着を用意しとこう。新しい携帯契約して今の携帯は捨てよう。全部全部。及川さん以外のも全部捨ててしまおう。

上司に頭を下げ部屋からでる。
廊下を歩き、オフィスとは反対方向へ歩く。

少しぐらいサボってもいいだろう。
喫煙所に向かう。

「あー煙草吸いたい」

俺は逃げる事しか出来ない

寒いです




こんばんはーーーー!!!生きてます。はい、柑浪でっす。
いやいや寒いですね。びっくりするぐらい寒いです。本当に寒い。炬燵を出す季節になりましたね。ここ最近スマホでネタを書いてたのですが、携帯を壊し、いや、もう内部破損してますと言われ、おいおい私アイフォン6にしてまだ1年経ってないのに4代目なんですけど???と思いあとバックアップとってなかった為書いてたネタが全部消えました。辛い。本当白鳥沢ブームが来てつらい。天童君がもう好きで好きで友達にも全力で天童君を推しているのですがなかなか好きになってくれない、こんなにもゲスなのに!!!魅力の塊じゃないか!そう言ったら友達は伊達工について熱く語りだした。これは友達と会って議論をしなくてはならないと柑浪の中で決まった。

ちょっとした設定なのですが、あ、柑浪の自己満です。
主人公たちの中学校を考えてたら柑浪寝れなくなり、本当自分の主人公たち大好きだなって改めて思いました。許して下さい。

北川第一中学出身
桐谷、七瀬、茶葉
ポジションは桐谷はリベロ、七瀬、茶葉はWS。
茶葉は最後の最後まで影山を支えてきたが全中の試合でリベロと交換しており、ベンチにいた。高校に入っても影山とは仲がいい。
桐谷、七瀬は及川達が3年の時にはすでにレギュラー。
七瀬は次期エース及び次期主将
桐谷はベストリベロ賞を獲った。

千鳥山中出身
大久保、大倉、篠久保
ポジションは大久保、大倉MB
3年で大久保は主将
西谷とは仲がいい。

蒼崎は東峰と同じ中学。
ポジションはセッター。



中学2年の全中決勝、北川第一は王者白鳥沢に負けたが主将及川はゼストセッター賞、2年の桐谷はゼストリベロ賞を獲った。悲しみに触れている暇は無かった。白鳥沢に勝つにはどうしたらいいのか?学校に帰ったらミーティングだった。
荷物を持ち、外に出ようとしたら腕を引っ張らる、振り向くとスーツ姿の女性が立っていた、サングラスをしていて顔は分からない。身長も高い、今の桐谷の10センチ上。誰ですか?と問いかけた、彼女はくすくす笑い、サングラスを外す、サングラス外した顔に見覚えがあり、目を見開いた。彼女は元全日本女子の主将を務め天才セッターとも呼ばれた並川だった。確か昨年まだ26歳という若さで引退し、今となっては公の場に出ない並川がどうしてここにいるのか?
首を傾げる。

「貴方セッターに興味ない?」
「セッターですか?」
「そう、セッター」

今までセッターをやりたいとは思わなかった。先輩にはベストセッター賞を獲った及川、下には天才と呼ばれる後輩影山がいたから必然的にセッターになろうとは考えない。もしセッターやりたいと思っても2人の実力には及ばない、だったら自分はチームの背中を守る守護神でいた方がいいのでは。
しかし並川は桐谷に言った、セッターをやらないか?と。

「貴方は普通に牛島君のスパイクを受けていたわね。読みも外れていない。勘?それとも牛島君のスパイクは読める範囲内なのかしら?」
「よく見てますね」
「放課後自主練もしない、朝練も参加しない貴方が誰よりも努力をしてなさそうなのにどうしてチームで1番上手なのかしら?私は貴方に才能があるとは思ってないわ」

並川の言葉に普段感情を表に出さない桐谷が驚いた。
桐谷は練習が終わった後の自主練には参加しない、部員で1番早く帰宅する、そして朝練は週に2回参加すればいい方だ。幼馴染の七瀬だけ知っている。どうして参加しないのか?

「社会人チームの練習に参加してるんでしょう」
「知ってて聞いてるんですか?」
「ここまでしか知らない。どうして自主練は参加しないのに社会人の練習には参加するのかなって疑問をもっただけよ」

口を開こうとしたら後ろから桐谷を呼ぶ声が聞こえた。
あら、残念答えが聞こえないのね。と並川が言った瞬間桐谷は先に帰ってていいです、あとから追いかけます。と言った。しかしこちらはバズだ、どうやって帰るつもりだろうか?戸惑う七瀬にバックを預け、ウォークマンとイヤホン、そして携帯を取り出し、先に行っててって伝えて、ミーティングには間に合うように帰るから。まだ用事がある、まだこの人とさよならしてはいけない。後で謝っとくから。そう言って七瀬に背を向けもう一度並川の前に立つ。にやりと笑い

「中学の練習が物足りない?」
並川の問いかけに首を振る。

「違いますよ、中学の部活にはマネージャーが必要ないんです。俺の親どっちとも単身赴任で双子の妹1人家に置いて部活に熱中する程馬鹿じゃないし、女1人で夜家にいたら色々と物騒でしょう。だから自主練に参加しないで、1回家に帰り、妹と一緒に社会人バレーの練習に参加する。そしたら妹は家で1人になる事はない。部活は遅くても6時には終わる」
学校から家まで走れば10分で着く。
自主練をしたら家に帰るのが8時を過ぎてしまう。中学生の女を1人家にいるのは危険だと思ったから。だから最初から桐谷は自主練に参加しなかった。妹も部活に入ってれば同じ時間帯に一緒に帰宅できる。幸い妹は運動部ではない為自主練は無かった。

「社会人バレーを勧めてくれたのは妹です。自主練できない分チームに置いてかれてしまってはいけないって。」
「優しいのね」
「社会人って中学生だからって手を抜くわけじゃないから必然的に牛島さんのスパイクのコースが読めちゃうんです、どんなに牛島さんが強くてもまだ社会人には敵わない」

牛島さんにとって悔しいと思いますよ。
だって全部と言っていいほど拾われてしまうのだから。

「牛島さんの表情筋を動かせるのは今の所俺だけじゃないですか?」
「確かに。本当桐谷君って期待を裏切らないわ、もしろリベロじゃ勿体ない。貴方はセッターの方が向いてると思うんだけど」
「そうですか?」
「自分の上げたトスで勝敗が決まるのよ、セッターはコート上の司令塔。セッターの指示次第でチームが変わる。楽しいわ、自分のセットアップで得点を獲れるの」

桐谷君はコートをよく見ている。
相手の動きも見ている。

「桐谷君は頭の回転がずば抜けて早いわ。どんなにボールが乱れてもその瞬間で考え最高のトスを上げらると思うの」
「凄いプレッシャーかけますね」
「私ね、来年から鴉原高校に就任するのよ」

その先の言葉を聞く前に桐谷は笑い
「鴉原に来い。ですか?」
と聞く。

「そうよ、白鳥沢でも青葉城西でもない鴉原に来なさい。絶対に全国へ連れってたあげるわ。あと貴方幼馴染も欲しいから言っといて頂戴」
「鴉原って推薦無いって聞くんですけど」
「無いわ。だから死ぬ気でかかってきなさいよ。私は待ってるわ」

そう言ってサングラスをかけ車のキーを取り出し、送っていくわと。

「鴉原に来る前にセッターの練習もしといて。学校じゃ無理なら社会人バレーで教わってきなさい。私は初っ端から桐谷君をセッターとして使う気だから」
「分かりました。」
「あと、七瀬君にも社会人バレー誘ってあげたら?自主練終わってでも参加できるでしょう?時間的に」
「いや、自主練した後にもう一回バレーって結構きつくないですか?」
「そうかしら?桐谷君だけが社会人バレーに参加して自分は誘ってもらえないって結構悲しいんじゃない?幼馴染としては」

言うだけ言ってみます。
桐谷は並川の後を追って歩き出す。


2年後鴉原で待ってるわ。






2年後の春。
鴉原高校体育館廊下を猛スピードで走る2人。

「てめぇ!ふざけんな、最初に入部届を渡すのは俺だ!」
「はぁ?何言ってるか意味分からないんだけど、てか隣で走らないでくれる?目障り、早くくたばれ」

握っている入部届は既にくしゃくしゃになっていた。
勢いよく体育館の扉を開くと監督の並川の他に制服姿の新入部員が3人いた。

「おせぇよ、5組」
「お前等の担任クソ話長いって有名だからしゃーねぇよ」
「でも最後だと思ってなくて全力疾走してきたんだ」
「お前等早くね?クソ!絶対1番だと思ってたのに」
「1年の教室ガラガラだと思ったらもう終わってたんだ」

ため息を吐き、3人の所まで歩く。
そして監督の後ろには先輩達が立っていた。本当に最強が揃ったなと誰もが言う。

北川第一中学で主将を務め、白鳥沢を破って全国へ行った
七瀬蒼空、そして天才リベロと呼ばれた桐谷彰弥
強豪千鳥山中学主将を務めた大久保叔、エースだった篠久保瑛太
同じく強豪校のセッターを務めた蒼崎梓
並川が自ら声をかけた5人が揃った。

「揃ったわね。ようこそ、鴉原へ」

ーーー今年は全国へ行くわよ









終わり。
1年の時は
4組 大久保 七瀬
5組 桐谷 篠久保
6組 蒼崎
3組に茄智

2年の時は
4組 桐谷 七瀬 大久保
6組 蒼崎 篠久保
3組 茄智

鴉原は1組から3組が進学クラス
4組から6組が特進クラス
制服も若干違う
学年ごとにネクタイの色が違う
男女共通ネクタイ
進学クラス
白のブレザー 中のワイシャツが白
ズボンはグレーのチェック
特進クラス
白のブレザー 中のワイシャツはグレー
ズボンはグレーのチェック

夏服はポロシャツ
特進科は城西と制服が似ている為たまに間違われる。



妄想って楽しいですね。自己満です。
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