認められたのが嬉しかった。
いつも共通の話題で笑い合えたのが楽しかった。

酔った時の言葉が本音?
素面の時の言葉が本音?

『俺はお前と一緒にやれて楽しかった。
お前はすげぇいいよ。
ほんとに、すげぇいい。』

ありがとう、ありがとうと何度も握手を求められて、
あぁこうやって一瞬一瞬が過去になっていくんだって思い知った。
一回りも年上のおっさんに、恋心なんてわけじゃない。
でも、大っ好きだった。
ほんとに大っっ好きだった。
愛でもなく恋でもなく、どこまでも純粋に同志だったと思う。
尊敬してた。
酔っ払いの屈託のない笑顔が大好きだった。
嘘でも真でも、私を必要としてくれた。
きっと、ただひたすらそれが嬉しかったんだ。
私の意志を理解して尊重して、最大限私らしさを引き出してくれた。

私は強くいられた。
弱くもなれた。
苦手な部分は助けてくれた。
任せてくれた。
頼ってくれた。
私に頑張る理由をくれたんだ。
初めて誰かの為に動けたんだ。
誰かの為を思いながら過ごすことがどれだけ有意義かわかったんだ。
悲しい顔は見たくなかった。
疲れたとため息を吐く姿に、もっと助けてあげられなかったのかと後悔した。
腹が立って何度も叱りつけた。
上司なのにね。笑
仕事放棄して一緒に歌ったり妄想したり慣用句作ったりした。
私達にしかわからないネタがたくさんある。
人気者だし家族もいるし、でもそんな事は私にはどうでも良かったんだ。
私には私というポジションがあったから、私はクールを装えていたんだと思う。
私は独り占めしたかったんじゃなくて、それでも最後に必ず私の話を出す姿に特別扱いを感じたんだ。

そして。
私の事だけを呼び捨てにしていたこと。
私は自分に意味を見出だせた。
仕事なんて、会社なんて、代わりがいくらでも利く人格のない世界。
下らない決め事の寄せ集めで、下らない毎日に生きてる意味も見失ったような眼差しのカス達。
ただただ…そう思ってた。
今でも思ってるんだけど、でもやっぱり違ったんだよ。
私には意味がある。
名前があって、理由がある。
実感を得られたから私は活きていられた。

来年3月末で、彼は辞めるらしい。
私も、それまでに新しい事始めよう。