別の伝承、白い霧と鬼の子。
これはスグリの異常なまでの鬼好きから考えたもので、本編とは1ミリも関係がない単なる捏造です。ご了承ください。
スグリの異常なまでの鬼好きの理由は、スグリの遥かご先祖か鬼だったから。所謂マザコンかファザコンに近いもの。
キタカミの里の別の伝承。100年に一度鬼が山に立ち込める白い霧。迷い込んだ者は生きて帰れぬという。
特に女人は近付くべからず。鬼に魅入られその身に鬼の子を宿すと言われている。
キタカミセンターの看板の写真を撮った後、スグリとアオイは鬼が山に登ったがその日が運悪く100年に一度白い霧が立ち込める日。祖父母の言いつけを忘れていたスグリはアオイの手を引いたまま霧の立ち込める鬼が山に迷い込んでしまう。
恐怖に怯える二人の前に現れた鬼と呼ばれる存在。その姿は白い着物を着て刀を携え、角を隠すように無造作に髪を伸ばした男の姿。その顔つきは驚く事にスグリによく似ていた。
身の危険を感じた二人に鬼は優しく語りかけ、少し先にある小さな山小屋に二人を招き入れた。
安堵感からお腹を空かせてしまったスグリにアオイは鬼が住んでいる山小屋の台所を借りてサンドイッチを作った。勿論自分の分と鬼の分も。
鬼は初めて目にしたサンドイッチに興味津々。アオイはいつもサンドイッチ作りは失敗ばかりだが何故か今回はうまくできてホッと胸を撫で下ろしていた。
腹を満たし、一息ついたところで鬼の伝承の真実を聞いた。
確かに女性を孕らせてしまった事は事実だがなにも迷い込んだ女性全員をというわけではない。それに生きて帰れないというのもただの噂だけで霧の山から出るとその時の記憶が完全に消え失せているから。
鬼と関係を深めた女性はアオイによく似ていたそうだ。彼女はもう寿命を迎えこの世にはいないが鬼は一児の父となった責任を持つべく、霧の山に住んでいた。
鬼の子をその身に宿し、産むということは母体に多大な負担がかかり、それが普通の人間なら命に関わるとも言われている。
それでも彼の妻となった人間は頑張って子供を産んだ。その子はスグリとアオイによく似ていた。
そして女性が山から帰ってきた後、不治の病におかされ、闘病をしながらも長くは持たずその命の火を消してしまった…。
人間に危害を加えた鬼を退治すべく、数多の若者が鬼が山の鬼に襲い掛かったが鬼は話が通じないと瞬時に判断し、持っている刀で若者の大半を斬った。
強すぎる鬼に恐れ慄き、残された若者達は逃げていった。
それから必要以上に鬼が山に行く事は禁じられていた…。


追記に続きます。