心の底では、本当は彼女に会いたいのかもしれない。
会って、ごめんなさいって言ったら自分が楽になるから。
自分の浅ましさに泣く。

本当は、会ってもう一度抱き締めてもらいたい。
そうすれば許された気になるから。



夢を見た。
不思議な夢だった。
私の理想像だったのかもしれない。


高校生みたいなクラスで高校生みたいなことして。
クラスにいたのは高校生のとき仲のよかった子たちで。
でも今大好きな人たち、例えば仲のいい大学の友人とか、演習の先生とかもクラスにいて。
なのに勉強してる内容は各自大学の専攻で。

すごく楽しく毎日過ごしていたら、ある日気付いた。
同じクラスに彼女がいるんだ。

その日は席替えがあった。
ぼくはよくコピー機を使うんだけど(そういえばそのコピー機も不思議な形をしてた)コピー機も席の移動をしていた。
ぼくの席からはちょっと遠くて、面倒だなって思いながらコピーをしてた。
そうしたら、コピー機の後ろの席が彼女だったんだ。
彼女と目が合ったぼくは慌てて目をそらして、どうしていいかわからなくて、早くコピーが終わればいいと思った。

彼女の隣の席は大学の演習の先生でどうやら夢の中ではうちのクラスの担任らしい。(そういえば各教科ごとに先生は何人もいて、全員好きな先生だったし、先生も席替えに参加してた)
担任は私にあんまりコピー機を使わないで欲しいと、私がコピー機を使いに来るたびに私が視界に入る彼女はまた具合が悪くなると言った。

そんなこと言われても、私だってコピー機使いたいし、そんなこと言うなら私が来るのを感じたら彼女が席を離れればいいじゃないかと思った。
でも私は彼女に対してそんなこと言えた立場じゃないことに気付いて黙った。
ちょっと見ると、彼女は具合が悪いらしく、真っ青な顔で先生にもたれていた。
(この時ぼくは彼女が頼っているのが私ではなく男の先生であることに、猛烈に嫉妬した。やっぱりまだ悔しいんだ、男に恋人をとられたことが)

悪いことをしたと思って、コピー機の位置を変えてもらうために教務課という名の職員室に走った。
でも、クラスの問題はクラスで解決するように言われた。
仕方ないからちょうど職員室から出てきた担任に恐る恐る声をかけて、コピー機の位置を変えてくださいって言った。
そうするとさっきのことは忘れたかのように(現実でもこの先生はこんな調子だから困る)クラスで一番コピー機を使う私の席からコピー機が遠いことを案じて、じゃあ位置を変えようと言ってくれた。

コピー機を移動するとき、手伝ってくれたのは彼女だった。
やっぱり目が見れなくて落ち着かなくて、ごめんねって言ったら大丈夫だよって言ってた。
なんとなく許された気がして、顔を見たら、彼女は会ってない数年の間に大人っぽくなってた。
だってもう彼女も22だもの、そりゃそうだよな、と思ったら目が覚めた。