前記事からの続きです。
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十月九日の朝。
新八と神楽が早々に出かけた万事屋に突然やってきた土方を、銀時は驚きながら招き入れた。
「どうしたんだ?こんな朝っぱらから珍しいな」
「まぁちょっとな。それより今日なんか予定入ってんのか?」
「いや、別になんも無いけど。そっちこそ仕事は?」
「休み取ってきた」
「マジで?うちに来てくれたってことは今からずっと一緒に居れんの?」
「ああ」
返事を聞いて喜んだ銀時の表情がほんの一瞬陰ったのを土方は見逃さなかった。
その時銀時の頭にはこの間のことがよぎっていた。
(んなこと言ってもどうせ組から連絡が入ったらすぐ戻るんだろ…)
銀時の思いが手に取るようにわかっていた土方は、その言葉を銀時の口から出させぬよう、自分の携帯を取出して見せた。
「この通り、今から電源を切って明日の朝帰るまでこのままにしておくから。…俺の24時間をお前にやるよ」
「えっ?いや、嬉しいんだけど一体…」
「忘れてんのか、明日は何日だ?」
「あっ…!」
「これは俺からのプレゼントだ。いらねぇんだったら今なら返品可能だけど、どうする?」
「いるいる、いります!誰が返品なんかするかよ!!
…ほんとにお前を独り占めしていいんだな?」
「あぁ、誰にも邪魔させねぇから好きにしろよ」
「んじゃ遠慮なく…」
銀時は土方を抱き寄せるとくちびるを重ねた。
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すっかり夜も更け、あと少しで日付が変わる頃。
銀時は気になっていた疑問を口にした。
「なぁ、誕生日は明日なのになんで今日だったんだ?」
「明日は子供らが色々用意してるんじゃないのか」
「あー、確かになんかコソコソやってるみてェだな」
「だろ?明日はあいつらと過ごせばいいさ。だから俺は…いや、やっぱいい」
「なんだよ、言い掛けてやめたら気になんだろ」
「教えるつもりなかったんだが…しょうがねぇ、特別に教えてやるよ。
…こうして日付が変わる瞬間を一緒に迎えて、あいつらより、世界中の誰より先にお前が生まれた日を祝いたいって思ったんだよ。
それに…俺だって一日中お前のことを独り占めしてみたかったから…」
告げるつもりのなかった本心を口にし、頬を赤らめている土方を銀時は心の底から愛しいと想った。
―そして、二本の時計の針が天辺で重なった。
「誕生日おめでとう」
「ありがとう。俺、こんなに誕生日が嬉しいと思ったの生まれて初めてだよ。お前のこと好きになってよかった…十四郎」
その言葉に更に赤くなった土方も、本当に嬉しそうな銀時の笑顔に自然と笑みがこぼれた。
銀時はそんな土方をぎゅっと腕の中に閉じ込めた。
「言っとくけど、こんなのは今日だけだからな」
「わかってるって。最高のプレゼントありがとう。
朝まではまだ時間はたっぷりある。お返しに俺を独り占めさせてあげてもいいけど、どうする?」
「じゃあ遠慮なく…」
土方はひとつ歳を重ねた恋人に、今日初めての、昨日からはもう何度目なのかわからないキスをした。
end.
HAPPY BIRTHDAY GINTOKI!
2010.10.10
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間に合わないかと思いましたが何とか出来上がってよかった!出来はともかく…(^_^;
反省点は色々ありますが完成したのが奇跡なんで(笑)どうかお許しを^^
どうしても10時10分に更新したかったのでそれが出来たので満足です(*^^*)
ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました!