あの…今さらおめでとうでもないかと思うんですが
HappyBirthday銀さん!!遅くなってごめんなさい。。。(´Д`)
とゆうことで、今年も坂田銀時さん誕生日記念ってことで銀土書いてみました。ま、需要があるのかわかりませんが…
よかったらどうぞ☆
「あっ・・・」
万事屋の机の前に座っていた銀時は、頬杖をつくのをやめて顔を上げた。
いつもより早足に階段を上がって来た足音が止まり、一呼吸置いて玄関の戸が静かに開かれる。
今日は時間ねぇって言ってたのに来てくれたんだ。無理してなきゃいいけど・・・
チラッと時計に目をやると10月10日が終わるまであと少し。
「よう」
真選組の隊服を着た土方が姿を見せた。
「いらっしゃい。仕事はもう上がり?」
本当は土方の顔を一目見ただけで仕事モードなのはわかったが、敢えて気付かない振りをする。
「いや、少し抜けてきただけだから、また戻らなきゃならねぇんだ」
「なぁんだ。遅くまで大変だねぇ、副長さんは」
椅子から立ち上がり、土方の前までやってきた銀時は土方を抱き寄せた。
「どれぐらい時間あんの?」
「30分ぐらいしか無ぇ」
忙しい中わざわざ来てくれた、それだけで嬉しかったはずなのに。
いざ土方を目の前にすると全てを独占したい衝動に駆られてしまう。
「・・・このまま朝まで居ろよ」
首筋に顔を埋めた銀時の口から零れ落ちた本音に、土方の身体がぴくりと震えた。
「・・・・・いや・・・悪ィ・・・今度埋め合わせするから」
僅かな逡巡のあと、声を絞りだすように答えると唇を噛み締め、眉を寄せている。
そんな土方の表情に銀時の心が痛んだ。
「バーカ、嘘だっての。ちゃんと今日中に来てくれたから許してやるよ・・・だからそんな顔すんな」
銀時は土方の頬を指先で輪郭をなぞるように撫で、安心させるように笑ってみせた。
だが銀時は知らなかった。
自分の瞳も土方と同じように切なく揺れていることを。そして、それがまた土方の胸を締め付けているということを。
(てめぇこそどんなツラしてると思ってんだ・・・)
土方は衝動的に銀時の唇に自分の唇を重ねた。
「・・・お前の方からしてきたの初めてだな。もしかして誕生日プレゼントの代わりとか?」
「そんなんじゃねーよ。ただ俺がしたいと思ったからからしただけだ」
「うわっ今のやべぇ・・・めちゃめちゃ嬉しいんだけど」
そう言った銀時の少しはにかんだ微笑みは、さっきとは違い混じりっ気なしの幸せそうな笑顔で、今度は土方の胸が甘く疼く。
「プレゼントって、なんか欲しいもんあるのか?」
「う〜ん、そーだなぁ・・・」
俺の欲しいもんなんて決まってる。けど
土方の全部を俺だけのもんにしたい――
なんて言ったら、またあんな顔させちまうんだろう・・・
「じゃあもう一回キスして?」
「えっ?そ、それは・・・さっきしたからもういいだろ!したかったらてめぇからしろよ」
「何、土方くんは銀さんにチューして欲しいの?なら後でいくらでもしてやっからさ。今はお前からして欲しいんだよ・・・なぁ、お願い」
珍しく真っ正面から見つめながらそんな事を言われてては、土方に断れるはずがない。
「ハァ・・・しょーがねぇな。今日だけだぞ、目ェ瞑れ」
言われた通り目を閉じた銀時だったが、すぐに目を開いた。
すると間近に頬だけでなく耳までを紅く染め、唇を薄く開いた土方の顔が迫っていた。
(フフ・・・まぶた震えちゃって緊張してる?カワイイ・・・)
柔らかな唇が触れるまでのたった数秒。もう幾度も夜を共にした間柄なのに、まだ銀時が知らなかった土方がそこにいた。
誰にも見せない顔を俺だけに見せている、今この瞬間の土方は俺だけのもんだよな。
口づけたまま土方を強く抱きしめると、それに応えるように肩に置かれていた土方の腕が銀時の首に回された。
唇が離れたとき、互いにどんな顔をしているのか――それは二人しか知らない。
END.