(…おーい…ひじ…くん…早く…ないとイタズラしゃうぞ〜)

仕事をしていたはずが、いつの間にか机に突っ伏して眠ってしまっていた土方は、耳馴染みのある声に目を覚ました。

ぼんやりしたまま顔を上げるとそこに立っていたのは――

窓から差し込む月明かりを背に、裏地が赤い黒のマントを纏い、銀色の前髪を上げて後ろに撫でつけた吸血鬼……ならぬ坂田銀時だった。

「お前…何してんだ…?」

「愛しい姫を奪いに参上した…なんてな」

土方は自分を見つめる銀時の頬に浮かぶ妖しい笑みに、魅入られたように動けない。

銀時はそんな土方をすばやく抱き寄せ、その白くて滑らかな首筋に軽く歯を立てた後、チュと音を立てて吸いついた。

「…っ!やめ…そんなとこに跡付けんな…」

「フン、俺と一緒で朝までには消えるさ。せめてそれまでは…俺だけのものでいろよ」

首筋に顔を埋めた銀時の切なげな声に土方はそっと髪を撫でた。

「…俺が本物の吸血鬼だったら、お前ももう同族だぜ?」

「オイオイ、それだけは勘弁してくれよ。
…どうやら俺の胸には銀の楔が突き刺さってるらしい。どうあがいても抜けやしねェ、それどころかどんどん胸の奥深くに食い込んできやがるから始末におえねェ。
今吸血鬼になったら即死しちまうだろうよ」

「フフッそうか。そりゃ困るな。お前がいなくなったら俺も死んだも同然だしな」
銀時はそう言うとさっき吸い付いた部分を舌でペロリと舐め上げた。

「そんじゃまぁ生きてるうちに存分に楽しむとしよーぜ」

銀時が脱ぎ捨てたマントが床にバサッと落ちた。それが今夜の二人の始まりの合図。


end.



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えーと、ご存知ない方ががおられるかもしれませんね。
吸血鬼は杭を心臓に打たれると死ぬ、銀の弾丸で打ち抜かれると死ぬ、若しくは死なないまでも銀製のものが苦手と言われています。

ハロウィンてゆうか、銀さんに吸血鬼コスさせたかっただけなんですけど(^^;
衣装は肝試しの時のを落さんに借りたwww


最近、仕事がハードでWJ感想などサボりがちですいません。年末まで忙しいらしいです…((汗