巡回中に出会った銀時は
ちょっと来い、と俺の腕を掴むと、グイと引っ張り勢いよく歩きだした。

「オイっ待てよ、どこ行く気だ?離せ、仕事中だぞ!」
という俺の悪態は見事に無視された。


日頃のうるさいほどの饒舌さは微塵もなく、無言のまま引きずるようにいつもの宿に連れ込まれた。


いや、連れ込まれたというのは正確ではないだろう。いくらこいつが馬鹿力とはいえ、本気で抵抗すれば拒めたはず。

それを、口では離せだのやめろだの言いながらもここまで付いて来たのは、俺の意思だ。



部屋の中に入り扉に鍵を掛けた瞬間、強く抱き締められ噛み付くように口づけされた。


強引に舌を割り込ませ口内を蹂躙しながら、器用にも片手でズボンの中に納まっているシャツの裾を引っ張り出し、下から手を侵入させ脇腹を撫で上げてくる。

「んっ…」


久しぶりの感覚にそれだけで背中をぞくりと震えが走った。


いっそこのまま流されてしまおうか、と思ったが未だ無言のまま行為を続けようとする銀時に身を任せるのはやはり癪に障る。


「ちょっ…待てよ……おい、待てって言ってるだろーが!」


「待て待てっていつまで待てばいいんだ?もう待てねーよ!何日ぶりだと思ってる?おめぇはどうか知らねぇが、こっちはとっくに限界なんだよっ…!」


ーあぁ、こいつも俺と同じだ…


いつも余裕綽々で俺を攻め立てるこいつの、こんな切羽詰まった顔を見ただけで

俺が知らない間に増えている体の傷のこと、とか
最近よく吉原に出入りしているらしいこと、とか

そんなことは一瞬にしてどうでもよくなった。


「…偶然だな 俺もだ」


自分から銀時の背中に腕を回しくちびるを合わせる。そのまま抱き合いながら縺れるようにベッドに倒れ込んだ。


まだ着たままの隊服がしわになる…そんな事が頭をよぎったが、快楽の波にのまれすぐに消えていった。



どうしてくれるんだ
もうおまえ無しじゃ生きてけねぇ…


甘い毒に浸食されてゆくのをとめられないーーー



END.