(もうすぐ日付が変わるな…)
心地好い疲労感に包まれ、物思いに耽っていた銀時は土方の声に現実に戻された。
「さっきから何考えてんだ?」
「えっうん…例えばさぁ、二人の人間が同じ時代に同じ星に生まれて巡り逢えるのって、きっとものすごい確率だよな。
その上互いに好きになって想いが通じ合うなんて、それこそ奇跡みたいなもんじゃねぇかな…
なんて、ちょっと思っただけだよッ」
銀時は話ているうちに気恥ずかしくなったのか、すねたように唇をとがらせた。
…そうか、誕生日だからか…
銀時が何故こんなことを言ったのかわかった土方は、そんな銀時が微笑ましく、いとおしく想った。
「別に奇跡でも運命でも好きに呼べばいいさ。だが生憎俺はお前みたいにロマンチストじゃねぇからな、そんなもんに興味は無ぇ。
人間が勝手に付けた名前なんかなくても
今こうして手を伸ばせばすぐ触れられるほどそばにいる…この現実は変わらないだろ」
土方は銀時の頬に指を這わせた。
「俺はこれだけで十分だ」
(あぁもう、誰がロマンチストだって?お前の方がよっぽどだろ…)
銀時は自分の頬にある土方の手を握ると指先に口づけた。
「ったく、お前にはかなわねェよ。
でもこれだけは言わせてくれよな
誕生日おめでとう 愛してる」
真っ直ぐ見つめながら告げる銀時に土方はくすぐったそうに微笑みを浮かべると何も言わず目を閉じた。
すると望んでいたものは瞼に、そして次に唇に落ちてきた。
HAPPY BIRTHDAY TOUSHIROU!!
2012.5.5