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A深い深い森の奥に(高新)




*人間×人外な高新パラレル*





ハイっ!いきなり前回の続きから考えていきます。

晋助は新八くんに続いて家の中に歩を進めたと。そしたらやっぱりここの家の中も、外見と変わらずに十分に趣のある設えだったのですよ。長い年月をかけて飴色に磨き込まれた廊下の床板。所々においてある行灯の、橙色をした優しい光。そして廊下の曲がり角には瀟洒な花器に生けられた自然の草花。

晋助はそういう趣のあるものが大好きですからね(美意識が凄いからホラ)、やっぱり前を歩く新八くんに尋ねてしまう。


「ここは……この家は本当にてめェが一人で住んでるのか?なら、この手の入れようは何だ?どう考えてもガキの手に余らァ」

新八くんはその質問にはくるっと振り返って、

「僕は日がな一日中ここに居るって言ったでしょう?この家を綺麗にしておくことくらいなら造作はないんですよ」

ごく平然と答えますけど。
でも振り返ってこっちをじっと見てきた少年の、その透き通るような肌の白さ。まるで白磁のような……と言うの?すべすべした肌理の細かさは、やっぱり現世における人間のものとは若干違うような気がしてね。
廊下に置かれた行灯が柔らかに投げかけてくる橙色をした光と相まって、その肌の白さは新八くんの性をどこかうつろなもののように見せた。女のようでいて男のようでいて、この薄暗さと柔らかな灯りが少年の性を妖しく移ろわせている。

着物の袖から覗く手首の、その細さ。抜けるような襟足の白さ。濡れたような黒髪の艶やかさ。
女とはまた違う類いの劣情をそそられるような、伸びかけの若木のような身体のしなやかさ。

「…………」

晋助も何となくこの子を見てたら、妙な気分にちりちりと胸が焦がされたような感じがして。

でもいわゆる少年愛と言うのですか?稚児趣味は晋助にはないからね。だって通常ならふっつーに女とばっかり遊んでる訳ですからね。
だからそんなんを思った自分に、男の子をふっとそんな対象で見た自分に晋助は内心でびっくりすると(顔には出さねど)

だから何となく晋助もまじまじ新八くんの顔を見たりして、真面目に失礼にも頭のてっぺんからつま先までジロジロ眺めまわして、


「てめェ……やっぱりこの世のもんじゃねェな」

などと早くも結論を出すと(晋助?ほんっと思い込み激しいからねお前ね)
でもそしたら新八くんはさも心外って顔をしてさ、

「いや、僕は人間ですって。何ですか、人の顔なんてまじまじと見て。僕を幽霊みたく言わないでください。何なら僕を触ってみてくださいよ」

晋助に言うからさ。

「てめェに触れたらアレか?何かに取り憑かれるとか……まさか言うんじゃあるめェな」
「そんなん僕にできる筈もないでしょうよ。てかアンタこそアレですか、そんななりして実は案外ビビりなんですか」
「……。……てめェやっぱり俺の刀の錆になりてェようだな。まあ、クソ生意気な小僧くれェなら容易く斬れるしなァ(チャキ)」(←だから待てって)
「いや嘘ですマジに嘘です、すみまっせんんん!!設定上のアレでほら、ちょっと調子乗っただけですよ!?他意はないです!」


話し込むうちに、高新の二人もだんだんと気心も知れてきたと(ほんとに?)
んでも新八くんにビビり言われて引き下がるようなら晋助じゃねえじゃん。絶対に引かないよね。むしろすぐ触りに行くよね。

もう何も声も掛けずに、いきなり新八くんの頬にひたりと触れてみたりしてね。片手をすいっと上げて、おもむろに新八くんの白い頬に触れてみる。

「っ……」

いきなり触れてきた晋助の手に新八くんは少し戸惑った風でしたが、やっぱり大人しくはしてるのですよ。でもそうやって一歩近づいたことで、晋助もますます妙な気持ちになっちゃうのだけどね(あっ)

「(ちゃんと温もりは感じられる……ならやっぱり人間か?いや、バケモンの類いでも温もりくれェはあるか。しかしこの肌……)」

新八くんに触れれば、ちゃんと血の通った人間らしさは感じられる。でもね、そのすべすべした肌の質感。手に吸い付くような、しっとりした表皮の手触り。女のような、とか、そんなちゃちな表現じゃ済まされないような一種独特の感覚があって。
まるでそう、魅入られたようにずっと触っていたくなってしまう。

だからふっつーにね、晋助の手も新八くんの頬から首筋にひたひたと降りてみたり、その形の良い耳の外殻を擦ってみたりして(んん?)、新八くんを少し戸惑わせるのですよ。

「ちょっ……ちょっと、もういいでしょうよ。僕がこれで人間って分かったでしょ?」
「あ?……ああ。まァな」

新八くんに言われて初めて、晋助も渋々手を離しましたね。そんでも何となく妙な気分は継続していたのですがね(晋助)

さてさて。そのまま家屋中奥に進んだ新八くんが案内してくれたのは、雅な設えの和室であります。八畳間くらいかな?中央には座卓もあって。

「さあ。ここで朝まで過ごされるといいですよ。朝になったら自然と森から出られますから」

新八くんは晋助に座布団を勧めたりしてね、お茶でも淹れてくれるのだけど(優しい)
んでも晋助にはやっぱり気になることはあってさ。


「てめェはこの森から出ねえのか?」
「え?僕ですか?」

お茶を用意してた新八くんに不意に尋ねたけど、新八くんはまるでそんな事を初めて考えたかのようにキョトンとしてるのですよ。

「僕が?……いや、僕は理由があってここに居るって言ったでしょ?」
「その“理由”とやらは何だ?てめェがこの家と、この森にこだわる理由は」
「何って……そんな事を聞かれるのは初めてですよ」
「いいから言え。俺ァあまり気長じゃねェ」
「でしょうねアンタ、そんなすぐに斬る斬る言うしね」(←新八くん)

しかしさ、晋助に問われても未だに新八くんは首を傾げているのです。

「理由……何だったっけな。ちゃんと理由はあったんですよ。確か……誰かを待っていなきゃダメなんです」
「誰をだ?」
「ええっと。あれ?……誰だったんだろう?……でも大切な人です。その人を、とにかく僕はここで待ってなきゃ。約束したんです」

どうやらあまりに長い時間ここで誰かを待っているせいで、新八くんはその『誰か』がどこの誰だったかも忘れているのです。約束の外格だけは覚えているけど、その誰かのことはもう朧ろにしか覚えていない。もしくはあまりに長い年月を一人で過ごしていたから、その誰かを想うとどうしても切なく寂しくなってしまうから、新八くんの脳みそは意図的に忘れていったのかもしれない。徐々に風化させたのかも。

でもその誰かと交わした約束を守るためにも、自分はここに居ると。

でもそれを晋助に言わせればさ、

「誰と約束したかも覚えてねェなら、そいつァもう約束でも何でもねェな。てめェ何に縛られてやがる。それは人外の存在に成り果ててまで護ることか?」

とね。やっぱり新八くんが人外の存在だとは薄々思ってるので、不躾にも言い放っちゃうのですよ〜!元よりそういう男じゃんね。相手の心の奥底にある真実をズバッと指しちゃう。
そしたら、そこで始めて新八くんは慌てる。

「はっ!?……いやいやいや、それでも僕には大切な約束ですから」
「だがそれを交わした相手すら覚えてねェんだろうが」
「うっ……ま、まあ。そうですよ」
「もしやここから出るのが怖えのか?てめェこそビビりじゃねェか」


ほらほら!ほらね!もうね、新八くんが慌てた姿なんて見た晋助はもう鬼の首を取ったようになるよね。マジ意地悪だしね、困ってる新八くんを見てくつくつと喉を鳴らして笑ってるくらいにしてさあ(こら晋助)

けど晋助に笑われれば、そりゃあ新八くんも悔しいからなあ。

「違いますよ!そりゃあ僕だって……ここからは出たい時もありますよ。ずっとずっと一人だし。たまに誰かと会話する感覚も忘れちゃいそうになります。でも……」

それでもまだ何かを迷っている。何かを気にしている。だからね、そんな新八くんを見てたら晋助もごく自然と口が開いてね。

「こんな薄暗ェ場所に一人っきりで居んなら、俺と一緒に来い。朝が来たら俺が連れて行ってやる」


ほ、ほら〜!ほらね?!(何だよ)
晋助だから自然と口説いてるんだって!俺と一緒に来いって言うんだって!(あ、なるほど)

まったくねえ、ほんっと自然に口説きにくるから晋助はね。でも新八くんもやっぱり嬉しかったと思うよ。だってこんな事まで自分に言ってくれた人も初めてでしたからね。自分を薄気味悪く思う人間は多々あれど、こうもキッパリとここを出て行こうなんて誘ってくれる人間なんて居なかったもの。


「え?……僕を?」
「ああ」
「何でです?だって僕ら、さっき知り合ったばかりでしょ?お互いに名前も知らない……僕、アンタに斬るとまで言われてたし」
「“アンタ”じゃねえよ。高杉だ」
「はい?」
「俺の名だ。高杉晋助」
「……高杉さん」


新八くんも晋助の名前を口にしながら、目の前に座る男をまじまじ見たよね。その翡翠を沈めたような、不思議な色合いをした右のお目目を。
晋助には一種独特の強い引力ってあるじゃん。誰もが夢中になっちゃうと言うの?他人が強く惹かれるようなものを持ってるからさ、新八くんもやっぱり晋助の不思議な引力には強く強く惹かれたのですよ。

この人となら……って。僕はここから自由になれるのかもしれないって。

だって本当はずっとずっと寂しかったのだもん。自分は人間であると思ってるけど、でも自分の姿は長いこと少年の姿形を延々と保ってるんですよ。成長してない。どれだけ望もうと成長できない。なのに死ぬ事もない。そんなんもう人の倫理から外れた存在なのですよ。
『ここで待っていなきゃ』って言う想いが強くなり過ぎて、少年はとっくの昔に人の倫理から外れたモノになっていた。生と死を超えた、なにかの存在にね。

でも新八くんの思念はもちろん新八くんのままなのですよ。人間の頃のままの純粋さもある。だから寂しくないはずはなかった。どれほどに一人に慣らされようが、こんな風に誰かと触れ合うことに飢えていた。そして今までの人間は皆して自分を薄気味悪く思ったけど、手に取るようにそれが分かったけど、この人だけは違うかもしれないと感じた。

そう感じたらね。思わずひとつ、新八くんはこっくりと頷いたのですよ。


「うん。……じゃなくて、ハイ。僕、高杉さんと行きたい。ここから出てみたい」
「そうだろうが。ならさっさと返事しねェか小僧が」
「いや待ってください、何でアンタそうも上から来るの?それに僕は小僧じゃないです。新八っていう名前があります。……誰かに名乗ったのなんて本当に久々ですけど」

晋助がすっげえ偉そうなのは常のこととしましても、新八くんはそれでも嬉しかったんだよ?だって自分と約束を交わしてくれた人も、本当に久々だったからね。
だから思わず立ち上がってね、お部屋の奥にあった小さめの桐箪笥からゴソゴソとお礼の品物を選び出してきたらくらいには新八くんも嬉しかったのです。


「あの。高杉さん、これ」

そして晋助に思わずそれを手渡すんだけどね、それは何の変哲もないただのビー玉なのですよ。涼しげな水色の流水紋が入ってる、ただのビー玉。

「あ?こんな玩具で遊びてェってか?てめェ思った以上にガキだったな(真顔)」
「ちっちげーよ!遊ぶんじゃないですよ、流石にいくら僕でもこれで遊ぶとかねーよ!だって僕……お礼の品とか用意できないです。誰かにあげていいものなんて、これくらいしか」

新八くんはおずおず言う。でも新八くんなりに気を使っているのだねえ。晋助に何かお礼はしたいのだと。
晋助はすげなく言い返すんだけどね。

「礼なんざ要るか。俺がてめェをただ連れて行くだけじゃねェか」
「いや、それでも受け取ってください。なにかの目印になるかも」
「目印だと?」
「はい。ここを出たい気持ちもあるけど、出たら僕はどうなるかよく分からないんです。あまりにも長い年月をここで過ごし過ぎていて。あまりに長い時間、僕はずっとずっとこの姿のままで。以前交わした約束の相手のことすら覚えていられないほど昔から、僕だけは変わってなくて。だから……」


おずおず囁いた新八くんの不安が、晋助にも何となく伝わってきた。カタチのあるものを渡すことで、晋助に持っていて貰うことで、確かにここで二人で約束したんだっていう証が新八くんも欲しいのだろうね。

ものすごく切ない子だよね。いじらしい。本当はずっと前から自分がここに縛られている事も分かってたのだろうね。だって新八くんは控えめなんだけど、ものすごく意思はしっかりしてるからさ。

だからね、晋助も思わず膝で新八くんの側ににじり寄って。畳に着かれた新八くんの手首を取ったのですよ。

「てめェはやっぱり人間じゃねェな」
「はい。でもきっと元は人間なんです。だって僕、何かに変化したりとか、術を使うとかできません。空を飛んだりとかできる筈もないし。身体能力やらは元の人間のままなんです」
「てめェ……人外のくせに大して使えねえな。見た目もだが中身の方も地味が過ぎる。正真正銘の人間である俺の方がてめェより格上じゃねえか」(←晋助)
「だからうるせーよ!何で高杉さんにそこまで言われなきゃいけないんですか!格上とか格下とかねーんだよ、人外なめんなよ!?」(←新八くん)


あらら。高新ときたら放っといてもどんどん仲良くなるよね(ん、確かに)

だからねえ、晋助の手がまた動いて新八くんの頬にすいっと触れてもね、新八くんはもう驚いたりしなかったのですよ。




*てかまた長くなってるから区切る!*














深い深い森の奥に(高新)

*御伽話チックなパラレル*
*人間×人外な高新*





御伽話チックな高新って良くない?と思ってて。最後はラブラブハッピーエンドじゃない御伽話も好きなんだよね。若干切ない系と言うのですかね。

設定は江戸中期くらいにしておこう。外灯やランプは江戸市中にも当然普及はしてなくて、精々で夜の灯りは提灯や行灯、ろうそくが主流だったくらいがいいかな。
もちろん行灯やろうそくの灯りだから、現代の電子の作る明るさよりは全然薄暗いよね。行灯を灯していてもお部屋中の隅々までは光は行き届かないしね。むしろ部屋の隅っこ、壁際や襖にはまだ薄暗闇がわだかまっている。天井の隅や、複雑な曲線を描く欄間の細工の所々にも。
そして光も届かない深い山の中や、深い深い森の中には本当の深淵がある。真の暗闇が。

そうやって夜のいたるところに闇がある、たとえろうそくを翳しても、夜=闇の気配からはどうしても免れない。闇という自然の摂理がまだ全然夜を支配していた、誰もそれからは逃れられなかった、これはそんな時代のお話がいいな。

さて。このお話の中の晋助と言えば、江戸市中でも名うての名家のボンボンご子息だったのだけど(そこ変わんねーな)。んでも父上とはめっちゃ折り合い悪くて、顔合わせれば喧嘩ばっかりしてて、もちろん晋助だから剣の腕はバリッバリ立つけど、何なら名門流派の免許皆伝とか全然取ってるけどそれだけじゃ父上を黙らせるとかできよう筈もなくて、そんなんだからあまり実家にも居たくなく、しょっちゅう朝帰りばっかりしてましたよね。
何ならよく馴染みのオンナのとこでもしけこんでて実家にはあまり寄り付かないとかね、吉原に流連(居続け)で馴染みの花魁のとこにしけこんでるとか、この話の晋助と言えばそんな感じですよ(こらこら晋助?ちゃんとお家には帰るのよ?)


だからねえ、その“森”を見つけたのも本当に偶然だった。
吉原からの帰り、酔い覚ましがてら気まぐれにふらりと大回りして、江戸市中をぶらぶら歩いてたのですよ。時刻は草木も眠る丑三つ時ですね、お空のてっぺんに上った満月が下界を白く照らしていて。てか、んな時間に吉原から帰ってくるとかすごくね?朝まで居ねえのがすっげえ女泣かせと言いますかね(いや遊びすぎ)
そんでね、深川の辺りをぶらぶらしてた頃かな?何なら腰に下げた酒瓶をちまちま呑みながら歩いてますけども(まだ呑んでやがる晋助)、ふと横手を見たらね、どうした事か鬱蒼とした森が繁っているんですよ。


「……んなとこに森なんてあったか?」


晋助はもちろん訝った。だってこの辺はまだ緑も多くて狸とか狐も出てくるけど(設定は江戸中期です)、ここまで鬱蒼とした森なんて記憶にはない。でも晋助もいい加減酔っ払ってるので、物は試しと森に分け入ってみたのですよ。
これは好奇心もあるなあ。てか晋助は元からして好奇心の塊のような男じゃないか。


「(もしかすると狐か狸に化かされてんじゃねェか)」

などとは思いますが、もちろん腰には刀も下げてるのでね、その硬い柄を握れば自然といつもの自分を取り戻せますよ。

「(……馬鹿馬鹿しい。この俺がそんな畜生に化かされる筈がねェな。もし何かあったら斬るだけだ)」

なんてね。そこは絶対的な自信あるからさ。でもこんな夜中に不可思議な森の中に分け入るだなんて、痛烈に興味を持ってしまったなんて、その時点でもう晋助は『呼ばれてる』んだけどね。

その森に在る何かにね。


てか何度も言うけど、時刻は丑三つ時ですよ?月の光くらいは射してるけど、そんな陰鬱な森の中なんて当然暗闇が広がるばかりで何も見えない。見えないけど、晋助は歩みを止める事もなかった。
たまたま持っていた提灯を左手に掲げて(瀟洒な藤色の家紋入り)、唇にはいつもの煙管を咥えて、晋助はためらいなく森の奥に進んでいった。


そうしたらね。森の中を所狭しと生えている木々の枝をひょいと頭を下げてくぐったところに、こんなところには場違いなほど大きな一軒の日本家屋があったの。ちょうどそこだけ木もなく、切り取られたように不可思議にぽっかりと空間が拓けていて。その黒光りする日本瓦も、白い月光を浴びて冴え冴えと照り光っている。


「……これは……」

ごく自然に感嘆の声が出た。その家屋の側まで行って提灯を掲げて見てみる。家は相当に古いが、たしかに人の住んでいる気配がある。板塀や玄関戸は飴色になって経年の変化を感じさせたが、ここには人のいないあばら家特有の風情はない。何よりただのあばら家にこんな重厚な趣きは出せまい。
まさかこんな森の奥で日本家屋にぶち当たるなんて、本当に夢でもみてるようだった。

だから晋助もいよいよこの状況を訝ってね、何ならその玄関戸に手を掛けてですね、

それでもふっつーに開けてみようとするよね。晋助だしね、遠慮も何もなく開けようとしますよ(晋助?)

「まさかな。開くはずは……あるめェ」

などと晋助もゴニョゴニョ言いながら玄関戸を引いたら……普通に開いたんだけどね(開いたんだ)

音もなくするすると横に滑った玄関戸を見て、晋助もいよいよ眉間に皺を刻んだよね。頭の上にはクエスチョンマークを浮かべたくらいにしてさ。
でもね、その開いた玄関の先。まっすぐ伸びた廊下の端から少年が走ってきたことには更に驚いた。少年の年頃は十五、十六歳でしょうか。白い着物に水色の道着袴、そして眼鏡をかけた黒髪の少年なのです。てか新八くんです(ハイ登場)

「あっ!こんばんは、いらっしゃい!」

新八くんは晋助に気付くとね、ぴょこんと頭を下げて丁寧にお辞儀をする。
それには更に度肝を抜かされた晋助なんだけど(顔には出てないけど)、こんな森の奥に住んでるってだけでもう晋助には不審者じゃん?だから新八くんが登場するやいなや、晋助も刀に手を掛けて、何なら軽く鯉口切ってるくれーにして(晋助待って)、

「てめェ……一体何者だ?この家は何だ?てめェバケモンの類いか?」

新八くんに矢継ぎ早に尋ねますが、新八くんがそれに答えずにテクテクと近寄って来ようとしたら、

「……これ以上俺に近寄るな。ガキだろうと容赦しねェ。近寄れば斬って捨てる」

ふっつーに眼光鋭い右目で新八くんをガン睨みして、何なら今すぐにでも刀を抜き払えるように腰を落として構えてるくらいですよね(だからお前待ってって、ほんっとお前晋助すぎなんだって)


んでも新八くんはさ、そしたら慌てるじゃん。だって急に尋ねてきた男がいきなり臨戦態勢でさあ。しかも斬るとまで抜かすとか何事よ?新八くんから見たら晋助の方が全然不審者なのよ?(確かに)

「ええ?!ちょ、待ってくださいよ!そっちが勝手にここに来たんでしょうよ!それで何で僕が斬り殺されなきゃダメなの?!アンタ新手の押し込み強盗か何かですか!」

普通にツッコミ入れつつ慌ててるので、あわあわしつつこっちに両手を翳して自分は物騒なモンじゃないアピールしてるので、そんな様子を見てたら晋助も変に殺気放ってる自分が馬鹿馬鹿しくなってね、構えを解くと。


そして一息吐いて、

「てめェ何者だ?……人間か?」

先程の疑問を再度呟く。そしたら新八くんは少し考えて、

「ええ。れっきとした人間ですよ僕は。ここには理由があって一人で住んでます」

答える。そして、

「それよりアンタこそ何者ですか?こんな夜更けに一人で森の中を彷徨ってるなんて、どこかの妖に食べられても文句は言えないですよ」
「フン。馬鹿馬鹿しい。俺がんなもんに喰われる筈があるか」
「あっ、そういうこと言う人ほどダメなんですって。それフラグですからね、そういう人ほど狸や狐に化かされてますからね。見た限りじゃ貴方はものすごく剣の腕は立つんでしょうけど、それに驕ってる感がありますもの」


新八くんも言うねえ(さっすが新八くん)
そしたら晋助も生意気なこの子にムカつくはムカつくんだけど、さりとてこの不思議な状況と不思議な少年のことは気になってるんですよ。何でこんなガキがここに一人で?とかね。どんな理由があって?とか。

「(それともコイツ、やっぱり人間じゃねェのか?妖の類いか)」

などとね。考えるんだけど、新八くんがもうくるりと踵を返して家の奥に引っ込んでいくからさ。そして廊下の中奥まで進んでからチラとこちらを振り返り、

「寄っていかないんですか?朝になるまでここで休んで行かれたらいいですよ。どのみち、貴方はここでこの家を見つけたんですから。もう朝まではこの森から出られないです」

すごく気になる事をさらりと言うからさ。それには晋助もピクリと片眉を釣り上げてね、

「あ?出られねえだと?……てめェやっぱり人間じゃねえな。この森の何を知ってる」

不躾に聞くけど、んなもんはここに住んでる新八くんだとて分かんないのですよ(え)

「さあ……僕はよく分かりません。この家と森から出たことはないですし。でもね、たまにこの家に迷い込んでこられる人はいるんです。ちょうど今の貴方のようにですね。そういう方は朝になるまで森からは出られないみたいです。だって何度この家から出立しても、皆してまたここに戻ってくるんですよ?そういう仕組みなんですかね」

のんびり言うので、晋助もいよいよ訳が分からなくなってね。でもふと思ったのですよ、これは俗に言う『迷い家』ってやつじゃねえかと。
森の奥や山奥でふと出会う妙な家のことですね。出会ったからって別に何かに取り憑かれるとか、そんなもんでもないんだけどさ。でもたしかにそこはこの世じゃない。この迷い家は隠り世(かくりよ)に通じてるっていうの?

現世とは切り離された空間というのですかね。だから迷い家で出された飲食物をいただいたら、現世には戻ってこられなくなっちゃうんだけどね。って、コレで迷い家の設定合ってるっけ?(調べないで書くという)


だから晋助も多少は薄気味悪く思いつつ、朝までどうもできねえなら仕方ねェ、とばかりに新八くんに続いて家に上がったんですよ。

「あ、やっぱり上がっていかれますか。それがいいですよ」
「……てめェ、何か妙なことを俺にしたら即座に斬るからな」
「いやだから、そんなんしませんってば。アンタ簡単に斬る斬る言うなよ。ほんと喧嘩っ早いってよく言われませんか」(←新八くん)


深い森の奥でこんな不思議な出会いを果たす高新なのですけどね。
てか新八くんが不可思議な存在の高新良くね?っていう萌えがあってさ。晋助の方が純然たる人間というかね。人間×人外萌え。

てかやっぱりプロローグがめっちゃ長えじゃん!全然端折れてねーじゃん、キリねえから次に続く!(え?)













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