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Puppy love(銀新)

こんな新八くんだったらどうなるのか検証
:その2




「新八ィ」
「ハイ。何ですか銀さん」
「今更ながらだけどよ、何で俺ってお前と付き合ってんだっけ?(真顔)」
「えええええ!?(ガタタッ)いやいや、本当に今更すぎでしょ!?何で今更そこの根本的意味を考えだしたの!?遅くないですか、僕ら相当長いこと付き合ってるよ!?せめて最初のうちに考えておけよ、そういう大事なことはよォォォォォォ!!」
「うっせーな最初とかもう忘れたよ。つーか考えるも何も、お前と俺だろ?別に改めて向き合う必要すら感じなかったわ。つまり付き合うっつーか、それすら特別に考えてなかったというか」
「いやどんだけ感覚だけで生きてんのアンタは!何それ、信じらんないよ!むしろどんだけ僕はアンタに軽んじられ続ければいいのォ!?」(←正論)
「落ち着けよぱっつぁん。何も俺だって感覚のみで生きてる訳じゃ……でもよくよく考えてみろよ、元からの俺らの関係を。元々が一緒に暮らしてるも同然じゃねーか、年がら年中一緒にいるしよ、現にお前のメシなんざとっくの昔に食い飽きてんだよ」
「じゃあこれからは銀さんが延々と食事当番しててくださいよ。それで解決しますから」
「それは無理です(即答)」
「ふざけんなやァァァァァァ!!何それ、僕のご飯をけなすくせに欠かさず要求してくるとかマジ何ィ!?」
「つーか違ェよ、つまりはアレだ、要は俺とお前で改めて付き合う意味って果たしてあったの?みたいな(真顔)」
「いやどこまで根本を攻めんのアンタはァァァァァァ!!もう嫌ですよ、自分の中の概念が覆り過ぎて僕もう吐きそうですよ!(そして泣きそう)」
「だって改めて考えてみてもよォ、いまいち疑問じゃね?べっつにお前、どう考えてみても、どう重箱の隅突き回してみても俺の好みのタイプって訳じゃねーもん」
「(カチン)……や、そんなん言うなら僕もですけどね。重箱の隅をどれだけくまなくチェックしても銀さんは僕のタイプじゃないです。僕の理想形、と言うか全僕の最大理想形はお通ちゃんでしかないんですけど」
「なあ?そうだろ普通に。俺もお前もホモじゃねーし。俺の好みのタイプって言えばアレだよ?何か尻軽っつーか、しのごの小難しい口説き文句なんざ並べずともなるべく気軽にさくっと、」
「ああハイハイ、分かりました。よく分かってます、銀さんのそういう俗物っぽさは(冷たい目)」
「ばっかお前、お前のそういうとこだよ。思春期特有の面倒臭え潔癖さっつーかよォ」
「そういうとこってどこだよ、てかいいんです思春期なんで!無駄にニマニマしてんのがほんとに腹立つ!」
「でもマジで思わね?何でこんなんなってんのか」
「まあ……そう言われると」
「じゃあ明日っから通常営業に戻れるかってなったら、お前どうする?」
「え?じゃあ明日から銀さんとイチャイチャできないという事ですか?」
「そう」
「んー……それは嫌ですね」
「え。即答かよオイ」
「だって僕、銀さんとキスしたりしたいです」
「へ!?……あ、ああ、そうね、へ〜。お前俺のことそんなに、へえぇ……ふ、ふーん……いや俺もアレだけど?うん、アレだけどホラ」
「いやアレって何だよ。全然分かりませんよ、てか何なのアンタは急にそわそわと……じゃあ逆に銀さんは平気なんですか?僕と何も、その、キスとか色々しなくても」
「……。……うっせお前、もう黙っとけっつーの!!何お前、マジ何!?新八の分際で、つか単なる新八のくせによォォォ!!」
「えええ何でそこで逆ギレするの!?てか僕こそアンタにキレていい事態だった筈だよね!?ちょっ、待っ……んぐぐ」



A.銀さんから話振ってきたのに、最後は何故か凄い勢いでチューしてきた(完全に銀さんの負けである)


A-Han!!_(攘夷高新+α)


*Many Classic Momentsについて色々*
*坂桂についても色々*



『Many Classic〜』がそろそろ巻きに入ってまいりましたね。あともうちょいだけ続くので、良ければ最後までお付き合いくださいませ。つーかあそこまで長々とネタを綴る事になるとは、書いてる私も始めた当初は全く思わなかった訳ですが(完全に見切り発車しております)、これもひとえに攘夷さん達が萌えるせいですよね。いや〜ネタ書いてても逐一攘夷の四人に萌えてたもん。攘夷ってやっぱりいいなあ!(晴れ晴れ)という気持ちですよ。

あとは……そうさな、今更過ぎるんだけども新八くんをアニメで見てると凄え落ち着きますね(急に話がアニ銀に飛ぶ)。落ち着く。もう何かすっげえ落ち着くんだもんよ、あの子。癒されるのは当然あるけど、なんかもうそれは当たり前として書くまでもないじゃんな。
んー、なんつーか、普通にすげえ好きだ。阪口さんボイスで動いてツッコミ入れてる新八くんは本当神かと。いやマジ今更なんだけど、すげー可愛いし面白いし、格好いいよね。護ると決めたら護り抜くんだよね、やると決めたら一直線だよね、ほんとかっけーよね、新八くんは。

新八くんに対するもんって、例えば晋助に持ってるような情熱やメラメラしたものとは全く違うところにあるんだけど(私はね)、何かその分ずっと穏やかに積み重なっていくというか、十年以上かけて自分の中で緩やかに堆積してきたもんがこの子にはハンパなくあるなァと最近ふと思いました。何だろう、だからマジ普通に凄え好き。

そんでアニ銀の彼を毎週つぶさに見ながら、

「(ああ……新八くんほんと好き……)」

とか心から思っている私は既にアラサーなんですが、何か問題でも?(いや別に何も言ってねえよ)
新八くんありがとう。ここまできたら多分もう一生涯好きな気がする、むしろ好きでいていいかな(いいよもうしつけーな)


つーかさ、でもさ、急にまた自分の攘夷ネタに戻るんだけどさ、晋助と銀さんは新八くんについて争い過ぎなんじゃないのかね?そろそろ仲良く三人で付き合うとかしろよ(無理だよ)
でも高新でたとえできてても、銀さんは新八くんを諦めなさそうじゃん?だから晋助もそこはもう観念して、新八くんと一生付き合うつもりなら銀さんとも生涯の付き合いになる事を覚悟した方が良いよ(そんな)

だって、ねえ……銀さんだよ?そんで銀新はどこでも銀新なんですよ。たとえ攘夷でも、高新でできてても銀新は絶対ェ崩せないじゃん。誰にも崩せんわ。銀新ってほら、どこの次元で出会っても自然と息をするように銀新になってしまうもんでしょ。自然と番うよ。あの人らはカップルっつーか、運命の片割れ同士というか、つまり銀新って番レベルなんですもの。つまり、新八くんの嫁入り道具って銀さんなんでしょ?(え?)

新八くんが晋助に嫁ぐ時、それは漏れなく銀さんも一緒という事ですよね?(つまり新郎に対する銀さんのイチャモンがハンパじゃなくなります)

そりゃ晋助も苦労が絶えないなあ。でも晋助だから、晋助の諦めの悪さと銀さんへの対抗心にはマックス信頼があるから、そして晋助の新八くんへの愛は絶対揺るがないと思うから、私ゃ別に心配してないんですよ。だってユカリはいつだって晋助の味方だよ!?

でもまあ、銀新がマジでくっ付いてたらね、それは晋助の付け入る隙なんざどこにもないんだけどね。

まあ、その……晋助が銀新の本気ラブを覆せる確率なんて一ミリもないっしょ?(おいィィィ味方どこ行ったッ)

仕方ないですよ、銀新は。だって銀新=銀魂じゃないのかね、銀新が出会って銀魂始まった訳で、銀新はもう銀魂のレジェンドなんで、私のレジェンドなんで、銀新に萌えなかったら今日の私なんざ居ねえし、アイツらは仕方ないじゃないですか。銀新がやはりとても好きなんですよ。

しかしだからこそ私も自分の話の中だけでもいい、どんなに極小で局地的でもいい、高新をややリードさせてあげたいんですよ。晋助を立ててあげようよ、あげたいよ、だって私個人として晋助はやっぱり好きキャラナンバーワンだからなあ。

何だろうアイツねえ。晋助ね。もう好きっつーか好きだけどそれだけじゃ到底言いきれなんだが、つまりは一周どころか自分の中で四、五周はしてるキャラだけども、晋助は絶ッッ………対に放っぽり出していけない。だって晋助を一人にしたらね、晋助は寂しくて死んじゃうんだよ?(うさぎさん)
晋助は過保護に走らざるを得ない。晋助カワイイ。

いや放っといたらアイツ……マジで酒で肝臓やられてある日ぽっくりと逝っちまいそうだもん(既に色恋を超えて健康面の心配を?)。なあオイ晋助。

だからこその新八くんですよ、もうお願いだから新八くんは晋助をよろしくお願いいたします!!(ズザァッ)スライディング土下座する。晋助を熨斗つけて新八くんにお任せする!いい迷惑だろうけど!(分かっている)

そんなこんななので、新八くんには銀さんと晋助を引き続きまとめて熨斗つけて面倒見てもらう所存ですよ。あの面倒くさい野郎どもを二人まとめてお婿さんにしてください、新八くんは。

いや新八くんに、てかまだ十六歳の子に私はどんだけの難題を課しているのか?(ごめんな)

だって新八くんしかいねーよ!?晋助と銀さんというド級の面倒臭さを有する野郎どもの間にセットして、二人まとめてラブの面倒見て、それでも正気を保ってられる奇跡の人間なんてさあ(そういうレベルか)
これ普通の女の子とかだったら絶対ェノイローゼになるもんね、断言できるよ。いや……普通に考えてみ?どう考えても嫌でしょ?晋助と銀さんとか(真顔で)

でも新八くんだからね、どんだけ二人の間に挾まれようとも新八くんらしさを保ちつつ、お玉やフライ返しを駆使してアイツらをチャキチャキと捌いて、時に鋭くツッコミ入れてね、アイツらの間でもうまぁく立ち回れるのだろうと思いますよ。ほんっと新八くんに感謝した方が良いよね、晋助と銀さんは。

アイツらは絶対ェしないだろうけど(だからお前らはよォォォ)



あ、でも銀さんの持ってる新八くんへのラブにはいつもわりとびっくりしますよね(どうした唐突に)。だってまた自分の攘夷ネタの話になるけど、新八くんの意識戻らなかったら銀さんは新八くんとあのまま生涯ランデブーを決め込むつもりだったのだろう?新八くんがどうであろうとも、銀さんはずっと変わらず新八くんの側にいたいのだね。覚悟持ってるんだね。一度護ろうと思ったら、銀さんもそれを護り抜くんだもんね。
銀さんのそういうことマジかっけえな。ハンパない。

銀さんのそういうとこがね、本当にすごいなあって思いますよ。新八くんへの愛が底知れない。自分で書いてて人ごとのように言うが、だって他人様の生み出したキャラなので客観的にもなるわな。
そしてね、ああそりゃあ晋助はやっぱり銀さんには勝てんわ……(ずぅぅぅん)となります(ヘコんでんじゃねえよ)

でもでも!?新八くんはほら、曲がりなりにも晋助を好きになってくれたみたいだしィ!?いやまあ、晋助がずっとずっと押してきたから、新八くんの優しさでほだされてくれただけだとしても、始まりは何であれど晋助だってラブに持っていけたんだから!ねっ!?

……ね?

ええと、その……私は晋助の味方です(だからもう胡散くせーよお前)


あと!前回更新した最後あたりで微妙〜に坂桂が見え隠れした気がするんだけど、アレ気のせいじゃないです。何か私ふと書いてて思ったんですけど、坂桂好きかも……(トゥンク)ってなった。
攘夷時代に酒の勢いで二、三回身体の関係持った、みたいなのどうだろうか?坂桂。いやそりゃあ桂さんももっさんも、今は陸奥さんや幾松さんというステディが居るのは分かるんだけど、いやうっすらね、うっすら公式ステディが居るとしても、でもでも昔だったら……攘夷の頃ならありなんじゃなかろうか。むしろ今でも坂桂はたまにあるんじゃないだろうか(続いてたの?!)

けどさ〜、もし万が一だよ?万が一、もっさんと桂さんでデキててみなよ。晋助と銀さんがすげー怒りそうじゃん。もっさんに桂さん取られてすげー怒ってそうじゃん、そこはホラ、新八くんへの恋慕とはまた別の次元というか。
何だろう、桂さんはやっぱり晋助と銀さんには特別な人間だからさ。幼馴染だし。そんで桂さんには全く色恋は関係ないと二人して思ってた節があるから、つまりは清廉でピュアなイメージ持っちゃってるから、そんな桂さんが万が一でももっさんとラブになっちゃったら二人はマジ焦ると思うのだよ。自分たちはさんざっぱら新八くんを取り合ってきたというのに、桂さんのラブになるとマジ焦る奴らという。

やっぱり何もないと思ってた身内のラブにはとりわけ焦るんだろうね、晋助も銀さんも頭の中身は中二だしね(男子ィ)

そう考えると微妙〜に面白いんだけど、その辺追求してると益々ややこしくなりそうなので、攘夷高新は銀さん交えての三角関係くらいで留めておきます。自分の頭の許容量の問題もあるしな。

いやでもやっぱり微妙〜におもしろいよな(ぶつぶつ)




Many Classic Moments54

*まとめ*




 「……んあ?え?……あれ?僕……何でこんなとこに居るんですか?つーか銀さん?桂さんに坂本さん……何でアンタら四人とも雁首そろえて……」
 
 まず横手にいる銀時に目を留め、桂を見て、視線は坂本を流れ……そして最後は目の前の高杉にたどり着く。

「って、た、高杉さんんんんん!?!?え、今までのって夢じゃなかったのォ!?」

 瞬間、ボンっと爆発でもしたような勢いで新八の顔が盛大に赤らんだ。大慌てでズザザッと後退り……たかったようだが、あいにくと新八のそんな勝手を許すような高杉ではない。
 従って、新八はまだ延々と高杉に抱き締められているだけだった。

「……フン。何だテメェ、俺を夢幻の類いとでも思ってやがったのか。あいも変わらず腑抜けたツラしやがって」

高杉は息を吐く。とりあえずは何の意識混濁も見せない新八に安心し(いやある意味では一部大いに混濁していたが)、いつものように皮肉を吹く。
 
「うん……何か凄いリアリティーのある夢だなって。でもマジで皆してどうしたんですか?何かありました?」

 目覚めたばかりで何が何やら訳も分からないのか、新八は絆創膏の貼られた頬をごしっと擦った。そして擦ってから、はたとその感覚に気付いたらしい。大慌てで自分の身体を検分し始める。包帯や絆創膏だらけの、いかにもな怪我人のそれである自分の手足を。

「てか僕の身体、怪我ばっかり!え、どうしてです!?高杉さんこそ斬られて、怪我してたんじゃ……」
「ああ、俺の方が純粋に傷は深えが……数ではテメェの方が怪我が多い。擦り傷だがな」

 そこに気付いた途端に、新八は高杉の左腕から手を離す。気付けばずっとそこに力を込めて手をかけていたので、高杉には負担のあった事だろう。だけど特に何も言われなかったことは、新八の頬をますます赤くさせた。
 
「てか新八お前、高杉のこと庇って崖から落ちたんだよ。そんで三日間も気ィ失ってたんだぞ?」

 真顔で新八を覗き込むのは銀時だ。しかし新八には訳も分からない。分からないにも程があるのだ、まさか自分が三日間も気を失っていたなんて。

「は?!僕が?!」
「そうだよ。そんでよォ、お前が一向に目ェ覚まさねえから……俺たちはさっきまで軽く通夜モードだったわ。軽く葬式会場に電話するとこだったわ」
「ええええ?!お通夜!?勝手に僕を殺すなよ、しかも軽いノリで殺してんじゃねーよ!」

銀時の言い草にだって、いつものようにツッコむ。されどようやくもう一つの事柄に気付いた瞬間の新八は、本当に息が止まるかと思ったのだ。


「てか……なら、さっき僕が喋ってた事……皆さんは聞いてたって事ですか?高杉さんも?」

 夢だ夢だとばかり思っていたのに、新八は先程までの記憶がちゃんとある。夢だと思っていたからこそ高杉に告白してしまったことも覚えている。好きだ何だと、そりゃあもう熱烈に。
 新八だとて夢見る十代なのだ。あんなロマンの欠片もない告白を自分がするなんて、その、当の自分がまず受け入れられない。

 さあっと血の気が引く思いで目の前の高杉を見れば、不機嫌そうにプイッと頬を背けられた。その背けられた頬の僅かに赤いのを見て……再び大いなる赤面地獄に陥るのは新八でしかないのだ。哀れ十代の末路やここに、である。

「うわあァァァァァァ!!い、いっそ殺せよォォォ!!無理!マジ無理ィィィィ!!」

 ジタバタと暴れ回る新八の肩を押し戻し、布団にぎゅむぎゅむと押し付けんばかりに力を入れるのは桂である。

「まあいい。とりあえずは新八くんはまた横になるんだ。急ぎ医者に診せることにしよう。後遺症でもあったらいけないからな。そして可能なら、今すぐ食事を摂ってくれ。新八くんは三日間も何も口にしていない」

 そんなお母さん的な助言には、さすがの多感な十代だとて素直に頷くのみだった。こっくりと頷いて、その途端にきゅうぅと鳴いた己の腹に手を這わせる。

「あ……ハイ。そう思ったら何かお腹空いてきました。盛大に」

 まるで重病人かのように桂が恭しく掛け布団をかけてくるのを眺めつつ、新八はこそっと笑う。意識した途端に腹が減るだなんて、健康体もいいところである。
 そんな少年を見ていたのは、もういつもの表情に戻った銀時だった。

「ほんっとさー……新八くんよォ。てめえ三日間も昏睡状態だったくせによ。今にも病院に担ぎ込まれそうになってたんだぞ、新八は。それを、いきなり起きたと思ったら高杉に延々と愛の告白ってか?」

 再び寝そべった新八の額に手を置き、優しく撫でる。でもその言葉に含まれたからかいには、全力で反応してしまうのがガラスの十代なのだ。

「や、止めろっつーの!僕は今物凄い後悔してるんですからね!十代の頃の黒歴史って案外一生心に残ってるんですからね!そこはもう放っといてくださいよ!」
「いや知らねーよ、てめえの黒歴史誕生の経緯とかよォ。どうでもいいわ。でも後悔っつーのは、高杉の意見を聞いてからでもいんじゃね?」

 赤面で言い返した新八を笑い、銀時が高杉をくいと指差す。新八はまだ訳も分からぬまま、しかし高杉とは決して今は目を合わせられなかった。
 自分がどうやら奇跡的に生還を果たし、こうして皆に心配をかけたことは分かるが、それでも恥ずかしいものは恥ずかしかった。

「え?あ……う、うん」
「そんで新八は……てめえをすげー心配してた俺に対するご褒美、てか詫びの品もちょーだい」

 新八がおずおず言うのと同時に、銀時はいつもの調子でニッと笑う。でも『詫びの品』なんて改めて言われたところで。


「えええ?どんなですか」
「んー。こんな」

 クエスチョンマークを盛大に浮かべた新八の唇に、身を屈めた銀時の唇がちょんっと重なったのはその一瞬後のこと。

「ぎ、銀さんんんんんん!?」
「テメェ……何してやがる銀時」

 かああっと頬を染める新八と、ダンッと素早く片膝をついて凄む高杉を交互に見て、銀時は唇に人差し指を軽く置く。別にィ、なんていかにも人を食ったような笑みで。


「いや何って。キスだろキス。チューしただけ」
「だけじゃねェ、それだけの問題じゃねえ。テメェもう新八に手ェ出すな。触るな近づくな、目も見るな」

 ガルルルと唸る高杉をいなすように、銀時は淡々と喋る。そりゃあもういつものように、人の恋人にチューをかました事なんてまったく悪びれもなく。

「いいじゃねーか、自分はもっと凄えことしてるくせに」
「俺ァいいんだよ」
「良くねーよ。俺にもさせろよ」
「嫌に決まってんだろうが」
「いいやする、むしろ今後は舌を入れていく」
「ふざけんな。誰が許すか」
「誰がって、べっつにお前みてーなクソチビの許しとか銀さんには必要ねーし。俺と新八だぞてめえ、チビの知らねえ既成事実なんざこちとら山のようにあんだよ」
「……。オイ……とりあえず表出ろやクソ銀時」
「あん?なにその目、やんのかよコラ。上等だよプルトップが。今日こそベッコベコにへこましてやっからな」

「いや待って、何でアンタ達はいつも僕を無視して当の僕の利権を延々と争うんですか。とりあえずアンタ達は僕に人権を返せよ、そして即座に喧嘩しだすのをいい加減止めろよ!」

 物凄いような目で銀時を睨む高杉と、それとは反対に何となく楽しげな銀時。
 そうやって対峙する両者にツッコむ新八の声だってもう物慣れたそれだ。まったくもー、なんて嘆息で締めくくるのもいつもと同じ事。そんな三角関係の構図は、こうなった今もまったくもって変わらないのだ。


 そして三人がそうなら、それは三人を見守る桂と坂本だとてお馴染みのテンションである。


「アッハッハ何この三角関係!野郎ばかりで痴情のもつれもいいとこじゃあ!銀時も引かんからのう、こりゃ今後もまっこともつれるばかりよ」
「全くだな……これほどにこの三人が爛れているとはな。今後は俺がもっと厳しく、高杉と銀時を公平にジャッジメントしていく必要がある。重責だ」
「せっかくじゃ、わしらもデキてみるっちゅうんはいかがなもんぜよ。ほらほら、ヅラもチューくらいグイッといっとおせ」
「巫山戯るな坂本。グイッといける筈がないだろう貴様、何を一気飲みのように軽いテンションで俺に勧めている。俺にも選ぶ権利はあるぞ」
「ったく、何ちゅう可愛げがないんじゃ。もうちっくとわしに甘くなってもええんじゃないかのう、おまんは」


 一部はお馴染みで、また一部はどうにも馴染みのない言い合いを交わす五人の若人たちを、朝陽が優しく照らし出している(いや優しく照らされてんのにお前らときたら)。
 

キミにコイしてニジュウネン (高新高)

*前々回の記事から引き続き、攘夷な高新高リバップルの萌えを検証いたします*
*リバ駄目な方は読まない方が良い*




……ハイッ!!(手をパンパンと鳴らしつつ)
やっぱりどうして攘夷新高は萌えるので、今度はそんな新高の姫初め、高新からの新高にどうして二人は至ったのか?という部分を、つまりは新八くんの童貞卒業の記念すべき瞬間をつぶさに検証してみたいと思いまッす!つーか書いてるこっちが既にテンション高め!だって何たって新八くんの、あの新八くんの脱童貞記念ですよ?
少年誌から青年誌からBLから少女漫画から数多の漫画を読み、そこに出てきた数多の童貞達をことごとく愛してきた私ですが、そんな私が一番愛する童貞の中の童貞、キングオブ童貞、そう銀魂の童貞神こと新八くんの、その神を神たらしめてる冠をついに脱ぐ時が来たのだよ?(そこまで言うなよ)
そんな奇跡の瞬間をついに検証する日が来ただなんて、そりゃあもう不純な人間代表である私がヨダレを垂らさずにいられようか!いられないがな!(カッ)


そうだねえ、新八くんがついに童貞を捨てるのは新八くんが十八歳の時なんですね。そうそう、かつて晋助が童貞を捨てた十八の時分と全く一緒ですよ。そんで新八くんが十八歳ということは、晋助は二十歳か。晋助は依然として中二は中二だけども幾分かは世の中にこなれて来て、そして攘夷戦争のゴタゴタも終わって、朧さんとのいざこざがあって左目の光を失ってからもしばらく経ち……状況としてはそんな時分でしょうかね、てかそんな混乱の最中にこいつらはナニやってんの?(たしかに)

まあこの頃の新八くんはね、きっと熱心に頼み込んでいるのだと思うよ。

「お願いです、高杉さん!高杉さんを抱かせてくださいィィィィィィ!!(ズザァッ)」

もう平身低頭の勢いで、つか土下座して地面に額を擦り付けんばかりにして晋助に真摯に頼み込んでおります。とても男、つか漢らしい。
でも晋助は絶対ェ最初は断ってるなあ(晋助っ)。気怠げに脚を組んで煙管をふかしながら、そうやって土下座で頼む新八くんをつと見て、

「あ?……無理に決まってんだろうが、冗談じゃねェ。女の真似事なんざ誰がやるか(ペッ)」

って、晋助マジひどくね?何コイツ、自分は問答無用で新八くんに手ェ出してたくせにね、新八くんが真っ向から素直にお願いしてきても素気無く断るとか!(本当に)

でも新八くんは熱血漢ですからね、そんな晋助の一回二回の断りでは諦めなんだ。

「ええええ何でっスか!?だって高杉さん、僕もう十八歳になりましたよ!もう子供じゃないんですよ!」

ガバァッと頭を上げて切々と晋助に訴える。その頭にはワンコのお耳が、お尻にはワンコ尻尾が透けて見えるほどには必死な童貞新八くんである。しかし晋助は譲らない。

「あん?たかが十八だろうが。何が変わった訳でもあるめェ。それがどうした」

ケッとばかりにすぱすぱ煙管ふかしながら、新八くんの意見を一蹴する。けど新八くんだってめげない。負けない。

「だって……だって、高杉さんが僕と、その、僕と初めてした時って十八歳の時だったじゃないですか。それなら僕も、あの、そろそろ童貞を卒業したいなァなんて」

チラチラと上目で晋助を見ながら、モゴモゴと、だけど自分の主張は織り交ぜて、新八くんは食いついていく。
凄いですね、この二年間で新八くんも晋助に大分物申すようになってますね。てか晋助に慣れてきたというか。

そんな未成年の主張を聞き届けた晋助はと言うと、これはどうしたことか、組んでいた脚をおもむろにほどくなり、どっかり座り直した。そのまま深く煙管を吸い込み、ふう……と細く長く煙を吐き出す。
ドキドキしながら待つ新八くんを見据えるのは、翡翠を沈めたような不思議な色を放つその隻眼。


「俺は俺、テメェはテメェだろうが。同じ土俵に上がれると思うな(真顔)」



──って待って、何コイツぅぅぅぅ!!??マジでふざけんなよ!
えええ思いっきり溜めといてそれって何!?視線から煙管からどんだけ思わせぶり!?つーかどんだけ下になるのを嫌がってんの、マジ腹立つんだけどォ!?子供かよ、てめえ中二かよ!(そうです)

そしたら新八くんも大いに憤るに違いないよね。そんなふざけたこと抜かされたらね。

「おいィィィふざけんな!!アンタが十八の頃に僕にしてた所業を忘れたとは言わせませんよ!?僕がどれだけ嫌がっても止めてくれなかったし、や、野外とか全然あったじゃないですか!つーか僕らの初めてって、初めから青姦ですよ!?ありえないでしょ!(ガタタッ)」

マジこめかみに青筋立てて晋助を罵るという。だってそうだもんな、これは新八くんは間違ってないっしょ。全然間違ってないよ、だって攘夷高新の初めてはその辺の雑木林の中ですよ。しかも立ちバックという(キャッもう晋助最低)

それには晋助もさすがにバツが悪くなって黙り込み……でも数秒後には思い直してポツリと呟く。

「フン。最終的にはテメェも悦んでたじゃねえか。いつだって場所がどうだの誰か来るだのとギャーギャー言ってたくせに、俺を嫌がってた事は一度もねェだろうが」
「いや……まあ……それはそうっスけど(ポッ)」
「ならいいだろうが。テメェが下で俺が上。問題あるめェ」

なるほど、これは惚れた弱みですねえ。新八くんは惚れた弱みを晋助に握られているので、しかも素直な子なので思わず頬を染めて頷いてますけどね(扱いやすい子)。
しかし問答無用で晋助に話を切り上げられそうになるもんだから(晋助ったら)、それには新八くんだって大いに慌てたんだ。

「って、そうじゃなくてェェェ!!ずるいですよ高杉さんっ!僕を丸め込もうとしないでくださいよ、銀さんじゃあるまいし!」
「……銀時が何でここで出てくんだテメェは(イラァ)」
「いやどうでもいいの、単なる言葉のアヤですよ!」
「単なる言葉のアヤで銀時の名前をいの一番に出すテメェの感性を疑う……(じっとり)」
「いやもうしつけーよアンタはァァァ!!何で銀さんの名前出すだけで逐一そんななるの!どんだけ粘着質、どんだけ引き摺るの、てかそろそろ大人になれよ二十歳ィ!」(←無理です)


高新が仲良しすぎて困るほどボケツッコミが盛んですね。まあこの高新はガキの頃からの付き合いですし、恋仲になってから更に二年も付き合ってりゃね。
でもまだまだ銀さんにヤキモチ妬いてる晋助にツッコミ果てていた新八くんだけども、ここでようやく物事の本質に気がついた。延々とボケツッコミしてる場合じゃないと悟った。

だから、ゴホンと咳払いをして。

「僕だって……高杉さんを抱きたい。男として高杉さんを愛したいんです。高杉さんが好きだから」

真っ直ぐな若人の目を眼鏡越しに熱く向けられ、それには晋助も不本意ながらキュンとしたよ!そりゃキュンとするでしょ、やっぱり素直な男の子は格好いいもの。そんでも、晋助には疑問なんだけどね。

「テメェ……俺に抱かれんのがそんなに嫌なのか」

珍しくも視線外した晋助にぶっきらぼうに問われて、驚くのは新八くんですよ。

「ええっ!?嫌なはずないじゃないですか。高杉さんに抱かれるのは……その、気持ちいいし……むしろ何でしょう、あの、好きというか」

頬を仄かに染めてもじもじ語る新八くんに、思わずムラっとした晋助(総督っ)

「なら別にいいじゃねェか」

そして新八くんの前にやおら座ると、新八くんの足首をよいしょっとばかりに持ち上げようとする。そのまま新八くんの脚の間にずいっと割り入る(だからオイ総督)

「いや待って、何も良くねーよ!?何をムラっとしてんのアンタは、僕が言ってんのはそういうことじゃねーよ!?つーかもう流れるようにこの体勢に持ち込むアンタは何だよ!」(←正論)

新八くんは大いに憤っております、なんなら晋助を足蹴にする勢いです、当たり前です(ハイ)。でも晋助はまだよく新八くんの気持ちが分かってないからねえ。

「あ?だからテメェ……俺に抱かれんのが嫌でもねえ、なのに俺を組み敷きてェとはどういう了見だ」

頭にクエスチョンマークを浮かべつつ尋ねるよね。分かってない晋助は可愛いけども表情は憮然とはしてるよね、晋助だから(そうだね)。
そしたら新八くんは迷うけど、大いに迷うけど、晋助の頭をよしよししながら言うの。

「僕は高杉さんが好きですよ。好きな人の全てが欲しいと思うのは当然の気持ちじゃないですか」

そして少し言い澱んで、

「それに僕……アンタがさせてくれなきゃ一生童貞なんですよね?それって何と言うか、男子として生まれてきてどうなのかな、みたいな(モゴモゴ)」

それでも素直な自分の気持ちを告げる。

でもでも、だよねえ!?新八くんは間違ってないのですよ、新八くんの気持ちが凄くよく分かる。好きな人を抱きたいと思うのは男子としては至極当然な気持ちじゃないのかね、現に晋助なんてもうムラっときたら新八くんの足首持ち上げるレベルに達してるというのに(本当だな)

それには晋助も、ふむ、と顎に指を掛けて。

「まあ……確かにな。一理ある。テメェも男だ」
「そうですよ。僕だって男、いや侍ですよ。高杉さんと同じです(きっぱり)」
「…………」

よしよしよし!ここまできたら後一歩!晋助は侍とか男とか、そんなキーワードに凄え弱そうだから!(そんな)
一番弱いキーワードは先生だけど!(だから単純かよ晋助)


「それに高杉さん、あの、もしもですよ?万が一の話ですけど、もし僕が高杉さん以外の人を抱いて、童貞を卒業したら……」
「ふざけんな。んな事誰が許すか」

そして新八くんがおずおずと新八くんが漏らした一言に、晋助はくわっとばかりに右目を見開く。だって晋助が許す筈ないじゃんな、新八くんがどっかの女を抱いてくるとかさあ。
新八くんはイケメンだから、それも全く可能だと思うんだけどね。むしろモテると思うよ。だって全てのパーツが並以上に整ってるってことは、それはもう並以上のイケメンってことですよ。その上であの優しさと清潔感、素直さと真っ直ぐさ、あまつさえ眼鏡でしょ?最高だろうが。
付き合いたくない女なんざどこにも居ねえと思いますよね、普通に。


だからね、そこまで言われたら晋助ももう渋々腹をくくるって!くくるしかないでしょ、やっぱり新八くんを愛してますもん。

そしたら晋助も腹をくくる時ァそりゃ男だからね、決めたらもう覆さないから。抱かれようと決めたらすっぱり抱かれると思うよ、つか新高は二人してイケメンカップルなのですね。

長いため息を吐いて、晋助だって渋々頷くんですよ。それから目の前にある新八くんの着物の合わせをぐわしと掴み、驚く新八くんも何のその、挑発的なキスをチュッと一回仕掛けてね。


「……テメェの手管がどんなもんか見ものだな」

はっ、と焚きつけるように笑うと。その唇はいかにも愉快なことを思い付いた時のように、実に愉しげに弧を描いている。切れ長の翠の隻眼は蠱惑的に新八くんを見下ろす。大きくはだけられた着物の胸元からは、いやらし系の香の匂いがふんわり香って。

そんな晋助を見たら、そして分かりづらくもあるが曲がりなりにも晋助の『OK』を聞いたらね、

新八くんは喜びにわなわなと震えて、もう卒倒せんばかりになり、

「た、た、高杉さんんんんんん!!愛してますっ!大好き!」

晋助にひしとしがみつき、

「今すぐ布団敷きますからね!逃げないでね、高杉さん!」

溢れんばかりの愛を注ぎながらも、晋助の気持ちが覆らないように実に必死になるよ?(新八くん)

なんたって晋助は気分屋な女王様なので、新八くんもその気がコロッと変わるのが心配なのです。だってつい先ほどまでは下になるのをあれほど嫌がってた女王様なので。

でも晋助だってそこは男らしく、

「あん?俺が逃げるだと?誰にもの言ってやがる小僧。俺を見縊んじゃねェ」

くらいで、ニヤリと片頬で笑むくらいで、新八くんの熱い抱擁をしかと受け止めてるだけだけどね!受けなのに実に悪い顔です。悪い男受け(萌え過ぎる)。

そんな晋助に新八くんは夢中になります、

『高杉さん最高ォォォォォォ!!さすが僕の花!』

心の中でイヤッフゥーと雄叫びを上げています、むしろ心の中だけでなく口にも出してます(若さ)



そして転げるようにせっせとお布団を敷き……って、ここまでのプロローグが長くね?(今気付く)
えええ長いよね、何でサクッと進められないのか謎だよね。エロにも入ってねーし!?

つーことで、どっかに続けられるなら続きます。新八くん脱童貞のその瞬間をつぶさに!





青春の瞬き(攘夷高新)


*大変だ!(攘夷)晋助が一部記憶喪失になっちゃった!*
*しかもその“一部”ってどうやら新八くん関連のことらしい!*




お前どんだけ攘夷達に萌えてんの?って話なんですけど、とある攘夷晋助が一部分の記憶、てか新八くんの記憶だけをごっそりすっぽりと喪失してしまったらどうなるか……という萌えを検証します。そうさな、晋助はある日の戦の最中で頭を強打し、昏倒から目覚めてみれば新八くんの記憶だけがごっそり無かったということにしよう。そうしよう(ご都合展開)
この場合の攘夷高新は既にできてる設定です。


そしたら晋助は起き上がったお布団の傍らに涙ぐんで座ってる新八くんをふと見て、翠のお目目をパチクリと瞬かせ、

「っ……高杉さん!!良かった!!本当に良かったです、高杉さんの意識が戻って!」

今にも泣き出さんばかりに喜ぶ新八くんを改めてじっくりと見て、

「テメェ誰だ」

至極あっさりと言うことでしょうな(晋助)。そしてそれに愕然とする新八くん。

「……はっ!?だ、誰って僕ですよ。高杉さん、僕ですよ!?どういうことですか、もしかして記憶喪失……」

お顔を真っ青にして布団に詰め寄り、晋助ににじり寄るも、思わず伸ばしかけたお手手をバシッとすげなく振り払われ、新八くんはひどくびっくりした。なんたって新八くんを邪険にした晋助の目つきがとんでもなく冷えてたからです。まさに得体の知れない他人を見る目。
新八くんが晋助から決して寄越されたことのなかった、その眼差し。いつだって意地悪で高飛車で傲慢で驕慢で、でもいつだって晋助の新八くんを見る目にはある種の熱があった。想いがこもってた。
今みたいに冷たく見られる事なんて決してなかった。


「あ?だから誰なんだテメェは……埒があかねえ。ヅラか銀時は居ねえのか」

やおら晋助は訝しげにキョロキョロとする。そうなのです、晋助は桂さんや銀さんのことは全然覚えてるの!しかも、

「ヅラや銀時でなくてもいい、辰馬のバカならその辺に居んだろうが。連れてこい」

もっさんの事まで覚えてるのに!なのに新八くんのことは綺麗さっぱり忘れてしまってるのですよ(萌え)

そしたら新八くんも混乱しつつ、ようやく状況が飲み込めてきて、

「高杉さん。ねえ、僕のこと……本当に覚えてないんですか?」

震える声で再度問いかけるも、

「テメェ……いい加減にしやがれ。俺ァお前なんざ知らねえ。鬼兵隊に居るツラでもねえしな」

マジで冷たく言う晋助ですよ。呆れ果てたような、更には見下げ果てたような眼差しで新八くんを見てるだけだという。
新八くんはそんな晋助を見て、晋助の言葉を聞いて、冷水を浴びせかけられたように愕然としますけども、

「(嘘でしょ高杉さん!僕のこと思い出せないんですか、違うでしょ、だってアンタ僕のことを好きだって……僕とアンタは、あんなに、)」

などと、自分たちは既に好き合っている二人だという固定概念故にますます今の状況に傷付くんだけど、
何とか気持ちを立て直して、

「……分かりました。今、銀さんと桂さんを呼んできます。待ってて下さい」

唇を震わせながら気丈に告げる新八くん(萌え)。

そしたら晋助の意識が戻ったとの朗報に駆けつけてきた桂さん、銀さんも共にびっくりするだろうねえ。何しろ晋助がこの有様だしさ。その憮然とした様子も尊大な態度も怪我する前と何もかも変わっちゃいないが、何せ晋助は新八くんの事だけ忘れてるからね。

桂さんとかマジでビックリして、

「高杉……お前正気か?お前が新八くんのことを覚えてないのか?何ならもう一度、俺が鈍器でお前の頭を殴っていいか?」(←だめだろ)

思わず漬物石を両手で抱えて、晋助の頭を狙っていきますよ(どんな幼馴染か)。そして銀さんに止められているという。

「ちょ、オイオイやめろってヅラ。てか俺ら戦の最中っつー設定なのに、その漬物石はどこにあったの?つーかそれで殴ったらマジで今度こそ高杉も死ぬから、いよいよやべえから」

銀さんも必死になって桂さんを止めるよね(ほんとに必死なのかよ)。でもどう見ても新八くんのことを覚えてない晋助を見て、確認はしてみる。くるっと晋助に向き直り、

「なあ。高杉お前さ、マジで新八のこと覚えてねーの?」
「しつけえんだよ。俺ァこんなガキなんざ知らねえっつってんだろうが。殺すぞ銀時(イライラ)」
「えええええ、いやいやいや……マジか。だっておま、あんだけさァ。あんだけ新八と、新八のこと……そんで俺とも何やかんやあったじゃねーか。あの頃の俺らなんて凄えブチ切れててお互い目も合わせなかったのによ、新八居なかったら確実殺しあってたのに、なのに……お前それ、」

モゴモゴと実に語りにくそうに、でも大事なことをぽつぽつと銀さんは語る。でも途中でやはり口ごもる銀さん。
そんな銀さんを見て、さすがの晋助も頭にクエスチョンマークを浮かべた。

「俺とお前が?このガキのことで?……俺とこのメガネに何かあったのか。教えろヅラ」

ここで銀さんじゃ埒があかないとばかりに桂さんに問うも、

「何かあったどころじゃないぞ高杉。新八くんに関して、お前はよっぽど先生に顔向けできない所業を積み重ねているんだぞ。その、なんだ、まあ色々と(モゴモゴ)」

桂さんも桂さんで言いにくそうにしてますので、晋助と新八くんが皆に内緒で色々あった事は既にバレてるんだけど言いにくい事は言いにくいので(完全に身内のゴタゴタですので)、
だけれども晋助の前で迂闊に『先生』と口に出してみようものなら、晋助なんて咄嗟に目の色を変えるよ?この頃の晋助の目の色を変えるのは簡単ですよ、先生の事を口に出せばいいのですよ(単純かよ晋助)

「あ?よりによって俺が、この俺が先生に顔向けできねえ?しかもこんな訳の分かんねえガキの事でだと?……ふざけんじゃねえ、誰がそんな事するか」

よりによって自分が師の教えに背くなんて、晋助には到底信じられない。だから真っ直ぐな目で鋭く桂さんを睨みつけております(知らないって凄い)。

そしたら銀さんもあーあって顔をして、

「……あーもういいよ。もうめんどくせーよ、そのうち自然に思い出すんじゃねーの?放っとこうぜ」

はやくも放置を決め込む(本当に早え)。でも悄然とする新八くんの肩を抱き、

「まあそう落ち込むなよ新八。アイツも馬鹿じゃねーよ、いや馬鹿だけど。すげー馬鹿だったけど、今回のことでそれが証明されたけど、でもアイツ高杉だぞ?お前のことは絶対ェそのうち思い出すって」(←慰めてるのか否か)
「だって……でも、」
「じゃあお前がアイツの身の回りの世話してやればいいじゃん。何か思い出すかもしんねーし」

助け舟出してそうですよね。あくまでも銀さんにとっての晋助はライバルではあるんだけど、新八くんを獲った憎い野郎ではあるんだけども、悄然とする新八くんがあまりにもかわいそうで思わず仏心を出すという。
銀さんはそういう男である(誰にも知られないヒーロー)


んー、そしたら奇妙な感じに高新生活が始まりそう。何が奇妙ってアレ、今の晋助は新八くんの事を一切どうとも思ってないからね。今まではあれほどお前は俺のもんだの、テメェどこにも行くなだの、お前は絶対ェ銀時にやらねェだのと熱心に口説いてたくせに、口説くだけじゃなくしつっこく手ェ出してたくせに、今じゃすっかりとそれも忘れ、新八くんの事なんて単なるモブ扱いですよ(ほんとヒドイ)
でも新八くんも敢えてそれに甘んじているというか、すごく切ないし苦しいんだけど、毎日せっせと欠かさず晋助の包帯とか取り替えに来そうなんだよね。


「テメェまた来たのか。もうテメェの世話なんざ要らねえんだよ」

なぁんて晋助に素気無く言われても、

「ダメですよ!包帯巻きっぱなしにしてたら治るもんも治らなくなりますよ、患部は清潔にしてなきゃ。さっ早く見せてください」

辛い気持ちを隠して晋助の世話をキリキリ焼くのである。本当に健気な子なんですよね、こうなった時の新八くんはね。
何かどんだけ素気無くされても晋助の着替えとか手伝ってそうだもん。そんで晋助の裸体に久々に肉薄して勝手にドギマギとしてそうだものな。

そしたら晋助も微妙〜に、本当に微妙〜に新八くんに心を開き、

「(おかしなガキではあるが……悪くはねェ。こいつの飯はまあまあ食えるしな)」

などという上から目線な感想を抱く。てか『まあまあ食える』じゃないでしょ、新八くんのメシは絶対美味しいでしょ?!何言ってんのマジで、だって晋助は気に入らなきゃ絶対食べないでしょうよ、それを毎回完食してるんだから確実に好きな味なんだよ。記憶の上では忘れてても味覚は、てか本能の部分では新八くんをちゃんと覚えてて、だから新八くんの作ったメシをめっちゃ美味しく感じてるのにねえ。

ったく、何言ってんだコイツは(全く)


高新の奇妙な生活はそんな瞬間の積み重ねですよね。新八くんの甲斐甲斐しいお世話の甲斐もあって、晋助の怪我はすぐ良くなっていきそうだけど、でも肝心の記憶はあまり戻らなそう。しかし以前のような警戒モードも新八くんに対して抱かなくなってきた晋助はと言いますと、とりあえず新八くんに触れてみると思う。

ある日の晋助はふと思い立ち、目の前を横切る新八くんの手首を唐突にはっしと取ってみた。でも最初からそうしようと思ってた訳でもなく、ましてや新八くんに触りたかった訳でもなんでもなく、本当に咄嗟にしてしまった事だった。本能がそうした。

「っ……た、高杉さん?」

新八くんはびっくりしてお目目を見開くけど、晋助はまだ手を引っ込めなかった。新八くんの手首をさらに引き寄せた。引き寄せて引き寄せて、間近に見た新八くんの瞳に何かを思い出しそうになり、でもそれが何かは分からなくて、そんな自分にイライラしてたまらなくて、もどかしくて、

「あの、高杉さん?どうし……」

オロオロする新八くんの唇を見ているうちにそのもどかしさが頂点に達し、簡単に沸点吹っ切って、何故なのかガブリと噛み付く勢いで新八くんにチューしてみた、みたいな(ケダモノなのだろうか)(頂点に達すると唇奪いに行くのかお前は)

新八くんはそりゃあ驚くでしょうな。だって自分とのラブな記憶を失った筈の男に急にキスなんてされてね、びっくりして声も出せなんだが、当の晋助なんてそれ以上に驚いてるからね。

「テメェ……もう一回させろ。今何か掴みかけた。何か分かるかもしれねェ」

今度は新八くんの両肩をぐわしと掴みしめ、新八くんの答えを聞く暇もなく、また新八くんにキスしてますからね(だからあの、ケダモノなのでしょうか)

そしたら二人は何故かそのまま雪崩れ込むように肉体関係を……って待って、何ですぐそこへ行くのか!?(自問自答)

うーん、やっぱりアレですかね、今は新八くんに関する記憶は複雑に絡み合った意識の奥底に隠れてるけど、本能はばっちり新八くんを覚えてるからね。だから本能の赴くままに行動してみたらば、そりゃあ新八くんの上に乗っかってみるのだろうな。だって思い出してよ、晋助の脱童貞は新八くんですよ?初回から三回ヤって、あの日の体液は全部新八くんにぶちまけた晋助ですよ?(言い方)

それを深層心理で忘れる訳がねーよ。だから抱いてみたんだけど、不思議と新八くんも嫌がらなかったから、やっぱりどうして晋助の抱えたモヤモヤは大きくなるばかりだったけどね。


(コイツは妙に俺に慣れてやがる……)

とか、

(慣れてるどころじゃねえ、コイツそもそも男に抱かれて平気なのか?いや待て俺も俺だ、むしろ何で俺は男に欲情した?何でやり方知ってんだ俺ァ)

とか、

(どうなってやがる……もしかして俺とあのガキは互いを互いの性欲の捌け口にしてたのか?分かんねえ……)

とか、晋助の抱える疑問もどんどん募ってくだけでしたけども(晋助の純粋な疑問)。ねえ、だって疑問は疑問でしょ。全然覚えてない筈なのに身体は正直でしたもの。顕著に反応したし、新八くんも抱かれて確かに悦んでた。

晋助にとっては謎が深まるばかりだけども、でも新八くんも晋助の事をやはり甘やかしてるのでね。何たって今の晋助は一部記憶喪失だし、治ってきたけども怪我をしてる訳だしで、
だから明くる日からの晋助が黙って新八くんの着物の袖をギュッと引いてきても、目で何かを熱く訴えかけてきても、

新八くんはかの日の晋助の事を思い出して、むしろ脱童貞したばかりの頃の晋助を思い出して懐かしい気持ちすら持っちゃって、

「高杉さん、もしかして……したくなっちゃったんですか?」

などとヒソヒソと聞いてしまって、それにはひどく逆上した晋助に、

「ち、違ェに決まってんだろうが!おかしなこと抜かすんじゃねェ」

違う筈ないのに気恥ずかしくてツンツンする晋助に、ふふっと少しだけ笑いかけ、

「あの、今皆さんの分の着物をお洗濯してますからね。終わったらいいですよ」

晋助の手を逆にそうっと包んでヒソヒソと約束してくれます。そしたら晋助も今度はコクリと比較的素直に頷くよ?だって朝からくるくる家事をして働いてる新八くんを、本当はずっと独占したかったのだもの。

前のように四六時中側に侍らせておいても良かったのに、今だったら側にいても鬱陶しくは無くなってきたのに、
けど昏倒から目覚めたばかりで身体も自由がきかなかった時はあれだけ新八くんのお世話が嫌だったのに、窮屈だったのに、いざ怪我が治ってきて新八くんが少し遠のいたら急に心に隙間風が吹いたような、ほんの少し物足りない感覚を覚えてきていた晋助だったんですもの。
その気持ちがよく分かんないから、更にイライライライラしているという。

それが誰かを想うという感覚なのだと、晋助の深層心理は知ってるのにね。晋助はなんだかんだと御託並べるけど、本当はただ、恋しい相手に側にいて欲しいだけなのに。

それを晋助が知るのは、むしろ思い出す瞬間はきっと目前にまで迫ってる気がするけど……




──って待って?ねえ、ちょい待って、一回冷静になれよ自分。どうして攘夷高新はこうなるのか?何かどう問題を提起しても、しまいには晋助の記憶を一部喪失させてみても、最終的には何故か高新はくっついて行くという。どんなにトラブルを設けても最後はハッピーエンドに彩られていく、どんな問題を起こしても最終的には二人はラブラブ。凄いよね、何この怒涛の予定調和は何。

え、何?もしかして高新は神に愛されてんの?照橋さんばりに神からのご加護を受けてるの?キューピッドからして高新の仲を取り持つの?

神から愛されし二人のラブは誰にも邪魔できないということ?(照橋さん比較対象って凄えな)

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