[観察日記]
■皐月の母。そして父。
母親の事を調べた時の話。
「屋根より高いこいのぼり」
大きな真鯉はお父さん。小さな緋鯉は……こどもたち。あれ?お母さんは?
おかあさんの味はにくじゃが?俺はカレーだよ!肉じゃがも好きだけど。そういえば肉じゃがとカレーっ食材ほとんどおなじじゃん。
家って、父親と母親がいて、自分がいる。兄弟がいるかもしれない。おじいさんやおばあさんもいるかもしれない。それだけでは幸せだとは言えないことも知ってる。中学の時、その人たちに囲まれても、淋しそうな友達もいた。みんなが放課後遊び回るときに、帰らなきゃっていつもいなくなる子。
母が養母であったと知って、気持ちも徐々に落ち着いてきたら、自分の実の両親は本当に存在するのか、それは知りたくなった。
お前がいるからまだ生きてるか、生きてたかのどっちかなんだよ。カンちゃんたちにそんな風に言われて、コウノトリ運んできたんじゃあるまいし、ポコッと生まれたわけじゃないんだって、そこまでは分かったけど。実際に見たことないんだからわかんないよ。
本当に知りたいの?施設の先生と、児童相談所の人から言われた。
会いたい?そうかな。いるってわかったらそう思うかもしれない。大人の人たちは難しい顔をしたが、話してくれた。
調査して分かっていることは、俺の母親は飛行機の墜落事故のあって、それはどこかの国の砂漠に落ちたってこと。あの空を飛んでるやつでしょ?空から落ちるから、それは助からないの、仕方ないよ。俺、木から落ちてもすごく痛かったんだから。
父親は、母親がそもそも一人で出産したから、父親は自分が父親になったなんて、知らないんじゃないかなってこと。
養母の葬儀の時に自分の周りにいた人たちも、俺を知らないし、俺もこの人たちの事何も知らない。
なら、生きている可能性があるのは父親だけだ。突然俺が目の前で「おとうさん」って呼んだらびっくりするかな。
その報告をしてくれた児童相談所の人が、ぎゅっと俺を抱きしめてくれた。
別に悲しいわけじゃないよ。そうだと思う。会ってみたい、とは思うけど、よくあなたは父親母親どっちに似てる?って話あるじゃん?俺の顔を見て、それに気付いてくれるのかなって。それに、もしかしたら、その人は今も一人で、自分が父親になったってことも知らないままなのかもしれない。 そう思うと少し悲しかった。
こいのぼりのうた、二番もあるんだね。
緋鯉がお母さんで、真鯉がこどもたち。
よかった!
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