話題:ひとりごと

私は私の感情を嫌っていた。
それは感情を持つことはいけないことなのだと経験していたからだ。
感情は私の判断を狂わせる。
だが、そうは言っても感情は生まれ続ける。沸き上がり続ける。
だから私は、自分の感情を抑制し続けた。
そう…人前に出してはいけない。
感情を見せたら、弱みにつけこまれる。
私はコンピュータに憧れた。
あれこそが私の理想。あれこそが完璧なのだ。
本気でそう思っていたのである。
しかし、感情を抑制していたら不信に思われるとも直感していた。
だから私は仮面をつけた。
いつも笑顔の仮面…
それは社会生活を営むには便利な仮面だった。時折、勘違いした方が恋愛トラブルを起こしてくれたりはしたが、そんなことは、どうでも良かった。
それよりも重要だったのは、私が未だに感情を捨てきれていないことだった。
なんて邪魔なんだ…
そう忌々しく感じていた。
しかし、抑制できているから、まあいいという思いもあった。
だが、不自然なものは、いつか崩れ去るのだ。
それが世の常。
私は、私の感情を抑制できなくなり、パニックを起こした。
そして病院へ…
ポツンポツンと話す私…
それを聞いた担当医は言った。
『感情はあるのが正常で、無いことの方が異常なんですよ。人前に出すこともまた普通なんですよ』
えっ?思考が一瞬止まった。
じゃあ私が今まで、やってきたことは?
父の教えは?…えっ?父が間違い?
診察後、いろいろ考えたよ。
『君は君を大事にしていない』
それは主人の言葉だったか…
私はとうに壊れてたのか…
人間としてズレていたのか…
そうか…感情は自然の理だったのか…
私は、ホッとした。
何故か?
それは、私はホントは認められたかったのだ。素の私を認めて欲しかったのだ。
とはいえ、癖というのは、なかなか抜けるものではない。
感情は悪くない。それは理解した。
だが、私は感情を抑制することを未だにやっている。理由は、それが便利だからだ。
感情は判断を鈍らせる要因でもあるからね〜
こうして私は、自分の感情を忌むことがなくなったのであった。