スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

海に捕まったわたし (レイフォン+リーリン)

目の前に放り出された手のひらに食い入るように魅入る。
何度も触れたことのあるそれは、女の自分とはまた違い、まさに武芸者らしく大きく固い掌だった。
ほどよい微睡みにたゆたうレイフォンはあどけない寝顔で。
まるで赤子にするように、力ない掌をきゅっと握りしめた。
触れれば温かい。
撫ぜれば心が凪ぐ。

愛しい彼の一部だからこそ狂おしいほどに触れたくなる。

ひとつにすら融けあってしまいそうな距離であるはずなのに、他人とは何故こんなにも遠いのだろう。
寂しい。
心の波音は乱れることなく一緒なのに。
それでも、私とレイフォンは一つにはなれない。


「寂しいよ、レイフォン」


糸をつなぎ止めるように指をきつく絡ませた。




end
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2009年08月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
アーカイブ