目の前に放り出された手のひらに食い入るように魅入る。
何度も触れたことのあるそれは、女の自分とはまた違い、まさに武芸者らしく大きく固い掌だった。
ほどよい微睡みにたゆたうレイフォンはあどけない寝顔で。
まるで赤子にするように、力ない掌をきゅっと握りしめた。
触れれば温かい。
撫ぜれば心が凪ぐ。
愛しい彼の一部だからこそ狂おしいほどに触れたくなる。
ひとつにすら融けあってしまいそうな距離であるはずなのに、他人とは何故こんなにも遠いのだろう。
寂しい。
心の波音は乱れることなく一緒なのに。
それでも、私とレイフォンは一つにはなれない。
「寂しいよ、レイフォン」
糸をつなぎ止めるように指をきつく絡ませた。
end