かみさまのおかお

生き神様と信仰のお話。

3人の女性が出てきます。
長女、次女、いとこの女の子。

簡単にストーリーを説明すると、新興宗教の本家であるとある家族の話で、
幼い頃から生き神として祭られてきた女とそれに選ばれなかった女とその家に生まれて暮らしてきた女の子がとある事件を引き起こす話。

ずっと家の中に閉じ込められて外を知らずに生きてきた箱入り世間知らずのお嬢様。
姉を置き去りに自分の好きな道を歩もうと家を出ていた妹。
産まれたときから生き神信仰が行われていてそれを異常だと思う女の子。

それぞれがその生き神の存在をどう自分の生き方に組み込むか。


もやもやすることが多かった。
誰も悪くないんだけど、誰も伝えたい人に言いたいことが伝わってない。
そうじゃなくて!あーもう!っていう表現がかなり多かった。
生き方の違いがあるからしょうがないんだけどね?
自分の価値観と他人の価値観が交わらないから衝突して。

今回の場合は特に宗教っていう枠があるから考え方の違いが顕著で。
人間らしいというか、一般的な感覚に近いのは次女か末っ子なんだけど、私は次女の気持ちが一番わかるかなあと。
一番歳も近いわけですし。
選ばれなかった人間がどうやって生きていくか。
それは普通の人間として生きていくしかなくて、普通に仕事して普通に恋をして普通に楽しみを作って。
昔から比較されて暮らしてきた姉の存在は時に疎ましく思いつつも大好きだった。
神様として特別に扱われてきた姉に対して劣等感を覚えつつも、自分だけで暮らしていけるようにがむしゃらに生きて。
それでも自由な自分の生き方は姉に対して良心が酷く咎められて。
かわいそうだなと思うこともたくさんありました。

神様は人間であるってことが今回の一番の考えどころでしょうね。
人が神様になれるのか。
いやちょっと違うか。人が神でいるべきなのか。

今回お話の中で起きた事件も人間が引き起こしたものでしょ。
間違いを犯してしまって立場が危うくなるのです。
人間だからこそ求めて、人間だからこそ情けをかけるんだよね。

清廉潔白な神様を人間に求めるのは難しいんじゃないかな。


結局、
変われなかった人間
逃げ出した人間
目を背けた人間

と、それぞれ違う方向ですが生き神に対する決着をつけました。
正直、開幕の状況となにも変わりませんでした。
でも事件を通じてそれぞれが自分のあり方を再認識しましたよね。

お姉さんが一番かわいそうな人っていうのはかわりなく。

でもね、最後のあの言葉、あのシーン、神様はお姉さんに寄り添ってたんじゃないかな。
神様でいるなら一緒に添い遂げてくれるのも神様なんじゃないかな。

だから、あんな表情ができたんじゃないかな。
そうであったらまだ救いがある。


神様と人間と信仰の話だったので感想もなかなかに難しいです。
雰囲気が伝わればいいですよ。

それにしても能登さんが神演技だったなぁ!!
人間と価値観も思考も違いすぎて理解が難しいあの役を見事に演じきってましたから。
笑ったり怒ったり泣いたり感情の振り幅が大きかったですが、それもすごくて。
最初から最後まで能登さんから目が離せなかったです。

そしてたっつん。
正真正銘のダメ男でしたねー。
妹の彼氏役なんですが、芸術家を目指すニートですよ。
途中案外かっこいいかもとか思ったけどだめだこいつやっぱりダメ男だったww
最初の方は洞察力があって実はいい人だとか思ったけど、中盤以降はまっさかさまでしたねww
でもたっつんが怒ったり泣いたりするところがインパクトあって好きです。

木村さんは相変わらずと言いますか豪快な役どころでしたね。
笑ったり怒ったり感情の起伏が大きくて。
でもちょっぴりかわいそうな人だった。
いっつも傷ついてて胸が痛みますね・・・

みさとさんはまさかの高校生役で。
ちょっとびっくりしましたけど田舎の高校生って感じが出ててよかったかと。
しかしキレるシーン多くてやっぱりみさとさんはこういう役似合うわと思いました。


荒々しい激昂シーンが多かったお話だったので、けっこう神経すり減りますよ。
見終わったときはふーーーーっと大きな溜息が出る感じ。
演じる側もこれは大変な舞台だと思います。
んでもって見る側も覚悟が必要です。
(あ、艶っぽいシーンもあるのでキャスト目当ての方は気をつけた方がいいかと)
(能登さんのシーンはどきどきしましたw)


今回のこの舞台はチケットも完売してもう難しいと思いますが、きっとそのうちDVD化するでしょうし、今回見れなかった方はぜひそちらを。