私は一生懸命働いた。
少しでも給金が多くなるよう指名が入るよう頑張った。
その甲斐あって、ボチボチ指名してもらえるようになり、私は喜び密かな野望を抱き始めた。
いつか…夫の借金さえ無くなったら…息子と家を出て行く。
私と息子を守るには、もう、あの家から逃げ出すしかないのだ。
少なくとも最初は、そうだった。そう思っていた。

姑と小姑は、息子を愛玩かなんかと思っている。
夜中だろうが寝ていようが勝手に連れ出す。
あれだけ夫に、夜8時には息子を就寝させるよう、就寝以降に起こしたり連れ出したりしないよう、お願いしたのに!
まぁ想定内と言えば、想定内だったのだけど…
2人っきりで過ごしているうちに父性が芽生えるかとも思ったけど…やっぱり無駄だったかな。
サラブレットだからね…

だ・け・ど
私は気付いてしまったのだ。
息子が…青白い顔をしてガリガリに痩せているのを!!
勿論、夫を問い詰めた。
夕飯代はキチンと渡しているのに、どうなっているのかを。
夫は答えたよ。悪気無くね。
夕飯を買いに行くと息子がお菓子を欲しがるから、それを1つだけ買って、残りは夫の酒代になっているってね。
許せなかった。コレでは私と同じになってしまう。
私も覚えていないほどの幼児の頃…栄養失調で死にかけた私と同じになってしまう。

それだけではない。
夫は夜中に高熱を出した息子を保険証がドコにあるか分からないという理由だけで放置しておいたりしたのだ。
しかも「任せて」と言ったはずなのに、実際に面倒を見ていたのは姑…
もう我慢出来なかった。
息子は玩具じゃない。息子は人間なんだ。都合のいい時だけ面倒見ればいいというものでもなく、可愛がればいいというだけのものでもない。
私達はペットでも玩具でも人形でもない。
感情も意思もある人間なんだ。
血の通った、れっきとした人間なんだ!!
それを…それを…

私は許せなかった。
彼らが息子に行った全て。
そして、もう諦めかけていた私への仕打ち。
私は今一度、牙を剥く時なのだと…因果を終わらせる時なのだと感じた。