始めは穏便に話し合いで解決しようと思った。
子供の成長には睡眠が必要なこと。
途中で起こしたりすると悪影響があること。
子供の精神には両親からの愛情や世話が大事なこと。
ついでに、勝手に「浮気だ浮気だ」と騒ぐのが苦痛なこと。
姑や小姑が勝手に息子を連れ出すのを快く思っていないこと。
だけど…
夫は私の話を聞こうとはしなかった。
上の三つは伝えたが理解はしてもらえなかった。
だから、もう離婚かな。と…
しかし夫は、私が「離婚…」と口にしかけた瞬間、左目をグーで殴りつけたのだった。
その後は、もう大変だった。
息子を盾に私を脅す。
私を殺してでも息子は奪うと宣言。
そして実際、息子を抱く私をバットで追い回し殴ろうとしたのだ。
あの時は、さすがに恐怖を覚えた。
私以外に息子を守れる人はいない。
今、私が死ぬわけにはいかないのだ。
…夫の目は本気だった…
いや…もはやソレは狂人のものであった。

かといって、夫が私を殺したいほど息子を大事に思っているのだとは思えなかった。
夫は私が息子を抱いていても平気で私を蹴ったり殴ったりしていた。
それも息子に絶対当たらない位置を狙うのではなく、無関係に。このままでは、いつか息子に当たってしまう…
そして、あのバットで殴られそうになった時。
おそらく夫には、もう息子の姿は見えていなかったのだろう。
あのまま振り下ろされついたら、私どころか息子も無事では済まない。

私は今でもゾッとする。
あの光景、あの目、あの表情。
薄暗い廊下でバットを振り下ろそうとした夫の姿…
それはもう、私の知っている夫ではなかった。



追伸
バットは金属バットでした。
また、私が「離婚」を口にしかけて顔面を殴られてから数日経っています。